- 著者
-
吉永 大祐
- 出版者
- 科学技術社会論学会
- 雑誌
- 科学技術社会論研究 (ISSN:13475843)
- 巻号頁・発行日
- vol.15, pp.92-106, 2018-11-20 (Released:2019-12-02)
- 参考文献数
- 21
東日本大震災の後,STS研究者たちの間で,STS研究の成果が果たして現実の社会において実効性を持ち得るか,そしてそれはいかにして獲得されるべきかを問う,自己省察の機運が高まっている.それに伴い,日本におけるSTS研究の展開を回顧することで,将来あるべき日本のSTS研究の姿を探求しようという動きがはじまっている.しかしながら,それらの多くは質的検討が中心であり,数量的分析を欠いている面がある.本稿は科学技術社会論学会の年次研究大会予稿集のテキストデータを量的に分析し,これまで質的研究で主張されてきた日本におけるSTS研究動向と比較した.その結果,STSのコミュニケーション化,科学コミュニケーションの教育啓蒙化など,これまでに指摘されてきた傾向が予稿データの分析からも見いだせることが確認され,STS省察に対して量的アプローチが寄与する可能性が示唆された.