著者
本堂 毅 平田 光司 関根 勉 米村 滋人 尾内 隆之 笠 潤平 辻内 琢也 吉澤 剛 渡辺 千原 小林 傳司 鈴木 舞 纐纈 一起 水野 紀子 中島 貴子 中原 太郎
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

科学技術の専門的知識には,程度の差はあれ,様々な不確実性が避けられない.また,社会の中で科学技術の知識を用いる際にどのような科学的知識が必要かは価値判断と不可欠であるため科学自体では定まらない.このような「科学的知識の不定性」を直視し,不定性の様々な性質を踏まえた上で,より的確な判断を私たちが主体的に下すための条件を考察し,科学的知識に伴う不定性の性質・類型を明らかにするとともに,その成果を書籍にまとめた(2017年度に出版予定).
著者
吉澤 剛
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究 技術 計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.26-38, 2018-03-31 (Released:2019-08-30)
参考文献数
54

The post-truth society facilitates diminished scientific authority and superficial political belief. The flag of ‘science for policy' as an imaginary counterpart again falls under a mud wrestling between incumbent leaders. Going beyond conventional citizen science and public engagement, a prospective participatory approach is positive engagement in dark science. Dark science is reflective and reflexive scientific activity with a sense of anxiety, fear, sympathy or sadness against disruptive impacts as a corollary of scientific development, by reference to structural science-society issues and planetary boundaries in the Anthropocene. Flying away from human-centric interests and thoughts on the ground, it aims to understand, talk and collaborate each other with objects arousing a sense of weirdness or wonder. Positive engagement is to nudge the less-engaged to voluntarily and positively engage in science and its policy. Dark science and positive engagement is reciprocal to make sense of our life and the world to come.
著者
吉澤 剛
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.31-37, 2020-04

ノルウェーにおける新型コロナウイルスの感染拡大は4 月上旬にコントロール下に入ったとされ,社会的機能を少しずつ再開していく方針が発表された.政府の危機対策管理は分散的な構造となっており,省庁間の調整支援機関が機能を発揮している.ノルウェー公衆衛生研究所(NIPH)では,多様な市民に対するわかりやすい情報やアドバイスのほか,最新の学術研究の見取り図も提供するなど,俯瞰的で包括的な活動を展開する.ノルウェーの専門機関は,過去の危機において市民とのコミュニケーションにたびたび失敗しているものの,政府や専門家に対する市民の信頼は篤く,情報を通じて伝えられる専門家の知的謙虚さや個人的感情をもとに冷静に判断を下しているとみられる.この冷静さはコロナ以後における新たな日常の「奇妙さ」と対峙し,それを保持していく鍵でもある.
著者
吉澤 剛 ファン・エスト・ リニー 吉永 大祐 田中 幹人 標葉 隆馬 小長谷 明彦
出版者
Chem-Bio Informatics Society
雑誌
Chem-Bio Informatics Journal (ISSN:13476297)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.164-172, 2018-12-01 (Released:2018-12-01)
参考文献数
38
被引用文献数
5

分子ロボティクスは環境の変化に適応し、自己組織化、進化できる人工的な分子システムの創成を目的とした学術領域である。本稿では分子ロボティクス技術の分野で責任ある研究・イノベーションをどのように促進するかについて検討する。そのためにまず、遺伝子組換え技術やナノテクノロジー、合成生物学やゲノム研究などの先進技術の日本における初期発展段階での社会的反応から教訓を得た。それは《適切な》専門家・ステークホルダーの発見と巻き込み、規制の更新、科学コミュニケーションにおける科学者および市民の巻き込みである。分子ロボティクスの社会的側面に関する学術的・社会的議論の現状として文献レビューや未来ワークショップ、シナリオワークショップを実施した。そこでは幾多の倫理的・社会的・政治的・文化的課題を提起し、次の数十年で起こる望ましい/望ましくないシナリオを描いた。Twitterのテキストマイニング分析では、幅広い市民において分子ロボティクスについての意識や関心、知識がまだ限定的であることを明らかにした。結論として、分子ロボティクスが責任あるイノベーションを可能にするには、分子ロボティクスの発展のスピードを掌握すること、技術的潮流を監視すること、テクノロジーアセスメントのための安定的な知識基盤を確立すること、そして分子ロボティクス研究者と社会科学者との持続可能な相互関係を構築することである。
著者
塩瀬 隆之 加納 圭 江間 有沙 工藤 充 吉澤 剛 水町 衣里
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:21888914)
巻号頁・発行日
vol.2016-EC-39, no.6, pp.1-4, 2016-03-09

協力型ボードゲームの舞台は 「制度疲労を起こした縦割り組織」.プレイヤーはその一員となり,次々と発生するハプニングを処理し,新人を鍛え,他部署の人間と情報やリソース共有しながら,全員で事業成立を目指す協力ゲームである.しかし,現実世界の協力の困難さを表す意味で,ボードゲームの中でも情報共有のチャンスはあえて希少に,協力型ボードゲームに不慣れな日本人には全員達成という終了条件そのものの難易度も高い.この困難を乗り越えた協力・対話スキルの獲得こそ,組織間の利害関係や専門家-非専門家の知識格差などの見えない壁の克服に寄与するとして,筆者らが社会対話技術研究の一環としてボードゲーム開発に取り組んだ過程について報告する.
著者
筈井 俊輔 吉澤 剛
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.4-17, 2023-03-20 (Released:2023-06-02)
参考文献数
30

2000年代以降,組織ルーチン研究においてはFeldman‌ &‌ Pentland(2003)をはじめとする,組織活動のダイナミクスを行為や実践の局面に収斂させる方法が主流になっている.本論文ではその問題点を指摘し,批判的実在論に基づいて組織ルーチンを捉え直す.そして,新たに得られた「重層的ダイナミクス」という視野が経営の実践にどのような示唆をもたらすのか,インフラ構築の切り口から考察する.
著者
ヴァン・アウドヒュースデン ミヒェル ケネンス ヨーク 吉澤 剛 水島 希 ヴァン・ホーイヴィーヒェン イネ
出版者
科学技術社会論学会
雑誌
科学技術社会論研究 (ISSN:13475843)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.58-73, 2020-04-30 (Released:2021-04-30)
参考文献数
68

本稿では,福島原子力発電所事故後の市民科学に関する日本―ベルギー共同研究プロジェクト(2017-2019)の経験を振り返る.この社会科学研究プロジェクトでは,市民主導のデータ駆動型放射線モニタリングに対し,公的機関や科学研究コミュニティがどのように反応したかを探究した.質的な(自己)民族誌手法を用い,関係者,特に市民科学者と,放射線防護に関する職業科学者との実りある協力関係を探り,その中で浮かび上がってきた可能性と課題に光を当てる.我々自身を含めた関係者間の関係性は,放射能汚染や環境問題のガバナンスの進退を左右する.このことから,関係者間の相互作用をどのように展開し,交渉し,実行するかについて,あらゆる関係者間での,より再帰的な対話を支持する.
著者
吉澤 剛
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.42-57, 2009
被引用文献数
4 5

1960年代末に民間の知識層によって日本に概念が輸入されたテクノロジーアセスメント(TA)は, トータルシステムのマネジメントとしての側面を持っており, 民間においては企業の社会的責任などのために導入されたものの問題意識が一企業の範疇を超えるため公的機関で実施されることが期待され, 一方の政府においてはプロジェクト単位での予測・評価活動を合理化・正当化することとなった.本稿ではTAという概念が産業界・科学技術庁・通商産業省・国会議員などのアクターによってそれぞれの文脈で利用され, TAの本質的な機能を発現しない形で変容していった過程を方法論的な変遷と政治的な背景の分析から追っていく.
著者
吉澤 剛
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.42-57, 2009 (Released:2010-05-14)
参考文献数
131
被引用文献数
7 5

1960年代末に民間の知識層によって日本に概念が輸入されたテクノロジーアセスメント(TA)は, トータルシステムのマネジメントとしての側面を持っており, 民間においては企業の社会的責任などのために導入されたものの問題意識が一企業の範疇を超えるため公的機関で実施されることが期待され, 一方の政府においてはプロジェクト単位での予測・評価活動を合理化・正当化することとなった.本稿ではTAという概念が産業界・科学技術庁・通商産業省・国会議員などのアクターによってそれぞれの文脈で利用され, TAの本質的な機能を発現しない形で変容していった過程を方法論的な変遷と政治的な背景の分析から追っていく.
著者
吉澤 剛
出版者
研究・技術計画学会
雑誌
年次学術大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.28, pp.703-708, 2013-11-02

一般講演要旨

1 0 0 0 OA 反PDCA論

著者
吉澤 剛
出版者
研究・技術計画学会
雑誌
年次学術大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.26, pp.347-350, 2011-10-15

一般講演要旨
著者
吉澤 剛 山内 保典 東島 仁 中川 智絵
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 高等教育研究部 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.93-106, 2011-06

Science communication now needs extending its activities to engage more various actors in intermediary organization linking science and society. Through a comparative analysis of 4 intermediaries in the UK, including the British Science Association (BA), Sciencewise-ERC, the National Endowment for Science, Technology and the Arts (NESTA), and the Research Information Network (RIN), this article first illustrates the variety of linking in these intermediaries as a motto like "from science to society / from society to science", "dialogue between science and society for policy", "science for society", and "science community as society". It then draws some lessons for the institutionalization and management of the corresponding organizations in Japan. Important might be the demonstration of the relevance of such organizations by collaborating external partners, promoting internal members' private activities and engaging them with formative evaluation.