- 著者
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吉澤 英里
- 出版者
- 環太平洋大学
- 雑誌
- 環太平洋大学研究紀要 = BULLETIN OF INTERNATIONAL PACIFIC UNIVERSITY (ISSN:1882479X)
- 巻号頁・発行日
- vol.16, pp.197-204, 2020-03-31
学校現場では「いじり」と称した「いじめ」が問題となっている。「いじり」という俗語は, 2000年代半ばに定着し,主に他者をかまって,からかうことを指す。2000年代以前にも「いじり」という言葉は用いられてきたが,「庭いじり」,「機械いじり」あるいは「機構いじり」のように,主に物質や集団,制度などに手を加えて変化させるという意味であった。本研究の目的は,(1)「いじり」という俗語はどのように定着していったのか,(2)「いじり」と称した「いじめ」はいつ頃から社会問題として捉えられるようになったのか,の2点を明らかにすることである。朝日新聞の1984年から2015年までに掲載された記事のうち,タイトルか本文中に「いじり」を含むものを指定して検索し,2,228件を分析対象とした。そのうえで,「いじり」の対象が人であった90件について,年代ごとに記事の内容を整理した。