著者
市原 実 和田 明華 山下 雅幸 澤田 均 木田 揚一 浅井 元朗
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.41-47, 2008-06-30

種子の乾熱処理および火炎放射処理が帰化アサガオ類(ホシアサガオ(Ipomoea triloba),マメアサガオ(I. lacunosa),マルバアサガオ(I. purpurea),マルバアメリカアサガオ(I. hederacea var. integriuscula)およびマルバルコウ(I. coccinea)の発芽に及ぼす影響と,火炎放射後の湛水が種子の生存に及ぼす影響について調査した。80℃で30分間乾熱処理した場合,5草種の発芽率(吸水,膨潤した種子の場合)は21.1〜97.8%であった。マメアサガオ(21.1%)とマルバアサガオ(47.8%)を除く3草種は,72.2%〜97.8%と高い発芽率を示した。一方,火炎放射処理を3秒間行った場合,発芽率は94.4〜100.0%と5草種ともほぼ完全に発芽した。さらに火炎放射処理後の種子は湛水条件下に2ヶ月間埋土されることにより,5草種全てにおいて100%死滅することがわかった。本研究より帰化アサガオ類の防除において,種子散布後に圃場地表面を火炎放射処理し,その後湛水することが有効であることが示唆した。
著者
和田 明 吉田 秀司 境 晶子
出版者
大阪医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

プロテオミクスにおいて現在最もよく普及しているのはO'Farrellが考案した等電点2次元電気泳動法にもとづくIPG法である。しかし最近、このIPG法の深刻な弱点がプロテオミクスの蛋白分離の段階に困難を齎している。一つは塩基性蛋白質の分離が不十分であること、もう一つは蛋白スポットが人為的に分裂することである。こうした弱点が等電点法の本質そのものに由来するため、これを克服するには分離原理のことなる新しい方法が必要であるが、われわれが開発したRFHR 2D PAGEは等電点法を採用せず、等速電気泳動に基づくため、この要請にこたえることが出来る。本研究の目的はRFHR法の分離能をさらに向上させ、極微量の蛋白質の検出・同定を可能にすることと、改良されたRFHR法による大腸菌と真核生物のプロテオーム解析を推進することである。先ずRFHR法の分離能向上について1.水冷方式の装置を考案し、厳密な温度制御を可能にした。その結果、4℃、1次元500V、2次元300Vの泳動では分離能の大幅な向上が見られ、大腸菌全蛋白質に対してIPG法の2倍を超える568の蛋白遺伝子を同定した。これはCBB染色で検出できた700スポットの80%を超える高い同定率である。分画をさらにきめ細かくすれば、極微量の蛋白質の検出・同定を実現できる。2.0次元ゲルを廃止し、蛋白質を1次元ゲルに直接濃縮させるように0次元濃縮過程を改良した。これによって、今後装置の自動化に取り組むことが容易になった。次いで真核生物のプロテオミクスについて1.ラット肝プロテオミクスを進める上で、懸案である蛋白の可溶化を促進するため、2Mチオウレアの導入を試み、難溶性のより大きい蛋白質や膜結合性蛋白質の分離能を向上させた。2.第3年度からヒトcell lineのプロテオミクスへの取り組みを開始した。引き続き取り組んでいく。