著者
中村 裕子 橋本 研 小此木 雄 牛込 瑛子 橋島 弓子 高橋 哲哉 小林 健二 小谷 依子 鈴木 玲爾 坂上 宏 申 基哲
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.331-340, 2011-10-31 (Released:2018-03-23)
参考文献数
27

本研究の目的は,次亜塩素酸電解機能水(Hypochlorous-acid Electrolyzed Water: HEW)による宿主細胞への傷害性と,アルカリホスファターゼ(ALP)活性に与える影響を検討することである.HEWは,炭酸と塩化ナトリウム(NaCl)溶液を電気分解することによって生成される中性(pH7.2)で有効塩素濃度650ppmを有する電解水である.その殺菌効果は,陰イオンの活性酸素とHClOによるものと考えられている.HEWとNaOCl溶液のヒト歯髄線維芽細胞(HPC),ヒト歯根膜線維芽細胞(HPDL),ヒト末梢血好中球(PMN)およびヒト皮膚線維芽細胞三次元培養モデルに対する傷害性について,MTT assayを用いて検討した.HPC, HPDLおよびPMNを細胞培養用シャーレにて培養し,各濃度に調整したHEW, NaOCl溶液で処理した.HEWとNaOCl溶液は,濃度と作用時間に依存して細胞傷害性を示した.HEWの細胞傷害性はNaOCl溶液よりも低かった.次にHEWおよびNaOCl溶液のHPCのALP活性へ与える影響を,ALP assay kitを用いて検討した.HEWおよびNaOCl処理は,いずれも,HPC細胞のALP活性を低下したが,HEWのほうがはるかに軽微であった.三次元培養モデルにおいては,HEWの細胞傷害性はほとんど観察されず,NaOCl溶液のみが傷害性を示した.本研究は,HEWによる細胞傷害性は,NaOClよりも低く,根管洗浄剤として使用できる可能性を示唆する.
著者
坂上 宏
出版者
九州情報大学
雑誌
九州情報大学研究論集 (ISSN:13492780)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.69-87, 2006-03

ソ連は、1979年の第二次コイヴィスト内閣の組閣にあたって、保守の国民連合党の入閣に反対した。ソ連は、同党が入閣することによってフィンランドが西側に接近することを懸念したのである。また国民連合党が入閣できなかったことについて、ヴィロライネン国会議長は、それがケッコネン大統領による対ソ配慮に基づく措置であったことを示唆する発言をした。この発言をめぐり、両者の間で軋轢が生じ、権力闘争にまで発展するのであった。これは、1982年大統領選挙の帰趨にも影響を及ぼすものであったのである。
著者
島田 智哉子 植沢 芳広 Ishii-Nozawa Reiko 石原 真理子 Kagaya Hajime 金本 大成 寺久保 繁美 中島 秀喜 高尾 浩一 杉田 義昭 坂上 宏
出版者
International Institute of Anticancer Research
雑誌
Anticancer Research (ISSN:2507005)
巻号頁・発行日
vol.34, no.10, pp.5405-5412, 2014-10

Background: Fifteen 3-styrylchromones were subjected to quantitative structure?activity relationship (QSAR) analysis based on their cytotoxicity, tumor selectivity and anti-HIV activity, in order to explore their biological activities. Materials and Methods: Cytotoxicity against four human oral squamous cell carcinoma (OSCC) cell lines and three human oral normal cells was determined by the 3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-2,5-diphenyltetrazolium bromide (MTT) method. Tumor-selectivity was evaluated by the ratio of the mean CC50 (50% cytotoxic concentration) against normal human oral cells to that against OSCC cell lines. Anti-HIV activity was evaluated by the ratio of CC50 to EC50 (50% cytoprotective concentration from HIV infection). Physicochemical, structural and quantum-chemical parameters were calculated based on the conformations optimized by the LowModeMD method followed by the density functional theory (DFT) method. Results: All 3-styrylchromone derivatives showed moderate-to-high tumor selectivity. Especially, compounds that have a methoxy group at 6-position of the chromone ring and hydroxyl group at 4'-position of phenyl group in styryl moiety [11] showed the highest tumor-selectivity. On the other hand, their cytotoxicity against normal cells showed good correlation to the descriptors that reflect hydrophobic interaction and molecular shapes. Conclusion: Multivariate statistics with chemical descriptors for the location of substituted group, molecular shape and electrostatic interaction may be useful for designing the most favorable compound with higher tumor selectivity.
著者
坂上 宏
出版者
九州情報大学
雑誌
九州情報大学研究論集 (ISSN:13492780)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.23-42, 2005-03-22

1982年フィンランド大統領選挙で、マウノ・コイヴィスト(Mauno Koivisto)が当選を果たしたことは、前任者ケッコネン大統領(Urho Kekkonen)の25年に及ぶ長期支配に名実共に終止符を打ったという意味において、フィンランド政治史上大きな転換点となった。コイヴィストが大統領の座を手中にするための大きな一歩となった出来事は、彼が1979年5月に二度目の首相に任命されたことであった。本稿では、まず第二次コイヴィスト内閣編成の経緯について概述した。次に彼の首相就任をめぐる政治状況について、ケッコネンを始めとする有力政治家の利害関心、隣国ソ遠の姿勢、さらに世論の動向などを取り上げて議論した。