著者
春日 遥 坂本 大介 棟方 渚 小野 哲雄
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.1520-1531, 2018-08-15

ペット動物は人類の最も古い友人である.人々は彼らと生活を営み,今日では家庭において家族としてのペットと人の関係が研究されてきた.近年になってコミュニケーション・ロボットの登場により,家庭における人とペット動物に加え社会的ロボットを考慮した3者関係に注目した研究分野が生まれつつある.本研究では,社会的ロボットが家庭における人とペット動物の関係に対してどのような影響を与えるのかを調査するために実験的なフィールド調査を行った.調査には10家庭22人と12頭のペット動物(犬が4頭,猫が8頭)が参加した.調査においては社会的ロボットとして小型人型ロボットNAOを使用し,各家庭において小型人型ロボットと人,ペット動物が対話する様子の観察を行った.対話ではペット動物に対してポジティブに話しかける正条件と,相対的にネガティブに話しかける負条件の2つのシナリオで調査を実施した.両条件では約2分間の対話シナリオのうち,約30秒間のロボットからペット動物への発話内容が異なった.結果として,ロボットのペット動物に対する発話内容と態度の違いが,参加者からロボットへの印象に影響を与えていた.
著者
坂本 大介 小野 哲雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.109, pp.15-20, 2005-11-08
参考文献数
7

ロボット技術の発展に伴い,今後実際に社会に出て人と共に暮らすことのできるロボットが登場することが予想される.ロボットが実際に人とともに社会生活を行うためにはいまだ様々な問題が残されている.特に,ロボットが既存の人間関係や社会関係にどのような影響を与えるのかという問題に関する研究は多く行われていない.本稿では社会的なロボットが人間関係,社会関係にどのような影響を与えるかを扱う学問であるロボット社会心理学を提案し,この有効性を確かめるための実験を行った.これによりロボットが実際に人間関係に良い影響も悪い影響も与える可能性があることを確認した.つまり,ロボットは人間関係を壊すことが可能性であり,同時に人間と共に良い関係を築くことも可能であることを確認した.これについて報告する.With the developments in Robotics, Robots that live with us will appear on the daily life in near future. However, there are many problems on social robots. In particular, the effects of robots behaviors influence the human relations and societies have not clarified. In this paper, we conducted an experiment to verify the effect of robots behaviors influence the human relations using the 'Balance theory'. The result shows that a robot can affect a good or bad influence on the human relations. A Human's impression of another human, had undergone a change by a robot. In other words, robots can construct or collapse the human relations.
著者
武山 智博 宮下 直 関島 恒夫 石庭 寛子 坂本 大地 大石 麻美
出版者
岡山理科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

統計モデルの構築によって、水田内の局所環境および水田周辺の景観の異質性が、3種のトンボ(ハラビロトンボ、シオヤトンボ、アキアカネ)の出現個体数に与える効果を検討した結果、個体数を説明する環境要因とそのスケールは種間で異なっていた。全般的な傾向としては、種間の飛翔能力の高低に対応したスケールにおける複数の環境要因が出現個体数に影響を与えており、これらのトンボの分布にとって水田と森林が入り混じるモザイク状の景観構造が重要であることが示唆された。
著者
坂本 大介 小野 哲雄
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.2_101-2_107, 2006 (Released:2006-06-30)

本稿では環境に埋め込まれた対話可能な絵画を生成するソフトウェアについて述べる.本ソフトウェアが生成する絵は環境センサの情報をもとに常に変化する.また,絵に直接触ることで絵に対して変化を与えることができる.これらの絵はモチーフというプラグインで管理され,ユーザの意思で変更することが可能である.本ソフトウェアが出力する絵はコンピュータ上のディスプレイではなく,コンピュータという存在を消したディスプレイから出力することを想定している.これにより我々が生活している空間に含まれる情報を,生活の一部として絵画を飾ることと同じように「情報を飾る」という概念を提案する.また,本稿では空間を一枚の絵画が支配し表現する,環境に埋め込まれたソフトウェアの可能性について考察する.