著者
砂田 安秀 甲田 宗良 伊藤 義徳 杉浦 義典
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.253-262, 2018-03-01 (Released:2018-03-06)
参考文献数
25

本研究では,約半数のADHDの成人に併発する症状である成人のSCT症状を測定する尺度を開発し,妥当性を検討した。この新たな尺度の狙いは,既存の尺度の項目が抑うつと類似しているために抑うつとの弁別性が乏しい問題を克服することであった。文献のレビューによってSCT項目が選定され,専門家によって内容的妥当性の検討が行われた。これらの項目は抑うつ気分でないときの状況について回答されるものであった。大学生471名が質問紙に回答し,因子分析によって項目の選定が行われた。ジョイント因子分析によって,本SCT尺度は抑うつからの十分な弁別性を有していることが示された。最終的なSCT尺度(9項目)は,収束的妥当性,弁別的妥当性,内的一貫性の高さが示された。
著者
砂田 安秀 杉浦 義典 伊藤 義徳
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.150-159, 2019-11-01 (Released:2019-11-03)
参考文献数
29
被引用文献数
2

近年,倫理を伴ってマインドフルネスの訓練を行う重要性が指摘されている。本研究では,マインドフルネスと無執着・視点取得の関連に対する倫理の調整効果を検討することを目的として,一般成人193名を対象としたウェブ調査を実施した。階層的重回帰分析の結果,倫理観が強い場合,マインドフルネスが高いほど,無執着が高かった。一方で,倫理観が弱い場合,マインドフルネスが高いほど,無執着が低かった。また,倫理観が弱い場合,マインドフルネスが高いほど,視点取得が低かった。以上の結果から,マインドフルネスは倫理を伴って機能することで有益な結果をもたらし,倫理が欠如した中では有益な結果につながらない可能性が示唆された。
著者
砂田 安秀 杉浦 義典 伊藤 義徳
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
pp.28.2.13, (Released:2019-10-24)
参考文献数
29
被引用文献数
2

近年,倫理を伴ってマインドフルネスの訓練を行う重要性が指摘されている。本研究では,マインドフルネスと無執着・視点取得の関連に対する倫理の調整効果を検討することを目的として,一般成人193名を対象としたウェブ調査を実施した。階層的重回帰分析の結果,倫理観が強い場合,マインドフルネスが高いほど,無執着が高かった。一方で,倫理観が弱い場合,マインドフルネスが高いほど,無執着が低かった。また,倫理観が弱い場合,マインドフルネスが高いほど,視点取得が低かった。以上の結果から,マインドフルネスは倫理を伴って機能することで有益な結果をもたらし,倫理が欠如した中では有益な結果につながらない可能性が示唆された。
著者
重松 潤 尾形 明子 伊藤 義徳
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.179-189, 2020-09-30 (Released:2020-12-23)
参考文献数
29

認知行動療法の技法論に関する知見は多いが、認知行動療法で想定される治療的な認知変容のプロセスを辿っているか判別する視点に関する知見は乏しい。近年、その視点の一つとして「腑に落ちる理解」が提案されている。しかし、セラピストがどのようにクライエントの「腑に落ちる理解」を観察しているかは不明である。そこで、本研究では、認知行動療法において「腑に落ちる理解」を扱う重要性の確認も踏まえて、認知行動療法を専門とする心理士21名にインタビュー調査を行った。その結果、臨床場面で「腑に落ちる理解」を観察した報告と「腑に落ちる理解」を捉える具体的な視点が抽出された。今後は臨床場面で使用できる「腑に落ちる理解」の指標の作成が求められる。
著者
伊藤 義徳
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.272-294, 2018 (Released:2020-01-18)
参考文献数
74

Humans have developed advanced civilizations by “using” thought. However, it is also true that they are ridden by thinking and suffer because of it. Patients who have depression are an example in humans of being “used” by thought. The aim of this paper was to investigate people’s wisdom to involve thoughts that are causing such pathological conditions. First, I review the research on thought in cognitive behavior therapy (CBT), which includes a pathological model showing that a person’s thoughts about an event cause pathological consequences. I then introduce the therapeutic approach toward them. Second, I investigate how mindfulness-based CBTs, which are often called “the third generation” of CBT, changed the treatment of thought in CBT. Third, I introduce the understanding and the treatment of thought in Buddhism, which is the origin of mindfulness. The basic principles of Buddhism are primarily introduced because it is essential to understand the basic idea of Buddhism. Finally, we examine the relationship between humans and thought.
著者
酒井 美枝 伊藤 義徳 甲田 宗良 武藤 崇
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.1-11, 2013-01-31 (Released:2019-04-06)
参考文献数
27

「創造的絶望(絶望から始めよう) : Creative Hopelessness(CH)」とは、不快な私的事象を制御することへの動機づけの低減を目的としたアクセプタンス&コミットメント・セラピーにおける治療段階、および、その介入によって獲得されたクライエントの姿勢を指す。CHの獲得の効果を検討した研究はなく、その理由としてその弁別法がない点が挙げられた。そこで、本研究では、行動分析学における「言行一致」を用いて、CHの獲得を弁別し、その効果を検討することを目的とした。社会的場面への回避傾向の高い大学生17名に対して、CH Rationale(講義とエクササイズ)を実施した。結果として、CHが獲得された言行一致群は他群と比べ、介入後のRationaleに関する習得度が最終的に高くなる傾向が示唆された。また、言行一致群では介入前後で社会的場面への苦痛度や精神的健康が改善することが示された。
著者
伊藤 義徳 長谷川 晃 甲田 宗良
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.51-63, 2010-07-31 (Released:2011-09-01)
参考文献数
88
被引用文献数
2 1 1

The aim of this article was to review the researches on abnormal psychology for depression, and to figure out how to develop the researches in the future. Recently, depression has become a major social problem. Especially, relapse prevention is the most important factor of the depression care. There, we reviewed the researches on abnormal psychology referring the relapse prevention of depression by focusing on the researchers who are active on this field. The main topics of the present article were below: the emotional processing theory by John D. Teasdale, the first person who has focused on the relapse prevention of depression, 2) the researches that substantiate the theory, and the distinguishing phenomenon related to the relapse, 3) the researches on the effect and mechanism of MBCT that is developed for the relapse prevention of depression, and 4) the research trend of Ed Watkins and Jutta Joormann who lead the recent growth of the abnormal psychology on the depression, and the relations between their theory and the MBCT. At the last, the future directions of the researches on the relapse prevention on depression were discussed. Furthermore, it was noted that the perspective which was necessary to understand the mindfulness was beneficial when think of emotion regulation too.
著者
酒井 美枝 伊藤 義徳 甲田 宗良 武藤 崇
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 = Japanese journal of behavior therapy (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.1-11, 2013-01-31
参考文献数
27

「創造的絶望(絶望から始めよう) : Creative Hopelessness(CH)」とは、不快な私的事象を制御することへの動機づけの低減を目的としたアクセプタンス&コミットメント・セラピーにおける治療段階、および、その介入によって獲得されたクライエントの姿勢を指す。CHの獲得の効果を検討した研究はなく、その理由としてその弁別法がない点が挙げられた。そこで、本研究では、行動分析学における「言行一致」を用いて、CHの獲得を弁別し、その効果を検討することを目的とした。社会的場面への回避傾向の高い大学生17名に対して、CH Rationale(講義とエクササイズ)を実施した。結果として、CHが獲得された言行一致群は他群と比べ、介入後のRationaleに関する習得度が最終的に高くなる傾向が示唆された。また、言行一致群では介入前後で社会的場面への苦痛度や精神的健康が改善することが示された。
著者
勝倉 りえこ 伊藤 義徳 根建 金男 金築 優
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.41-52, 2009-01-31

メタ認知的気づきとは、否定的な感情や思考を自己の実体や世界の直接的な反映としてではなく、過ぎ行く心的な出来事として経験するプロセスであり、反復性うつ病の脆弱性の改善との関連が指摘されている。本研究では、認知プロセスを変容させると考えられるマインドフルネストレーニングの中核的技法である坐禅の訓練が、大学生の抑うつ傾向およびメタ認知的気づきに及ぼす影響について検討する。結果として、坐禅訓練が大学生の抑うつ傾向と反すう的思考スタイルを減弱し、またその効果はメタ認知的気づきの獲得を媒介して発揮されている可能性が示唆された。今後は、本研究で得られた予備的知見を、臨床群においても検証することが望まれる。
著者
伊藤 義徳 金築 優 根建 金男
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.97-108, 2001-09-30 (Released:2019-04-06)

本研究では、認知心理学において注目されている自動的処理と統制的処理という概念が、認知行動療法(CBT)に及ぼした影響について展望するとともに、この概念を積極的に取り入れることが、さらなる臨床心理学の発展に寄与する可能性について考察を行った。自動的処理と統制的処理は、人の認知過程において、意識しないままに行えてしまう活動と、子細に注意を払いながら行う活動があるという事実に着目した理論である。感情の喚起により統制的処理が阻害され、相対的に自動的処理が優位になるという相互の関係性があり、特に感情情報に対する処理過程は、感情障害のメカニズムを説明するモデルにおいて重要な役割を担っている。また、処理の二過程理論は認知・社会心理学の幅広い分野で応用されており、臨床領域においても、さまざまな応用が可能であると考える。こうした他分野の知見を積極的に臨床活動に応用してゆくことが、認知臨床心理学の役割であると考える。
著者
勝倉 りえこ 伊藤 義徳 根建 金男 金築 優
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.41-52, 2009-01-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
2

メタ認知的気づきとは、否定的な感情や思考を自己の実体や世界の直接的な反映としてではなく、過ぎ行く心的な出来事として経験するプロセスであり、反復性うつ病の脆弱性の改善との関連が指摘されている。本研究では、認知プロセスを変容させると考えられるマインドフルネストレーニングの中核的技法である坐禅の訓練が、大学生の抑うつ傾向およびメタ認知的気づきに及ぼす影響について検討する。結果として、坐禅訓練が大学生の抑うつ傾向と反すう的思考スタイルを減弱し、またその効果はメタ認知的気づきの獲得を媒介して発揮されている可能性が示唆された。今後は、本研究で得られた予備的知見を、臨床群においても検証することが望まれる。
著者
重松 潤 伊藤 義徳 神谷 信輝 平仲 唯 木甲斐 智紀 尾形 明子
出版者
公益財団法人 パブリックヘルスリサーチセンター
雑誌
ストレス科学研究 (ISSN:13419986)
巻号頁・発行日
pp.2017005, (Released:2017-08-30)
参考文献数
21

Despite the fact that induced discovery is considered to be an essential element of cognitive behavioral therapy, fundamental study of it is still uncommon. Through an empirical examination of this point, the paper notes how some previous studies have incorporated the perspective of “Total conviction” which is a core element of induced discovery. However, the factors promoting “Total conviction” are yet to be examined. Therefore, in this study, in order to model and investigate the hypothesis that an “impasse” in everyday problem-solving situations can serve to promote “Total conviction” toward problem-solving strategies, as well as inspire a sense of willingness toward a problem, we conducted a questionnaire survey of 368 university students. This resulted in a model showing a series of associations whereby the mediation of “Total conviction” by the intensity of an “impasse” exerted a positive effect on willingness to engage with a problem. This study suggests the possibility that an everyday “impasse” may be a driving factor in bringing about problem-solving behavior.
著者
宗澤 岳史 伊藤 義徳 根建 金男
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.123-132, 2007-09-30 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
4

入眠困難にかかわる認知的要因のひとつとして、入眠時認知活動(pre-sleep cognitive activity:PCA)は重要な役割をもつとされる。本研究は、PCAの程度を測定する指標として、入眠時認知活動尺度(the Pre-Sleep Cognitive Activity Scale:PCAS)の作成と信頼性、妥当性の検討をおこなったものである。PCASは、因子1:ネガティブな考え事・感情、因子2:眠れないことへの不安、因子3:眠れないことがもたらす影響への心配、の3因子で構成されており高い信頼性が認められた。また、他尺度との相関を検討することにより妥当性の確認をおこなった。本研究結果は、PCASの信頼性と妥当性を示すものとして十分なものであった。本研究で作成されたPCASは、今後の入眠困難の認知的側面の研究に、その有用性が期待できる。
著者
砂田 安秀 甲田 宗良 伊藤 義徳 杉浦 義典
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
pp.26.3.11, (Released:2018-01-30)
参考文献数
25

本研究では,約半数のADHDの成人に併発する症状である成人のSCT症状を測定する尺度を開発し,妥当性を検討した。この新たな尺度の狙いは,既存の尺度の項目が抑うつと類似しているために抑うつとの弁別性が乏しい問題を克服することであった。文献のレビューによってSCT項目が選定され,専門家によって内容的妥当性の検討が行われた。これらの項目は抑うつ気分でないときの状況について回答されるものであった。大学生471名が質問紙に回答し,因子分析によって項目の選定が行われた。ジョイント因子分析によって,本SCT尺度は抑うつからの十分な弁別性を有していることが示された。最終的なSCT尺度(9項目)は,収束的妥当性,弁別的妥当性,内的一貫性の高さが示された。
著者
長谷川 晃 伊藤 義徳 矢澤 美香子 根建 金男
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.68-71, 2010-08-31 (Released:2010-08-18)
参考文献数
7

The present study was conducted to revise the Japanese version of the Depressive States Checklist (JDSC), and to evaluate the construct validity of the revised version. Undergraduate students participated in two questionnaire studies. In Study 1, items with sufficient face validity and factorial validity representing the self-devaluative view and affective components were selected for the revised version of the J-DSC (JDSC-R). In Study 2, each factor of the J-DSC-R showed adequate construct validity because the correlation coefficients among the factors of the J-DSC-R, depressive symptoms, and depressive rumination generally supported the hypothesis. The J-DSC-R can be used to contribute to the understanding of vulnerability to depression.
著者
勝倉 りえこ 伊藤 義徳 児玉 和宏 安藤 治
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.139-147, 2008-02-01
被引用文献数
1

目的: 外来患者に対して,簡便で手軽なマインドフルネスに基づくストレスリダクションプログラムの効果を検討することを目的とした.方法: 外来患者8名を対象に,1カ月間,自宅での瞑想訓練の実施と,毎回の練習前後の気分状態と,ベースラインから3カ月後フォローアップまでの6段階における特性指標(心身の健康度,認知的スキル,認知スタイル,スピリチュァルな精神的態度)の測定を行った.結果と考察: 瞑想訓練による気分への即時的改善効果は認められなかった.特性指標の変化として,心配に関するネガティブな信念といったメタ認知的信念の改善が認められた.また,これらの効果の媒介要因である破局的思考を緩和させる認知的スキルの向上と,自動的処理思考が減少した.さらに訓練を十分に行えた患者のほうが,認知的スキルの獲得が促進された.本プログラムが医療現場における日常臨床を補完する可能性が示唆された.
著者
伊藤 義徳 根建 金男
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.33-46, 2001-03-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
1

本研究では、ネガティブ感情の喚起がセルフモニタリング能力に及ぼす影響について検討を行った。38名の情緒安定性の高い、あるいは低い大学生を対象として、手話の指文字を観察し、再生する課題を行わせた。情緒安定性の高い者と低い者を、それぞれネガティブ感情喚起群と中性的刺激群の4群に振り分けた。プリテストとポストテストの間に感情を操作する刺激をVTRにより呈示した。再生の程度に対する客観的評定の得点から主観的評定の得点を減じた値をセルフモニタリング得点とした。その結果、ネガティブ感情を喚起させる群では、セルフモニタリングの得点が刺激を呈示する前から後にかけて上昇し、再生に要する時間が長くなることが示された。このことは、ネガティブ感情の喚起が、セルフモニタリング能力を低下させることを示唆している。本研究の結果をもとに、認知心理学の知見をセルフコントロール研究に応用することの意義について考察した。
著者
伊藤 義徳 安藤 治 勝倉 りえこ
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.233-239, 2009-03-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
19
被引用文献数
4

近年,瞑想などを取り入れたマインドフルネスに基づく心理療法が注目されている.本研究の目的は,禅的瞑想を取り入れた集団トレーニングプログラムを作成し,このプログラムが,一般健常者の精神的健康に及ぼす影響について実験的に検討を行うことであった.また,効果の媒介変数として,認知的要因を想定して検討を行った.インフォームド・コンセントに同意した20名の一般健常者が抽出され,4週間のうちにほぼ毎日の自宅練習と週1回の集団セッションが課せられた,瞑想の練習は,教示の吹き込まれたCDに従い,いつでも気軽に行えるよう工夫されていた.その結果,本プログラムは,精神的健康における抑うつ傾向の軽減と,認知的側面においては思考抑制の減少,破局的思考の緩和能力の向上,理性的思考と感情的思考のバランスの回復などの効果をもたらすことが示された.本研究の可能性と限界について考察がなされた.