著者
松村 耕平 尾形 正泰 小野 哲雄 加藤 淳 阪口 紗季 坂本 大介 杉本 雅則 角 康之 中村 裕美 西田 健志 樋口 啓太 安尾 萌 渡邉 拓貴
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2017-HCI-174, no.13, pp.1-8, 2017-08-16

ACM CHI に採録された論文を読み合う勉強会,CHI 勉強会 2017 を開催した.勉強会では ACM CHI2017 に採録された 599 件の論文を参加者が分担して読み合う.これによって,参加者は先端の HCI 研究を概観することができる.本年度は,勉強会をスムースに実施し,また,参加者の支援を行うために支援システムを導入した.システムの分析から,CHI 勉強会がどのような特徴を持っているのか,そして今後どのようにデザインされていくべきなのか議論する.
著者
小山 裕己 坂本 大介 五十嵐 健夫
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.1_63-1_77, 2016-01-26 (Released:2016-03-26)

視覚的なデジタルコンテンツの編集,例えば写真の色補正などにおいて,パラメタ調整は最も基本的な作業の1つであるが,特に調整すべきパラメタが多数ある場合には,デザイン空間,すなわちパラメタ空間を探索することに多くの時間と労力が必要となる.このようなパラメタ調整に基づく視覚デザインの探索を支援するため,本論文ではまず,パラメタ空間を解析することでデザインの「良し悪し」の空間分布を推定する手法を提案する.この推定はクラウドソーシングを用いたヒューマンコンピュテーションによって生成されるデータをもとに行われ,この推定の結果,ユーザはgoodness functionと呼ばれる,パラメタ空間中の任意のデザインに対してその「良し悪し」の程度を計算する関数を得ることができる.本論文では更に,そのようにして得られるgoodness functionを利用した視覚デザイン探索支援のための2 つの新しいユーザインタフェースを提案する.(1) Smart Suggestion は比較的「良い」デザインを選択的に提示する機能である.(2) VisOpt Slider は「良し悪し」の分布を対話的に可視化(Vis:visualization)する機能を有するスライダであり,更にユーザが値を編集している最中により「良い」パラメタへと対話的に最適化(Opt: optimization)する機能も有する.また,本論文では提案手法を4つの異なるデザイン領域に適用した結果も報告する.
著者
坂本 大吾 橋本 浩二 米本 清 柴田 義孝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.18, pp.7-12, 2000-02-09
参考文献数
3
被引用文献数
2

本論文では、災害時に有効な情報ネットワークシステムについての基本的考察を行う。まず第一に、現在のシステムの問題点、災害情報ネットワークシステムに要求される必要条件を考察する。これらの問題点を改善と必要条件を考慮するため、モバイル環境を基本に、GPSなどの新しい技術との融合し、災害時であっても被災地の住民が情報の発信と収集ができ、さらに被災地外の人々もインターネットを利用することにより、被災地の情報を入手可能な情報通信システムを提案する。特に、被災者の安否情報や各避難所で必要な救援物資の情報を、被災地外にすばやく公開し、また災害発生直後から、被災者一人一人に安全確保のための適切な情報を配信できる情報通信手段を考察する。最後に、被災者の安否情報を、被災地に構築した無線通信網を使って収集し、インターネットを通して広く公開可能なプロトタイプシステムの設計について述べる。In this paper, disaster prevention information network for earthquake, mountain explosion, hydraulic bore, are discussed. System requirements and functionalities for there systems are analyzed. We proposed a new information network system based on radio and wireless communication to satisfy those requirements, including GPS function, Internet information multicast function, bidirectional communication function. Various types of source information when disaster happened to be collected or broadcasted are pricisely discussed. Finally a prototyped system based on radio and wireless network is discussed.
著者
向江 亮 木方 真理子 小林 和幸 坂本 大樹
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
日本エネルギー学会誌 (ISSN:09168753)
巻号頁・発行日
vol.99, no.3, pp.28-40, 2020-03-20 (Released:2020-03-31)
参考文献数
13

本研究の目的は,人々の冷暖房などのエネルギー利用に対する態度や省エネルギー行動が,熱中症やヒートショックの健康への影響についての認識や対策の実施とどのように関連しているかについて検討を行うことであった。本研究では,2018年2月に実施した旧東京電力供給エリア内の住民を対象としたライフスタイルに関する調査に回答した3066名を対象として二次分析を行った。ロジスティック回帰分析の結果,住宅の建築年や健康への態度・行動,冷暖房への態度・行動,省エネ行動が,熱中症やヒートショックの健康への影響の認識や対策実施と関連することが示された。また,熱中症とヒートショックでは,関連の仕方に違いが見られることも示された。一方で,利用できるデータの限界によって,その検討は十分なものではなかった。今後は,項目や方法を洗練させ,より具体的な検討ができるように研究を発展させていくとともに,生活者の行動促進に向けた具体的な施策の立案とその検証が求められる。
著者
岩永 光巨 亀崎 秀宏 黒杉 茜 妹尾 純一 坂本 大
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.110, no.2, pp.282-288, 2021-02-10 (Released:2022-02-10)
参考文献数
16

54歳,女性.26歳時より,3カ月に1回程度の頻度で発作的に腹痛及び発熱を繰り返していた.精査を行うも原因不明であった.長男が家族性地中海熱(familial Mediterranean fever:FMF)の診断を受けたことを契機に,本人も28年越しにFMFと診断されるに至った.治療介入(コルヒチン内服)を行い,QOL(quality of life)は飛躍的に上昇した.本疾患の認知度が上がるにつれて,診断される症例数も増えている.周期的な発熱及び腹痛の鑑別疾患として,FMFを念頭に置くことは重要である.
著者
田中 均 高橋 努 一瀬 めぐみ 坂本 大輔 林 智洋 本多 栄喜
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学教育学部紀要. 自然科学 (ISSN:04546148)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.61-70, 2007-11-30

Mukujima Island is 16 kilometers northeast of Tsukumi City, Oita Prefecture, and is geotectonically occupied by the Chichibu Terrain of the Outer Zone of Southwest Japan. In this area the Upper Mesozoic strata are exposed in Jimukujima and Okimukujima Islands, and are lithostratigraphically divided into four formations, i.e. Mukujima, Jimukujima, Okimukujima and Bungo Formations in ascending order. In this paper, the stratigraphy is described in some detail, with remarks on correlation, and the features of the bivalve faunas are made clear. The Mukujima Formation, about 65m thick, is characterized by the predominance of feldspathic quartzsandstone. Several shallow marine bivalves which were conspecific with the bivalves from the Torinosu Group in Sakawa, Sakamoto, Yatsushiro and Tanoura areas, and Soma Group (Nakanosawa Formation) in Soma area, and the fragmental plant fossils occur from this formation. From the faunal aspects and lithological characters, the Mukujima Formation is best comparable to the Torinosu Group in Shikoku, and is assigned to the Late Jurassic. The Jimukujima Formation about 550m thick is in fault contact with the Mukujima Formation. The formation is characterized by the frequent occurrence of red-colored rocks, with intercalation of brackish-water shell beds. From the fossil-contents (Ryoseki fauna) and lithological characters, the formation is comparable to the Ryoseki Formation of the Monobegawa area, the Koshigoe Formation of the Haidateyama area, the Togawa Formation of the Gokase area and the Kohara Formation of the Yatsushiro area.
著者
桂 大地 大内 昴 坂本 大介 小野 哲雄
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.798-810, 2021-11-15 (Released:2021-11-15)
参考文献数
57

スポーツ心理の分野で応援する観客の存在は競技者の精神状態にポジティブな影響があるとされている.スポーツにおいて,選手のモチベーションを高めることを目的にコーチやパートナーとしてのエージェントの効果を検証する研究が行われてきている一方で,エージェントからの応援の効果は検討されてきていない.本研究ではエージェントによる応援の影響を調査するために,予備実験による実験条件の検討後,競技者の動機づけに対するエージェントの応援の有効性の検討を目的に2つの調査を行った.予備実験では応援のタイミングやエージェントの応援に適したジェスチャの選定を行った.第1調査「動画による仮想エージェントの応援の印象調査」では,初心者とエキスパートそれぞれに「CGアニメーションと音声のエージェントによる応援」,「音声エージェントによる応援」,「応援なし」の3条件による競技者を応援するエージェントの印象をWebアンケートで比較した.続いて第2調査「競技中の参加者に対する仮想エージェントの応援の有効性検証」では初心者に対して「CGアニメーションと音声のエージェントによる応援」,「応援なし」の2条件でのエージェントから競技者への応援の印象を実験室実験で比較した.第1調査からは「CGアニメーションと音声のエージェントによる応援」が競技者のモチベーションを高める効果があることが明らかになった.第2調査からは「CGアニメーションと音声のエージェントによる応援」が競技者のモチベーション及び作業成績を高めることが確認された.
著者
後藤 健斗 水丸 和樹 坂本 大介 小野 哲雄
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:21888698)
巻号頁・発行日
vol.2022-UBI-76, no.28, pp.1-8, 2022-11-01

“天使と悪魔” は道徳的ジレンマを表現する方法として用いられる.本研究では,天使と悪魔の関係をロボットで再現し,ジレンマ状況の中で人間の自制心,意思決定や行動がどのように変化するかを調査する.ロボットの条件を Neutral,Angel,Devil とし,実験参加者を Neutral-Neutral 群と Angel-Devil 群に分け,紙にアルファベットを書き続けるというタスクを行ってもらうことで,タスクの継続時間から 2 つの群の自制心を比較した.その結果,Angel-Devil 群のほうが有意にタスクの継続時間が長くなった.また,Godspeed によるロボットの印象評価を行ったところ,擬人化や好ましさの項目においてロボットの条件間で有意差が確認された.実験後アンケートでは,ロボットが Angel と Devil の役割を果たすことができたと考えられる回答がみられた.
著者
巻口 誉宗 高田 英明 坂本 大介 小野 哲雄
雑誌
情報処理学会論文誌デジタルコンテンツ(DCON) (ISSN:21878897)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.1-10, 2020-02-26

遠隔地のスポーツのライブビューイングやステージイベントなどのエンターティンメント分野において,半透過スクリーンやハーフミラーを用いて被写体を空中像で表示する演出手法が活用されている.これまでこうした演出手法では,空中像を表示させたい領域に大がかりな装置を設置する必要があり,被写体の移動範囲が制限されていた.そこで我々は,空中像をステージ外や観客席に移動させる演出の実現を目的とし,可搬型のサイズ・構成で臨場感の高い空中像を表示できる両面透過型多層空中像表示技術を提案する.本手法は4台のディスプレイと4枚のハーフミラーを組み合わせたシンプルな光学系で構成される.観察者は装置の正面と背面の2方向から被写体の両面を空中像として観察でき,両面それぞれから近景と遠景の2層の背景空中像を観察できる.提案手法では表示面は4面しか持たないものの,ハーフミラーによる透過と反射によって背景の2層を正面・背面の観察方向で共有することで,両面それぞれから3層,合計6層の空中像を視聴できる.さらに,近景と遠景は正面・背面の観察方向にかかわらずに光学的な奥行きの順序関係が保たれることから,複数人が同時に装置両面から,多層化された臨場感の高い空中像を視聴できる.本稿では提案手法の光学構成の詳細から,実用性評価のために行ったプロトタイプ実装とイベントでの活用事例まで広く報告する.
著者
秋葉 翔太 崔 明根 坂本 大介 小野 哲雄
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.689-700, 2021-02-15

本研究ではスマートフォンの片手操作時においてグループ化された複数のターゲットをユーザがタッチした際に,グループ内のターゲットを半円状に再配置した場合のターゲット選択手法を3つ提案する.提案手法では選択ターゲットを明示的に示すために,タッチされた点を中心として,選択候補となるターゲットすべてが指に被らないように指の周りに半円状に再配置する.本研究では,再配置した目標ターゲットを選択する手法として,目標ターゲットの方向へ直接指を傾けて選択するOne Half-Pie,2段に配置されたターゲットを押し込み動作によって切り替えながら選択するTwo Half-Pie,タッチした地点からドラッグした量に応じてターゲットの選択が行われるRailDraggerの3つの選択方法を実装し評価する.実験では3つの選択手法を用いてそれぞれポインティングタスクを行い,選択終了までの時間と選択精度の観点から選択手法の評価を行った.その結果,提案する3手法において選択時間に関してはRailDraggerが,選択精度に関してはTwo Half-Pieが最も優れていることが分かった.
著者
杉浦 裕太 筧 豪太 ウィタナ アヌーシャ 坂本 大介 杉本 麻樹 五十嵐 健夫 稲見 昌彦
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.209-217, 2015

We present the FuwaFuwa sensor module, a round, hand-size, wireless device for measuring the shape deformations of soft objects such as cushions and plush toys. It can be embedded in typical soft objects in the household without complex installation procedures and without spoiling the softness of the object because it requires no physical connection. Six LEDs in the module emit IR light in six orthogonal directions, and six corresponding photosensors measure the reflected light energy. One can easily convert almost any soft object into a touch-input device that can detect both touch position and surface displacement by embedding multiple FuwaFuwa sensor modules in the object. A variety of example applications illustrate the utility of the FuwaFuwa sensor module. An evaluation of the proposed deformation measurement technique confirms its effectiveness.
著者
坂本 大祐
出版者
京都産業大学通信制大学院経済学研究会
雑誌
京都産業大学経済学レビュー (ISSN:21880697)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.80-104, 2014-03

我が国の近代水道は明治 20 (1887 )年横浜で初めて創設され、その後、全国で創設・普及していく。本稿は、創設期の近代水道がどような背景で整備され、その財源を日本経済そのもが未熟であった当時にどのように確保し、ま水道経営を維持させてきかを、明治20年から大正3年に整備された近代水道施設を対象にして整理・考察したものである。そして、近代水道整備事業の財源70% 以上が地方債を占め、そのおよそ半分が外資であったこと、また水道料金の適切な設定などによる水道経営を行うことにより地方債の元利償還を図り、水道を経営的に破綻させることなく、常に安全な水を供給できる水道として維持させきた、という史実を明らかにした。
著者
三上 裕明 坂本 大介 五十嵐 健夫
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.1-14, 2015-12-04

APIの理解と使い方の学習は,プログラマにとって重要であるが,時間のかかる作業である.APIを理解するための方法の1つとして,チュートリアルがある.チュートリアルは,複数のサンプルコードおよびその説明と,それらのリストからなるドキュメントであり,ライブラリの基本的な機能の使い方を提示する.現在,チュートリアルはライブラリの開発者が記述しているが,チュートリアルを書くことは手間がかかる作業である.そのため,チュートリアルが更新されず,最新のAPIの使い方がチュートリアルで説明されていない場合がある.この問題に対処するため,本論文では,単体テストからチュートリアルを自動的に生成する手法を提案する.本手法では最初に,単体テストから実行可能なサンプルを生成する.次に,サンプルの説明を生成するために,プログラム可視化の技法を用いる.また,サンプルコードのリストを作るために,単体テスト間の依存関係を用いる.具体的には,実行時情報を用いて単体テストの依存関係を抽出し,そしてその依存関係をもとにサンプルコードを順序付けする.本手法の有効性を確認するためにユーザスタディを実施した.この結果,本手法を用いて生成されたチュートリアルを用いることで,自動生成された既存のAPIドキュメントの場合よりもAPIを効率的に理解できるという結果が得られた.
著者
坂本 大祐
出版者
京都産業大学通信制大学院経済学研究会
雑誌
京都産業大学経済学レビュー (ISSN:21880697)
巻号頁・発行日
no.1, pp.80-104, 2014-03

我が国の近代水道は明治 20 (1887 )年横浜で初めて創設され、その後、全国で創設・普及していく。本稿は、創設期の近代水道がどような背景で整備され、その財源を日本経済そのもが未熟であった当時にどのように確保し、ま水道経営を維持させてきかを、明治20年から大正3年に整備された近代水道施設を対象にして整理・考察したものである。そして、近代水道整備事業の財源70% 以上が地方債を占め、そのおよそ半分が外資であったこと、また水道料金の適切な設定などによる水道経営を行うことにより地方債の元利償還を図り、水道を経営的に破綻させることなく、常に安全な水を供給できる水道として維持させきた、という史実を明らかにした。
著者
東 幸児 石橋 達郎 坂本 大和 後藤 良幸 鵜殿 翔太 中村 明生
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 第33回九州理学療法士・作業療法士合同学会 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
pp.73, 2011 (Released:2012-03-28)

【はじめに】 高度外反膝に対するTKAで問題となるのは,変形を如何に矯正し,良いアライメントを得て,機能的な膝を獲得するかである.そのためには機種の選択・軟部組織の処置などが重要となってくる.また膝蓋骨においては術前に外方偏位しており術後トラッキングの不良例が多いとの報告もある.膝蓋骨トラッキング異常は膝関節屈曲制限・大腿四頭筋筋力低下・滑膜炎などの二次的問題を惹起する.今回,高度外反変形膝を呈した症例に二期的に手術を行い膝蓋骨に対する内外側張力バランスに着目し理学療法を行なう機会を得たのでここに報告する.【症例紹介】 氏名I 60歳代 13歳の時に交通事故に会い左大腿骨顆上骨折受傷.保存的に加療を行うが外反位にて変形治癒.徐々に下肢外反強くなりニ次性変形性膝関節症となる.一年ほど前から歩行困難となり当院受診.FTA135度と高度外反位を呈していた.【経過】 術前はX線にて著名な膝蓋骨脱臼を呈していた.first stageとして左膝関節形成を目的にTKA・腸脛靭帯切離・膝窩筋腱切離・外側膝蓋支帯切離を施行.FTA145度に改善するも膝蓋骨脱臼を認めた.second stageとしてアライメント矯正を目的に大腿骨内反骨切り術・脛骨粗面内側移動術・内側支帯縫縮・内側広筋腱縫縮術を施行.FTA165度・膝蓋骨傾斜角11度に改善した.術後18ヶ月膝蓋骨傾斜角12度.【考察】 本症例では高度外反変形矯正による軟部組織の機能改善が大きな問題となった.一般的に外反膝の矯正では膝関節内側組織の弛緩状態・外側組織の短縮が問題となる.本症例においてもFTA135度の高度外反変形膝を矯正したことにより内側広筋の弛緩,腸脛靭帯・外側広筋の短縮を呈した.軟部組織処理として内側広筋腱の縫縮術が行なわれたが内側広筋は収縮を認めるものの筋張力は不十分なものであった.内側広筋は膝関節最終伸展域においてFTA・外側広筋による膝蓋骨外方作用に相反し膝蓋骨固定を得て大腿直筋の伸展作用を効率的に脛骨へ伝える作用がある.内側広筋の機能低下は膝蓋骨外側偏位傾向を強め,膝伸展機構・膝蓋骨トラッキング異常を惹起する.本症例において内側広筋の機能改善は多くは望めないと考え,腸脛靭帯・外側広筋の短縮・大腿筋膜の緊張不均衡による過剰な外側引き付け作用を減じていくことに着目し理学療法を展開した.術後18ヶ月経過後も膝蓋骨の外側偏位の悪化は認めず良好な状態を維持できていた.【まとめ】 TKAにおいては下肢機能改善を図り「長く使える関節」とするかは術後リハビリテーションによるものが大きい.本症例において内側広筋機能不全の影響を最小限にするため,外側広筋・腸脛靭帯・大腿筋膜の緊張不均衡に着目することにより良好な経過をたどることが出来たと考える.今回の発表にあたり本人へ十分な説明を行い同意を得た.
著者
中嶋 誠 坂本 大介 五十嵐 健夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.1317-1327, 2015-04-15

本論文では,アナログ画材によりオフライン彩色された画像素材を,デジタルなFlashスタイルアニメーション制作に取り入れる統合的なワークフローを提案する.デジタルなオーサリング手法には,下描き段階での編集のしやすさ等の利点があり,アナログ画材による彩色は,有機的な質感を演出するのに有効である.しかし両者の連携には手間がかかるため,効率的な連携ワークフローを提案する.まずユーザは,デジタルソフトウェアでキャラクタのスケッチと,動きの設計を行う.次にシステムが,ユーザの描いたレイヤ画像をまとめて紙に印刷し,ユーザは任意のアナログ画材を用いて彩色する.最後に,彩色済み用紙をスキャンし,システムが自動でアニメーションに再構成する.提案ワークフローの実装例を示し,ユーザの作例と得られたコメントを通して,提案システムの利点と将来課題について考察する.We present an animation creation workflow for integrating offline physical, painted media into the digital authoring of Flash-style animations. Digital authoring methods are full of useful nonlinear editing features. Physically painted media can provide organic atmosphere to animation. To incorporate both in a labor-saving manner, we present a workflow that integrates the offline painting and digital animation creation processes. First, a user makes a rough sketch of the visual elements and defines their movements using our digital authoring software with a sketch interface. Then these images are exported to printed pages, and users can paint using offline physical media. Finally, the work is scanned and imported back into the digital content, forming a composite animation that combines digital and physical media. We present an implementation of this system to demonstrate its workflow. We also discuss the advantages of using physical media in digital animations through design evaluations.