- 著者
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大坪 寛子
山口 一成
星 順隆
- 出版者
- 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
- 雑誌
- 日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
- 巻号頁・発行日
- vol.54, no.3, pp.372-377, 2008
【目的】輸血による細菌感染症は致命的な副作用の一つである.<br> 我々は溶存酸素測定装置(株式会社ダイキン工業)にて細菌接種血小板製剤における検出感度について検討した.【方法】血小板製剤に<i>Staphylococcus aureus</i>,<i>Staphylococcus epidermidis</i>,<i>Serratia marcescens</i>,<i>Bacillus cereus</i>,<i>Streptococcus pneumoniae</i>及び<i>Propionibacterium acnes</i>を接種(最終濃度10<sup>0</sup>,10<sup>1</sup>,10<sup>2</sup>CFU/m<i>l</i>)した製剤から,抽出した検体1m<i>l</i>内の溶存酸素濃度を連続測定した.【成績】検出感度は<i>S. aureus</i>において10<sup>0</sup>,10<sup>1</sup>,10<sup>2</sup>CFU/m<i>l</i>でそれぞれ28.6%,78.6%,85.7%であった.<i>S. epidermidis</i>では23.0%,84.6%,92.3%,<i>S. marcescens</i>で50%,100%,100%,<i>Bacillus cereus</i>で57.1%,100%,100%であった.好気性細菌の検出時間は7∼18.2時間であった.【結論】好気性細菌では初期の混入濃度が10<sup>1</sup>CFU/m<i>l</i>以上存在すれば20時間以内に検出が可能であった.低コストで簡便な細菌検出システムとして血小板製剤の安全性に有用であると考えられた.<br>