著者
江島 晶子 戸波 江二 建石 真公子 北村 泰三 小畑 郁 本 秀紀 薬師寺 公夫 阿部 浩己 村上 正直 齊藤 正彰 鈴木 秀美 大藤 紀子 戸田 五郎 門田 孝 申 惠ボン 山元 一 中井 伊都子 馬場 里美 西方 聡哉 須網 隆夫 愛敬 浩二 徳川 信治 前田 直子 河合 正雄 菅原 真 辻村 みよ子 根岸 陽太 村上 玲
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は、グローバル化する世界における法のありようとして、「憲法の国際化」と「国際法の憲法化」という現象における両者の接合面に注目し、人権実施における問題点を明らかにしながら、より実効的な人権保障システムに関する理論構築を目指した。その結果、「憲法の国際化」と「国際法の憲法化」の接合面において比較憲法と国際人権法の積極的接合関係を観察することができ、人権保障の実効性を高める新たな人権保障システムを構築することは可能であり、そこでのキー概念は多元性、循環性、非階層性であることが析出できた。
著者
大藤 紀子
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.3-33, 2007-12-17

フランスは,テロに対する法的対応措置を採る上で,80年代当初から「安全」と「自由」という二つの憲法上の権利の間で「調整」を図ってきたが,9.11事件以降,国内に目が向けられ,かつ予防政策に力点が置かれる中で,「自由」に対する制約は,次々と拡大する傾向にある.「テロ」は,抑止・予防すべきものという観点から,刑法典の上でも明確な定義を欠いたまま,刑の加重や刑事手続の通用等において,特別ないし例外的な扱いをされている.この扱いは,「テロ行為」の「特有の性質」,犯罪の深刻さ,重要性に由来するものとされるが,「安全」と「自由」との従来からの二律背反関係に,別の視点を導入することの必要性を導くものである.本稿は,関連する憲法院判決を随時参照しつつ,「安全」と「自由」のバランスについて考察した後,フランスにおけるテロ対策の法的枠組および近年採られたテロの予防措置について概観し,問題提起を試みるものである.