著者
北島 晴美 太田 節子
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.100141, 2011 (Released:2011-11-22)

1.はじめに日本では,1966年に死亡数が最少の670,342人となった。その後,高齢化の進行とともに死亡数が増加 し,粗死亡率も1979年に最低値6.0(人口1000対)を記録したが,その後は上昇傾向にある。一方,年齢調整死亡率は,粗死亡率が上昇に転じた後も低下傾向にある。粗死亡率の上昇は,老年人口の増加,年少人口の減少により,人口構成が変化し,死亡数が増えたことに起因する。今後,さらに高齢化が進行し,粗死亡率の上昇傾向も継続し,医療費や社会福祉など様々な分野での対応が急務とされる。本研究では,高齢者(65歳以上)の月別,年齢階級別,死因別の死亡について特徴を把握した。2.研究方法使用したデータは,2001~2009年人口動態統計年報(確定数),2010年人口動態統計月報(概数)(厚生労働省)である。月別死亡率の季節変化,年次推移を把握するために,1日当り,人口10万人対の死亡率を算出し,月別日数,閏年の日数の違いによる影響を除去した。また,各年の月別死亡率は,推計人口(各年10月1日現在,日本人人口)(総務省統計局)を用いて算出した。高齢者死亡率は,65歳以上と,65~74歳,75~84歳,85歳以上の年齢階級に分割したものを検討した。3.月別死亡率の変化傾向総死亡(全年齢階級,全死因)の月別死亡率は,2001~2010年において,いずれの月も変動しながら上昇傾向にあり,死亡率は冬季に高く夏季に低い(厚生労働省,2006,北島・太田,2011)。高齢者の場合も,65~74歳(図1),75~84歳,85歳以上の年齢階級のいずれにおいても,月別死亡率は,冬季に高く夏季に低い傾向がある。2001~2010年の10年間の月別死亡率年次推移は, 65~74歳(図1),75~84歳では,いずれの月の死亡率も,次第に低下する傾向が見られる。85歳以上の死亡率は,年による変動が大きい。4.4大死因別死亡率の季節変化2009年確定数による,65歳以上,各月,4大死因別死亡率は,悪性新生物には季節変化が見られないが,心疾患,脳血管疾患,肺炎の死亡率は,いずれも冬季に高く夏季に低い傾向がある。冬と夏の死亡率比(65歳以上,最高死亡率(1月)/最低死亡率(7月または8月))は,心疾患1.7,脳血管疾患1.4,肺炎1.6である。
著者
田原 育恵 堀内 美由紀 安田 千寿 筒井 裕子 太田 節子
出版者
聖泉大学
雑誌
聖泉看護学研究 (ISSN:21871981)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.59-67, 2013-04

背景 近年,要介護状態の後期高齢者は急増し,施設利用を自ら選択する意向もみられる.しかし 高齢者にとって施設入所による環境変化は,重大なリスクにつながる.目的 介護老人福祉施設入所による後期高齢者の生活環境変化に適応するための要因を明らかにする.方法 同意が得られた介護老人福祉施設に入所8カ月の94歳の対象Cさんに,インタビュー調査を行った.そして逐語録を作成した後,KJ法の手法を用いて質的に分析した.結果・考察 KJ法の結果66個のラベルが取り出され,ラベルは20個の島に分類された.またこれらの島から11個の表札を抽出した.これらの分析より,生活環境への適応状態には【生活の知恵や判断力に基づいて対処行動がとれる】【自分の居場所が決められる】【職員のケアが適切である】【静かで自然を感じる環境がある】【家族が支えになっている】の5つの要因が関連していることが明らかになった.結論 介護老人福祉施設入所による後期高齢者の生活環境への適応状態を質的に分析した結果, 5つの適応要因の関連が明らかになった.
著者
王 誠明 太田 節子 篠田 雅人
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.109, no.12, pp.949-953, 1989-12-25
被引用文献数
2

The survival effect of mice irradiated with a lethal dose of X-ray was studied by use of 60 kinds of Chinese traditional medicines. Methanol extracts of these medicines were prepared, and then each extract injected intraperitoneally into male mice before or after whole-body irradiation. As a result of these studies, the survival effects with Ogi-kentyu-to, Simotu-to, Sessyoin, Zokumei-to and Boi-ogi-to were observed by intraperitoneal injection before irradiation. Of these effective methanol extracts, only Zokumei-to was shown to have a significant survival effect by intraperitoneal injection after irradiation.
著者
太田 節子 佐藤 禮子
出版者
千葉大学看護学部
雑誌
千葉大学看護学部紀要 (ISSN:03877272)
巻号頁・発行日
no.26, pp.75-83, 2004-03

研究目的は,大腿骨頚部骨折で観血的治療後退院した高齢患者の退院後1年間の身体・精神・社会的特徴とその関連を明らかにし,看護援助の方法を検討することである.研究協力を得た意志疎通可能な65歳以上の患者9名とその家族・介護者を対象とし,退院後1年間数回の半構成質問による面接調査を行い,質的・帰納的に分析した.その結果,1.高齢患者は退院時歩行機能の良否に関わらず,適切な生活訓練により1~3ケ月でほぼ骨折前の生活に戻る.2.身体的,精神的および社会的特徴は①身体・社会的生活は縮小しても,家族の中で役割を果たし無理のない生活を送る②障害を持ちながら努力して生活するが家族は更なる自立を求めるため患者の不満がつのる③補助歩行となり,生活範囲が縮小したが介護者に見守られ規則的な生活を営む④施設リハビリ後,家族支援と介護保険を活用して生活を維持する⑤自宅退院後歩行は回復したが,持病悪化で死の転帰となるの5つを認めた.1年後も復職困難となる本障害の特徴,老化や危険要因を理解し,入院中はもとより外来,訪問看護等の継続看護が必要である.
著者
田原 育恵 堀内 美由紀 安田 千寿 筒井 裕子 太田 節子 タハラ イクエ ホリウチ ミユキ ヤスダ チズ ツツイ サチコ オオタ セツコ Tahara Ikue Horiuchi Miyuki Yasuda Chizu Tsutsui Sachiko Ota Setsuko
雑誌
聖泉看護学研究 = Seisen journal of nursing studies
巻号頁・発行日
vol.2, pp.59-67, 2013-04

背景 近年,要介護状態の後期高齢者は急増し,施設利用を自ら選択する意向もみられる.しかし 高齢者にとって施設入所による環境変化は,重大なリスクにつながる.目的 介護老人福祉施設入所による後期高齢者の生活環境変化に適応するための要因を明らかにする.方法 同意が得られた介護老人福祉施設に入所8カ月の94歳の対象Cさんに,インタビュー調査を行った.そして逐語録を作成した後,KJ法の手法を用いて質的に分析した.結果・考察 KJ法の結果66個のラベルが取り出され,ラベルは20個の島に分類された.またこれらの島から11個の表札を抽出した.これらの分析より,生活環境への適応状態には【生活の知恵や判断力に基づいて対処行動がとれる】【自分の居場所が決められる】【職員のケアが適切である】【静かで自然を感じる環境がある】【家族が支えになっている】の5つの要因が関連していることが明らかになった.結論 介護老人福祉施設入所による後期高齢者の生活環境への適応状態を質的に分析した結果, 5つの適応要因の関連が明らかになった.
著者
北島 晴美 太田 節子
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.100141, 2011

1.はじめに<br>日本では,1966年に死亡数が最少の670,342人となった。その後,高齢化の進行とともに死亡数が増加 し,粗死亡率も1979年に最低値6.0(人口1000対)を記録したが,その後は上昇傾向にある。一方,年齢調整死亡率は,粗死亡率が上昇に転じた後も低下傾向にある。粗死亡率の上昇は,老年人口の増加,年少人口の減少により,人口構成が変化し,死亡数が増えたことに起因する。<br>今後,さらに高齢化が進行し,粗死亡率の上昇傾向も継続し,医療費や社会福祉など様々な分野での対応が急務とされる。本研究では,高齢者(65歳以上)の月別,年齢階級別,死因別の死亡について特徴を把握した。<br>2.研究方法<br>使用したデータは,2001~2009年人口動態統計年報(確定数),2010年人口動態統計月報(概数)(厚生労働省)である。<br>月別死亡率の季節変化,年次推移を把握するために,1日当り,人口10万人対の死亡率を算出し,月別日数,閏年の日数の違いによる影響を除去した。また,各年の月別死亡率は,推計人口(各年10月1日現在,日本人人口)(総務省統計局)を用いて算出した。<br>高齢者死亡率は,65歳以上と,65~74歳,75~84歳,85歳以上の年齢階級に分割したものを検討した。<br>3.月別死亡率の変化傾向<br>総死亡(全年齢階級,全死因)の月別死亡率は,2001~2010年において,いずれの月も変動しながら上昇傾向にあり,死亡率は冬季に高く夏季に低い(厚生労働省,2006,北島・太田,2011)。<br>高齢者の場合も,65~74歳(図1),75~84歳,85歳以上の年齢階級のいずれにおいても,月別死亡率は,冬季に高く夏季に低い傾向がある。<br>2001~2010年の10年間の月別死亡率年次推移は, 65~74歳(図1),75~84歳では,いずれの月の死亡率も,次第に低下する傾向が見られる。85歳以上の死亡率は,年による変動が大きい。<br>4.4大死因別死亡率の季節変化<br>2009年確定数による,65歳以上,各月,4大死因別死亡率は,悪性新生物には季節変化が見られないが,心疾患,脳血管疾患,肺炎の死亡率は,いずれも冬季に高く夏季に低い傾向がある。冬と夏の死亡率比(65歳以上,最高死亡率(1月)/最低死亡率(7月または8月))は,心疾患1.7,脳血管疾患1.4,肺炎1.6である。
著者
北島 晴美 太田 節子
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.138, 2005 (Released:2005-07-27)

1.はじめに 筆者らは,これまで都道府県別平均寿命(0歳平均余命)と気候との関係を,『メッシュ気候値2000』(気象庁)を使用して分析し,_I_期(1923, 1928, 1933)には,男・女の平均寿命と降水量には有意な相関関係がみられることから,降雪量の違いが_I_期平均寿命の地域差に影響した可能性を確認した。_II_期(1955, 1960, 1965, 1970, 1975)には,男・女の平均寿命は,全年を通しての月平均気温(日最高,日最低,日平均気温)と正相関があり,最深積雪と負相関がある。_II_期に見られた平均寿命と気温,最深積雪との相関関係は,_II_期の前半までの全国の状況を反映したものと推察された。_III_期(1980, 1985, 1990, 1995, 2000)には,男女の平均寿命は気候要素とほぼ無相関であった(北島・太田,2004)。 _III_期には,平均寿命と気候には相関関係が見られないが,高齢者に限れば冬季の気候条件の違いが戸外での活動を制限し老化の進行に影響する可能性があり,高齢者の平均余命は,全ての年齢階級の死亡率を反映した平均寿命よりも気候の影響を受けやすいと考えられる。 本研究の目的は,高齢者の平均余命が_I_期,_II_期において平均寿命よりも気候条件と関連していたのか,_III_期において高齢者の平均余命は気候条件と関連があるのかを,長期間のデータから明らかにすることである。2.研究方法 北島・太田(2004)と同様の資料から,_I_期,_II_期,_III_期について,都道府県別高齢者平均余命分布図を作成し,平均寿命の分布とどのような違いが見られるのか調べた。 次に,各期間で都道府県別高齢者平均余命は気候要素とどのような相関関係を持つかを検討した。 さらに,各期間の特徴を詳細に検討するために,13年分の65_から_80歳の平均余命と気候要素との相関係数の変遷を調べ,特徴的な相関関係を示した気候要素について,高齢者の平均余命に及ぼす影響を考察した。3.高齢者の平均余命と気候要素との相関係数の変遷 日平均気温(年平均)と平均寿命および65歳平均余命との相関係数(図1)は,平均寿命,65歳平均余命とも_II_期に最も相関が強く,_III_期に最も弱い。_I_期には両者の中間的な値を示す。平均寿命よりも65歳平均余命の方が日平均気温と相関が強い。平均寿命は_III_期には日平均気温と有意な相関関係がないが,65歳平均余命は1985年まで日平均気温と有意な相関関係がみられる。 年最深積雪と平均寿命との相関係数(図2)は,_I_期に最も負の相関が強く,_II_期,_III_期には次第に相関が弱くなり1990年以降は相関係数が0前後となった。65歳平均余命では,_II_期に最も負の相関が強く,その後次第に相関係数が0に近づく。_II_期,_III_期において,平均寿命よりも65歳平均余命の方が年最深積雪と相関が強い。平均寿命と年最深積雪に有意な相関関係がみられるのは,1965年(男性)あるいは1970年(女性)までであるが,65歳平均余命は1980年まで有意な相関関係がある(図2)。75歳平均余命は1985年まで,80歳平均余命は1990年まで有意な相関関係がみられる。 以上のように,高齢者の平均余命は,_I_期の最深積雪を除いて平均寿命よりも気候との相関関係が強く,_III_期初めまで気温・最深積雪と有意な相関関係があった。また,高齢になるほど,有意な相関関係が最近まで持続する傾向があった。北島晴美,太田節子 2004:都道府県別平均寿命の分布の変遷と気候の影響.信州大学山地水環境教育研究センター研究報告,3,53‐75.
著者
王 誠明 太田 節子 篠田 雅人
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.109, no.12, pp.949-953, 1989-12-25 (Released:2008-05-30)
参考文献数
24

The survival effect of mice irradiated with a lethal dose of X-ray was studied by use of 60 kinds of Chinese traditional medicines. Methanol extracts of these medicines were prepared, and then each extract injected intraperitoneally into male mice before or after whole-body irradiation. As a result of these studies, the survival effects with Ogi-kentyu-to, Simotu-to, Sessyoin, Zokumei-to and Boi-ogi-to were observed by intraperitoneal injection before irradiation. Of these effective methanol extracts, only Zokumei-to was shown to have a significant survival effect by intraperitoneal injection after irradiation.
著者
井上 美代江 太田 節子
出版者
聖泉大学
雑誌
聖泉看護学研究 = Seisen journal of nursing studies (ISSN:21871981)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.41-49, 2013

背景 看護基礎教育カリキュラムの改正が行われ,老年看護学では,学生が高齢者及びその生活機能を理解し,高齢者への看護実践能力を高める指導が求められている.そこで,学生が高齢者と関わる時間や生活援助の機会が多いと思われる生活の場としての「介護老人福祉施設」で,学生が高齢者と関わる過程を分析することで,実習指導の示唆を得たいと考えた.目的 介護老人福祉施設における老年看護学実習で,学生の要介護高齢者への援助過程における着眼点を明らかにする.方法 研究デザインは,質的帰納的研究である.対象は,研究に同意の得られた介護老人福祉施設で老年看護学実習を行った学生6(男子1)名である.データ収集は,高齢者に関わる学生を参加観察(観察者として)し,実習終了後に半構成質問紙による面接を行った.分析は,参加観察と面接および学生の実習記録を統合して行った.結果 得られたデータは,学生6名が高齢者8名に関わった38場面であった.実習経過では,初日の学生は,高齢者との関わりに戸惑い,その関わりを模索していた.3日目は,記録や教職員の助言等を参考に,高齢者の看護ニードを把握し援助した.最終日は,学生が主体的に高齢者の自立を支援した.これらの援助過程には,学生が高齢者への援助の関わりに着眼した視点があり,その類型を分類したところ,1)高齢者の残存機能に働きかける,2)高齢者との人間関係を重視する,3)高齢者の生活行動を重視する,4)高齢者の健康的な反応を引き出す,5)高齢者の感情を重視する,の5類型が抽出された.結論 学生が高齢者を援助する着眼点は,5類型が認められた.指導者は,抽出された学生の高齢者への援助の類型を活用して,教育的支援を行うことが重要と考える.Background Following revisions of the curricula for basic nursing education,students in geriatric nursing receive instruction on understanding elderly individuals and their daily functioning,and enhancing their nursing skills when working with them.And we sought to determine which suggestions are necessary for practicum instruction by analyzing the processes of students when interacting with elderly care recipients at a nursing home in geriatric nursing practicum. Purpose To explore the opinions of nursing of students interacting with elderly care recipients at a nursing home in a geriatric nursing practicum. Methods This study employed a qualitative and inductive study design.Participants were six students (one male) who consented to participate and who were completing their geriatric nursing practicum at a nursing home for the elderly. Data were collected through participatory observations of the students interacting with the elderly care recipients and semi-structured interviews after practicum completion.For analysis,we created transcripts by integrating materials from the observations,interviews,and practicum records. Results/Discussion We obtained data from 38 scenes where the six students interacted with eight care recipients.In terms of processes,on the first day they tended to be confused and struggled in their interactions with the individuals. On Day 3,they were likely to look at records and seek advice from their instructors,and attempted to understand the nursing needs of the care recipients and assist them.On the final day of their practicum,the students were actively supporting the independence of the care recipients.In the processes of assistance,we extracted five categories of particular perspectives the students had while assisting the care recipients :( 1) working on the care recipients' remaining functions,(2) emphasizing interpersonal relationships with them,(3) emphasizing their daily living behaviors,(4) eliciting healthy reactions from them,and (5) valuing their feelings. Conclusion There were five categories of the student opinions of nursing for elderly.We suggest that instructors utilize these categories in their provision of educational support.