著者
安藤 玲子 坂元 章 鈴木 佳苗 小林 久美子 橿淵 めぐみ 木村 文香
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.21-33, 2004 (Released:2004-11-25)
参考文献数
19
被引用文献数
10 5 3

従来の研究は,ネット使用により新たな対人関係が構築されることを示してきたが,このネット上の対人関係が人生満足度や社会的効力感に影響が与える程度の質を有するかについて検討した研究は乏しい.そこで,本研究は男子学生173名を対象にパネル調査を行い,ネット使用がネット上の対人関係数を介して,人生満足度および社会的効力感に影響を及ぼすかを検討した.その結果,(1) 同期・非同期ツールの使用は,共にネット上での対人関係を拡大させる,(2) 同期ツールの使用は,ネット上の異性友人数を介して人生満足度を高める,(3) 同期ツールの使用はネット上の知人や同性友人数を介して,非同期ツールの使用はネット上の知人数を介して,社会的効力感を高めることが示された.また,(4) 同期ツールの使用は人生満足度と社会的効力感に対して負の直接効果を持っていた.
著者
安藤 玲子 高比良 美詠子 坂元 章
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.28, no.suppl, pp.65-68, 2005-03-20 (Released:2016-08-01)
参考文献数
6
被引用文献数
1

本研究では, インターネット(以後, ネット)使用が小学生の情報活用の実践力を高めるかについて検討した.Eメール, Webページの閲覧などのネット使用量と情報活用の実践力との因果関係を推定するために, 小学生を対象にパネル調査を行なった.その結果, ネット使用量が全体的に多いと情報活用の実践力全体および収集力と表現力が高まることが示された.ツール別には, 主にEメールやWebページの閲覧が, 情報活用の実践力全体や複数の下位能力の向上に効果があった.特にEメールでは, 情報活用の実践力全体, 収集力, 判断力, 発信・伝達力に関して双方向で正の効果が示され, その効果が相乗的に増幅される可能性を持つものであった.
著者
安藤 玲子 池田 まさみ
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.83-99, 2012 (Released:2013-12-27)
参考文献数
32
被引用文献数
1

This study examined an acquisition process of “critical thinking disposition” with a four-wave panel data on junior high school students. More specifically, we examined the causal relationships among “critical thinking disposition”, “the skill of practical use of information”, “motivation”, and “communication activity”. We tested several causal models by structural equation modeling, and selected appropriate models. Results showed that “motivation” had effected on “critical thinking disposition” via “the skill of practical use of information”. Also, we found that “truth seeking disposition” which is a factor of “critical thinking disposition” had direct and indirect effected on the other factors of “critical thinking disposition”. Furthermore, we found that “critical thinking disposition” had positive effects on “communication activity”. We concluded that as a way to develop students’ critical thinking disposition, several approach will needed by improving students’ learning motivation, informat on literacy, and truth seeking disposition.
著者
鈴木 佳苗 坂元 章 小林 久美子 安藤 玲子 橿淵 めぐみ 木村 文香
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.27, no.suppl, pp.117-120, 2004-03-05 (Released:2017-10-20)
参考文献数
8

本研究では,インターネットの各種アプリケーション(電子メール,ウェブページ作成,ウェブページ閲覧,チャット,ページャー,フォーラム,掲示板,ネットワークゲーム)の使用がソーシャルスキル(会話スキル,問題解決スキル,仕事・勉強スキル)に及ぼす影響を検討した.情報系専門学校の男子学生を対象に,約3ヵ月の間隔で2時点のパネル調査を行い,得られたデータに対して構造方程式モデルを用いて因果関係を分析した.その結果,電子メール,ネットワークゲームの使用がソーシャルスキル全体を高めること,ネットワークゲームの使用が問題解決スキルを高めることが示された.インターネット使用がソーシャルスキルを低めるという悪影響は見られなかった.
著者
高比良 美詠子 安藤 玲子 坂元 章
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.87-102, 2006 (Released:2006-10-07)
参考文献数
44
被引用文献数
17 16

本稿は,パーソナリティの形成・発達研究において変数間の因果関係を推定したい場合に,縦断調査を利用する方法について概説したものである。まず,因果関係を推定するための研究方法として,実験,横断調査,縦断調査の3つを取り上げ,それぞれの特徴と限界について述べた。次に,縦断調査の一形態であり,変数間の因果関係を双方向的に検討できるパネル調査に焦点をあて,交差遅れ効果モデルによって因果関係の分析を行う方法を説明した。そして,変数間の因果関係について推定するためにパネル調査を行った実例として,インターネット使用と攻撃性の関係を検討した筆者らの研究について紹介した。なお,この研究では,インターネット使用から攻撃性への因果関係と,攻撃性からインターネット使用への因果関係が,双方向的に検討された。そして,最後に,より精度の高い因果関係の推定を行うために注意すべき点についてまとめた。