著者
堀内 由樹子 田島 祥 鈴木 佳苗 渋谷 明子 坂元 章
出版者
日本デジタルゲーム学会
雑誌
デジタルゲーム学研究 (ISSN:18820913)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.13-24, 2016 (Released:2019-10-01)

本研究では、中学生を対象とした 2 時点の縦断調査を実施し、レーティング区分ごとのゲーム ソフト利用による攻撃性および暴力に対する規範意識への影響を検討した。調査は、2008年度末と2009 年度末に実施し、東京、千葉、埼玉の公立中学校12校、1218名の中学生が分析対象となった。分析の結 果、男子学生では、C区分の暴力的ゲームソフト利用によって、1 年後の暴力に対する規範意識が低下 することが示された。B区分の暴力的ゲームソフトや非暴力的ゲームソフト利用ではこのような影響は 見られず、レーティング区分によって影響が異なることが一部で示唆された。
著者
長谷川 真里 堀内 由樹子 鈴木 佳苗 佐渡 真紀子 坂元 章
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.307-310, 2009-05-01 (Released:2009-07-04)
参考文献数
11
被引用文献数
3 6

A multidimensional scale for measuring empathy in elementary school children was developed and its reliability and validity investigated. Results indicated adequate internal consistency and temporal stability of the scale, suggesting it had good reliability. Correlations with Prosocial Behavior and Social Desirability Scales indicated sufficient validity of the scale. In addition, results of confirmatory factor analysis supported the Davis finding (1983) that empathy had four components. Development of empathy in elementary school children, as well as problems such as children's acquiescence set were also discussed.
著者
安藤 玲子 坂元 章 鈴木 佳苗 小林 久美子 橿淵 めぐみ 木村 文香
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.21-33, 2004 (Released:2004-11-25)
参考文献数
19
被引用文献数
10 5 3

従来の研究は,ネット使用により新たな対人関係が構築されることを示してきたが,このネット上の対人関係が人生満足度や社会的効力感に影響が与える程度の質を有するかについて検討した研究は乏しい.そこで,本研究は男子学生173名を対象にパネル調査を行い,ネット使用がネット上の対人関係数を介して,人生満足度および社会的効力感に影響を及ぼすかを検討した.その結果,(1) 同期・非同期ツールの使用は,共にネット上での対人関係を拡大させる,(2) 同期ツールの使用は,ネット上の異性友人数を介して人生満足度を高める,(3) 同期ツールの使用はネット上の知人や同性友人数を介して,非同期ツールの使用はネット上の知人数を介して,社会的効力感を高めることが示された.また,(4) 同期ツールの使用は人生満足度と社会的効力感に対して負の直接効果を持っていた.
著者
佐渡 真紀子 鈴木 佳苗 坂元 章
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.77-80, 2005
被引用文献数
2

本稿の目的は, 日本のテレビ番組における暴力および向社会的行為描写の内容分析を通じて, テレビ番組の批判的視聴能力を向上させる教育プログラムの開発に資する情報を得ることである.米国のNational Television Violence Study(1996-1998)の研究枠組みをもとに開発したコード化基準とコード票を用いて, サンプル・ウィークからランダムに抽出した280時間分の放送時間帯の番組に描かれた暴力と向社会的行為の頻度と文脈を分析した.その結果約7割の番組に暴力描写があり, 特に子どもが好んで視聴するアニメ番組では暴力行為が多く見られた.向社会的描写を含む番組は45%にとどまり, 行為の学習を促すような描写が少なかった.
著者
堀内 由樹子 田島 祥 鈴木 佳苗 渋谷 明子 坂元 章
出版者
日本デジタルゲーム学会
雑誌
デジタルゲーム学研究 (ISSN:18820913)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.13-24, 2016

本研究では、中学生を対象とした 2 時点の縦断調査を実施し、レーティング区分ごとのゲーム ソフト利用による攻撃性および暴力に対する規範意識への影響を検討した。調査は、2008年度末と2009 年度末に実施し、東京、千葉、埼玉の公立中学校12校、1218名の中学生が分析対象となった。分析の結 果、男子学生では、C区分の暴力的ゲームソフト利用によって、1 年後の暴力に対する規範意識が低下 することが示された。B区分の暴力的ゲームソフトや非暴力的ゲームソフト利用ではこのような影響は 見られず、レーティング区分によって影響が異なることが一部で示唆された。
著者
木内 泰 鈴木 佳苗 大貫 和則
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, no.Suppl., pp.169-172, 2008-12-20 (Released:2016-08-05)
参考文献数
9
被引用文献数
1

本研究では,高校3年生男女199名を分析対象とし,高校生のケータイ通話およびメールの利用が青少年の対人関係の親密性に及ぼし得る影響とその影響過程における媒介要因としての自己開示の役割を検討した.その結果,ケータイ通話については,ケータイ通話が多いほど,ネットでの自己開示,対面上の自己開示が多くなり,親密性が高まるというモデルの適合がもっともよいことが示唆された.さらに,ケータイメールの使用については,ケータイメールの使用が多いほどネットでの自己開示,対面上の自己開示が多くなり,親密性が高まる,あるいは,ネットでの自己開示から直接親密性が高まること,さらに,親密性が高いほどケータイメールをよく使用するようになる,という循環モデルの適合がもっともよいことが示唆された.
著者
鈴木 佳苗 坂元 章 小林 久美子 安藤 玲子 橿淵 めぐみ 木村 文香
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.27, no.suppl, pp.117-120, 2004-03-05 (Released:2017-10-20)
参考文献数
8

本研究では,インターネットの各種アプリケーション(電子メール,ウェブページ作成,ウェブページ閲覧,チャット,ページャー,フォーラム,掲示板,ネットワークゲーム)の使用がソーシャルスキル(会話スキル,問題解決スキル,仕事・勉強スキル)に及ぼす影響を検討した.情報系専門学校の男子学生を対象に,約3ヵ月の間隔で2時点のパネル調査を行い,得られたデータに対して構造方程式モデルを用いて因果関係を分析した.その結果,電子メール,ネットワークゲームの使用がソーシャルスキル全体を高めること,ネットワークゲームの使用が問題解決スキルを高めることが示された.インターネット使用がソーシャルスキルを低めるという悪影響は見られなかった.
著者
坂元 章 箕浦 康子 菅原 ますみ 鈴木 佳苗 内藤 まゆみ 小林 久美子
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

本研究の目的は、テレビ番組の暴力描写、向社会的行為描写の内容分析、これらの描写の視聴が攻撃性、向社会性に及ぼす影響を検討する縦断調査を行い、テレビ番組の暴力描写に対する評価システムを提案することであった。平成15年度には、暴力の文脈的特徴を詳細に検討した米国テレビ暴力研究のコードブックを翻訳し、平成17年度までは身体的攻撃について、平成18年度には、言語的攻撃、間接的攻撃を加えて分析を行った。その結果、フィクション番組では、視聴者の暴力の学習、恐怖世界観、脱感作を高める要素は全般的に少なかったが、暴力行為後の被害・苦痛や罰の描写が少ない、多量の暴力が多い、現実性が高いなどの特徴が見られた。言語的攻撃、間接的攻撃の描写は多くはなかったが、身体的攻撃と共通する特徴が多く見られた。向社会的行為描写については、行為の成功描写は多かったが、報酬の描写は少なく、学習を促進する要素はあまり含まれていなかった。報道番組の暴力描写では、視聴者の恐怖世界観を高める要素である正当化されない暴力や被害結果の描写がある程度見られた。CMの暴力描写では、被害・苦痛描写が少ない、現実性が高いといった暴力の学習、恐怖世界観を促進する特徴が見られた。また、報道番組、CMの向社会的行為描写では、行為の成功や魅力的な行為者が多く描かれており、学習を促進する要素がある程度見られた。縦断調査では、平成16〜17年度の2回の調査への協力を得た首都圏、地方の小学校13校、中学校15校のデータを分析した。攻撃性への影響については、小学生では身体的手段による暴力や魅力的な行為者による暴力の描写が間接的攻撃性を高めること、中学生では間接的攻撃の描写が攻撃性全体を高めることなどが示された。最後に、以上の内容分析、縦断調査の結果に基づいて、暴力描写の出現頻度、影響の強さを組み合わせた暴力描写の評価システムを提案した。
著者
内藤 まゆみ 鈴木 佳苗 坂元 章
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.67-78, 2004 (Released:2004-11-25)
参考文献数
20
被引用文献数
5 18

本研究は,合理的処理および直観的処理における個人差(Pacini & Epstein, 1999)を測定する情報処理スタイル尺度(IPSI)の作成を目的とした.調査1(回答者290名)ではIPSI38項目の内容的妥当性を検討するため,確認的因子分析を行った.分析の結果,IPSIが合理性と直観性の2因子から構成されることが確認された.また,IPSIは十分な内的一貫性および再テスト信頼性を持つことが示された.他の尺度(曖昧さへの耐性と理論志向性,自尊心,社会的望ましさ)との相関はIPSIの収束的・弁別的妥当性を示すものであった.調査2(回答者237名)では,構成概念妥当性の検討のため,確率推論課題の回答とIPSIの関連を調べた.その結果,直観性および合理性が推論エラーの頻度と関連することが示された.加えて,調査2ではIPSI短縮版24項目を作成し,その信頼性と妥当性が確認された.
著者
畔田 暁子 鈴木 佳苗
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.85-88, 2012

本研究の目的は,美術科の鑑賞学習の授業において利用できる可能性がある学習コンテンツの1つであるウェブ上の画像に関して,鑑賞学習の授業での現在の利用状況,利用の際に必要な機器や機能・要素,教員の意識と利用の際の課題を明らかにすることである.現職の中学校美術科担当教員を対象として質問紙調査を行った結果,1)ウェブ上の画像は第3学年対象の鑑賞学習の授業において利用頻度が高い傾向があり,2)いずれの学年の授業においても「絵画など平面作品」の画像が利用されることがもっとも多く,3)美術科担当教員は,ウェブ上の画像には画質とともに「歴史・文化的背景」や「素材や技法の説明」などの情報が必要だと考えていることが示された.
著者
鈴木 佳苗
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、幼児を対象として「ぬいぐるみのとしょかんおとまり会」のプログラムを検討し、実践と評価を行った。従来のプログラムでは、子どもたちは初日にぬいぐるみと一緒におはなし会に参加してからぬいぐるみを図書館にあずけ、翌日以降におむかえに行くという構成が多かった。本研究では、ぬいぐるみを初日にあずかり、最終日におはなし会と参加者全員でのふりかえりを行い、ぬいぐるみが選んだ本と図書館での活動の写真を渡すというプログラムを提案し、公共図書館と幼稚園・保育園で実践を行った。保護者を対象としたプログラム評価の結果、評価は高く、また、幼児はぬいぐるみが選んだ絵本などに高い関心を示した。
著者
長谷川 真里 堀内 由樹子 佐渡 真紀子 鈴木 佳苗 坂元 章
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.105-108, 2006

本稿は,日本のテレビ番組の内容分析によって現在のメディア状況を明らかにし,メディア・リテラシー教育に必要な情報を得ることを目的としている.米国のNational Television Violence Study(1996-1998)をもとにコード化マニュアルとコード票を作成し,2003年と2004年の2時点,各1週間の中からフィクション番組を抽出し,向社会的行為にかかわるキャラクターの特徴について内容分析を行った.その結果,向社会的行為実行者はあまり魅力的なキャラクターとして描写されておらず,観察学習の促進要因は乏しかった.また,おおむね女性よりも男性の描写数が多く,現実との乖離も示唆された.最後に,悪人キャラクター,善悪複合キャラクターに対する報酬はほとんどなかった.