著者
木俵 豊 是津耕司 河合 由起子 水口充 宮森 恒 柏岡 秀紀
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.50, no.7, pp.613-623, 2009-07-15
被引用文献数
1

ライフログはユビキタスネットワーク・コンピューティング環境における新たな情報利活用技術の情報源となりつつある.ライフログは実世界におけるユーザの行動履歴を記憶の拡張として活用されている.ウェアラブルコンピュータを使って,ユーザの周りのさまざまな情報を取得する手法も提案されているが,このような情報は意図せぬ他人の情報を取得してしまうこともあり,プライバシの問題なども発生している.一方,ディジタルコンテンツを実世界で利用する場合の情報端末の操作や音声による発話および対話記録もライフログとして重要な情報源である.これらは,ユーザごとの興味に基づいた実世界のイベントや特徴を表現していることが多く,実世界アノテーション情報としても有益である.つまり,有効なライフログとして活用するためには,その情報の生成・発信,管理,分析,提示する技術開発が重要となる.本稿では,実世界におけるコンテンツ利活用に着目したライフログの活用について述べる.
著者
宮森 恒
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.41, pp.9-16, 2002-05-21
被引用文献数
4

本稿では,動作インデックスによる映像の自動注釈付けと,それを利用した柔軟な内容検索システムについて報告する.応用例としてテニスを考える.目的は,スマッシュなど一選手の単独動作だけでなく,ネットダッシュするといった複数選手・複数動作からなる,より一般的な特定動作を検索することである.まず,入力映像・音響データから,コート・ネットライン,選手・ボール位置,選手によるボール打撃時刻を抽出し,これらを総合的に評価してフォアハンドスイングなど選手基本動作インデックスを出力する.次に,予め定義済みの動作成立条件とすでに出力された基本動作・一般動作インデックスを評価し,新たに一般動作インデックスを出力する.実験の結果,動作成立条件の再定義と更新により,さまざまな一般動作を柔軟に追加・検索できることを確認した.This paper presents automatic video annotation method based on action indices and its application to flexible content-based retrieval system. Our test domain is tennis. The goal here is to retrieve not only simple actions by single player, such as smashing, but also more general actions composed of several players and actions, such as "net-dashing". First, input video and audio data are analyzed to extract court-net lines, positions of players and the ball, and the moments a player hits the ball. These data are totally evaluated to output basic action indices by each player, such as forehand swings. Then, the predefined conditions to satisfy a certain general action, and the already generated basic and general action indices are evaluated to output new indices of the corresponding general action. Experimental results show that redefinition and updates of conditions for a specific general action enable the system to append and retrieve various kinds of actions flexibly.
著者
杉本 翔 岡部 稜 喜田 将生 宮森 恒
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2018論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.119-123, 2018-09-06

本稿では,自分の好きな画像群に周囲を囲まれる非日常的な没入体験により幸福感を提供するシステムGaZoneを提案する.人間が幸福感を得る手段の一つとして,嗜好に合ったモノを集めたり身の回りに並べたりすることが挙げられる.提案システムでは,ヘッドマウントディスプレイ(HMD)によって実現されたVR環境において,Web上の画像を検索し,簡単にコレクションできる機能を提供する.検索された大量の画像群は自分の周りを取り囲むように表示され,コントローラで各画像の取捨選択,移動,拡大縮小といった操作が可能である.ユーザは,自分の嗜好に合った大量の画像群に周囲を囲まれる非日常的な環境に没入することにより,従来システムでは得られない幸福感を体験することができる.
著者
田上 諒 木村 輔 宮森 恒
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.45-57, 2017-10-05

近年,ユーザからの多様な情報要求を満たす技術として,質問応答などの自動解答技術が注目されている.しかし,それらの技術は,大学入試をはじめとする現実に即した多様で複雑な質問に対して,現状では十分に対応できているとはいい難い.たとえば,大学入試などにおける文書中の空欄部分の単語を解答するような穴埋め型問題に対して,従来手法では,主に語順を考慮しない検索ベースのファクトイド型解答技術が用いられているため,十分な正答率を得られていない.本稿では,大学入試二次試験の世界史穴埋め型問題を対象とし,語順を考慮した自動解答手法を提案する.具体的には,問題文解析時に穴埋め部分の周辺単語から解答カテゴリを推定し,解答候補抽出に利用するとともに,解答候補評価時に,カテゴリとの一致性や周辺単語の既出状況などを用いた指標を導入することで解答候補を評価する.特に,解答カテゴリを推定する際には,語順を考慮した分散表現による単語予測モデルを導入する.実験では,まず,単語予測モデルの精度を比較する.また,ベースライン手法と提案手法を比較し,提案手法を解答処理に取り入れることで,正答率にどのような変化があるかを明らかにする.Recently, automatic answering technologies such as question answering have attracted attention as a technology to satisfy various information requests from users. However, it is difficult to say that these technologies can adequately respond to the diverse and complicated questions in realistic situations including university entrance examinations. For example, conventional methods can not provide correct answers sufficiently for the slot filling questions in the university entrance examinations, because retrieval-based factoid-type answering technologies are mainly used, which do not consider word order. In this paper, we propose an automatic answering method considering word order for the slot filling questions in the university entrance examination world history problems. In particular, when in analyzing the question sentence, the answer category is estimated from the surrounding words of the filling slot and used for extracting the answer candidates, and these candidates are evaluated by introducing the indicator using the consistency with the category, and the occurrence situation of the surrounding words. Especially, we introduce a word prediction model by distributed expression considering word order in estimating the answer category. In the experiment, we first compare the accuracy of the word prediction models. In addition, we compare the proposed method with the baseline method and clarify what kind of change is observed in the correct answer rate by incorporating proposed method.
著者
野田 真 宮森 恒
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.75, pp.13-18, 2012-05-29
参考文献数
8

近年では日々の食事においてレシピを考える際,Web上のレシピ検索サイトが広く用いられている.それらのサイトにおける検索では,指定した料理名やキーワード,調理時間,カロリーなどの条件から,レシピを大量に取得することができるが,各レシピは,ユーザの調理熟練度や利用可能な調理環境とは関連付けられておらず,これら技能や環境を考慮したレシピを,効率よく取得することは困難である.そこで本稿では,熟練度や環境を考慮したレシピ検索を行なう為に,料理レシピにおける調理動作の難易度を道具別に付与する方法について検討する.具体的には,各調理動作について共起する道具を抽出し,その種類や傾向を観察することで,道具による調理動作の難易度のあり方について分析する.得られた結果をもとに,難易度を自動付与するアルゴリズムについても検討する.このような難易度は,簡単に調理可能な料理レシピを検索する際の一要素として役立つことが期待される.
著者
宮森 恒 粕谷 英司 富永 英義
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学
巻号頁・発行日
vol.95, no.582, pp.1-8, 1996-03-15

本稿では, 画像構造化モデルVDAの概念に基づいたデータ構成をとることにより, 任意形状の映像コンテントを編集加工機能の対象として扱える符号化方式を提案する. 本方式では, 符号化されるデータ列が, 映像情報の符号化データである素材データと, 各素材データを指定された表示属性をもつ出力情報に変換するための記述を行なう加工用データから構成される点が特徴である. ここでは, 任意形状に対応した直交変換に関する比較実験を行ない, SADCTに対するスキップスキャニングを用いた場合, 境界部分を含むブロックの係数に要する符号量を境界部のブロック数の割合に応じて70〜80%に抑えられることを確認した. また, 映像コンテントの編集加工機能は従来方式の問題点を解決し意図した基本性能が実現されていることを確認した.
著者
宮森 恒 中村 聡史 田中 克己
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.46, no.SIG18(TOD28), pp.59-71, 2005-12-15

本稿では,ウェブ上の実況チャットを利用することでテレビ番組のメタデータを自動的に抽出する手法を提案する.実況チャットは,テレビ番組と同期して視聴者によって書き込まれるウェブ上の掲示板である.番組実況チャットのデータを,利用者全体あるいは特定の傾向を持つ利用者のデータ集合として扱い,チャット上に表れる特徴的な表現を認識処理することで,番組の盛り上がり場面や,視聴者の嗜好・興味に沿ったリアクションなど,視聴者視点に関連するメタデータを効率良く抽出できる.実験の結果,提案方式により,視聴者の反応の大きさや喜び,落ち込みなどの感情度数などのメタデータを効率良く抽出できることを確認した.また,提案方式で得られるメタデータを利用した番組視聴システムを実装することにより,シーンのランキング表示やダイジェスト生成など視聴者視点を反映した多様な番組視聴へ応用可能になることを確認した.
著者
宮森 恒 粕谷 英司 富永 英義
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.6, pp.1590-1599, 1997-06-25
被引用文献数
32

本論文では, 動作語を用いた問合せを受け付ける映像検索方式を提案する. 提案方式は,「だれだれが〜するシーンを検索せよ」といった動作に関連した問合せと, それが暗示する物体の位置関係とその時間変化に着目し, これを動き関連の言葉と階層的に対応づけ, 照合することによって映像の内容検索を実現するものである. 本方式は, 物体の近似手法により種々の映像へ適用可能と考えられ, 単純なキーワード検索ではカバーしきれない映像の内容にまで踏み込んだ内容検索機能をユーザに提供できる点が特徴である. ここでは, テニス2試合90ポイント分の中継映像を例とし, 映像インデキシングの自動化・半自動化が比較的容易に行えること, テニスの動作判定に不可欠なボールのインパクト時刻の検出に, 前/後方選択型の速度ベクトルが効果的であることを実験的に示した. また, テニスの中継映像を用いた検索実験によって, 定義した10の動作語について全体として4.8%の検出誤り, 1.9%の検出もれといった結果が得られ, 提案手法によって映像の内容検索が有効に実現できることを示した.
著者
宮森 恒 赤峯享 加藤 義清 兼 岩憲 角 薫 乾 健太郎 黒橋 禎夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.76, pp.103-108, 2007-07-25
被引用文献数
2

本稿では、情報の信頼性を自然言語処理に基づいて分析する際に必要となる評価用データおよびプロトタイプシステム WISDOM について述べる。われわれは、ウェブ上のテキストを主な対象として、情報信頼性を分析することを目指したプロジェクトを 2006年 4月より進めている。本プロジェクトでは、ウェブ上の情報の信頼性を、情報内容、情報発信者、情報外観、社会的評価といった4つの基準で捉えることを提案しており、これらを述語項構造を単位とする自然言語処理によって論理的に分析・組織化することを目指している。本稿で述べる評価用データは、これら種々の分析処理の学習・検証用データとして構築されたものであり、時事問題、医療問題等の 20 トピックを選定し、各 100 ウェブページを収集して、各評価尺度のデータを人手で付与したものである。また、情報信頼性を多角的に評価するプロトタイプシステム WISDOM を開発した。本システムを用いて上記評価尺度で条件を様々に変化させて情報閲覧することにより、興味のトピックについて、信頼できる情報をより確実に見極めることができるようになる。Evaluation data and a prototype system named WISDOM used for analyzing information credibility based on natural language processing are described. Our group started the Information Credibility Criteria project in April, 2006, mainly to analyze the credibility of information (text) on the Web. The project proposes to capture information credibility based on four criteria (content, sender, appearance, and social valuation) and aims to analyze and organize them logically using natural language processing based on predicate argument structure. The evaluation data were developed as learning and verifying data for these various analysis modules, and were composed of manually-annotated data based on each evaluation criteria about pre-selected 20 topics such as current events and medical issues with 100 pages per topic being collected from the Web . The prototype system WISDOM was developed to provide information credibility from different perspectives. Users will be able to find credible information more reliably by browsing information using different evaluation criteria and conditions provided by the system.
著者
宮森 恒 赤峯 享 加藤 義清 兼岩 憲 角 薫 乾 健太郎 黒橋 禎夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.158, pp.103-108, 2007-07-17

本稿では,情報の信頼性を自然言語処理に基づいて分析する際に必要となる評価用データおよびプロトタイプシステムWISDOMについて述べる.われわれは,ウェブ上のテキストを主な対象として,情報信頼性を分析することを目指したプロジェクトを2006年4月より進めている.本プロジェクトでは,ウェブ上の情報の信頼性を,情報内容,情報発信者,情報外観,社会的評価といった4つの基準で捉えることを提案しており,これらを述語項構造を単位とする自然言語処理によって論理的に分析・組織化することを目指している.本稿で述べる評価用データは,これら種々の分析処理の学習・検証用データとして構築されたものであり,時事問題,医療問題等の20トピックを選定し,各100ウェブページを収集して,各評価尺度のデータを人手で付与したものである.また,情報信頼性を多角的に評価するプロトタイプシステムWISDOMを開発した.本システムを用いて上記評価尺度で条件を様々に変化させて情報閲覧することにより,興味のトピックについて,信頼できる情報をより確実に見極めることができるようになる.
著者
宮森 恒
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.205, pp.35-40, 2003-07-17
被引用文献数
1

本稿では,映像中のストーリー全体の流れと個々の顕著なイベントに基づき,オリジナル映像の意味内容を表現したナレーション付きダイジェストを,利用者の嗜好に応じて適応的に自動生成する手法を提案する.応用例としてテニスのダイジェスト生成システムを実装した.本手法では,着目選手・内容構成・要約時間という3つの利用者パラメータの人力によって,自動生成されるダイジェストの内容が変化する.今回,同様のパラメータが与えられた場合に作成されるべきダイジェストの正解データを,スポーツなどの番組制作経験者に作成してもらい,これと提案手法の比較することで提案法の有効性について考察した.
著者
宮森 恒 中村 聡史 田中 克己
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.46, no.18, pp.59-71, 2005-12-15
被引用文献数
4

本稿では,ウェブ上の実況チャットを利用することでテレビ番組のメタデータを自動的に抽出する手法を提案する.実況チャットは,テレビ番組と同期して視聴者によって書き込まれるウェブ上の掲示板である.番組実況チャットのデータを,利用者全体あるいは特定の傾向を持つ利用者のデータ集合として扱い,チャット上に表れる特徴的な表現を認識処理することで,番組の盛り上がり場面や,視聴者の嗜好・興味に沿ったリアクションなど,視聴者視点に関連するメタデータを効率良く抽出できる.実験の結果,提案方式により,視聴者の反応の大きさや喜び,落ち込みなどの感情度数などのメタデータを効率良く抽出できることを確認した.また,提案方式で得られるメタデータを利用した番組視聴システムを実装することにより,シーンのランキング表示やダイジェスト生成など視聴者視点を反映した多様な番組視聴へ応用可能になることを確認した.A method of automatically indexing broadcast content using live chat on the Web is proposed. The live chat is a Web bulletin board where the viewers post messages in sync with a TV program. The messages in the live chat written by all viewers or by viewers having similar interest or preference to the user are statistically analyzed with pattern recognition to effectively extract indices related to viewer's viewpoints such as important scenes in the program or responses by a particular viewer. Experiments indicate that the proposed method can efficiently extract indices such as the intensity of viewers' responses and degree of emotional delight or disappointment. They also indicate that a prototype TV viewing system using the extracted indices enables a new way of viewing TV content from different perspectives reflecting viewers' viewpoints such as scene ranking and digest generation.