著者
茂原 敦之 水口 充
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.55-64, 2020-08-22

偶然の遊びにおいて,制御幻想として知られる,関与することで確率をある程度制御できると思い込む認知錯覚がある.最近の研究では,遊技者は確率は変わらないことを知りつつも制御幻想を引き起こす要因によって熱中度が向上することが示唆されている.しかし既存の研究は統制された実験であり,実際的な自由に遊べる環境で遊技者はどのように制御幻想の要因を楽しんでいるかは調べられていない.そこで本研究では抽選(ガチャ)を題材としたカードゲームと抽選アプリを用いて,制御幻想に関連する行為を遊技者がどのように行ったかを調査した.その結果,抽選間への期待感が高まる状況ほど操作量が増え,特殊な操作を行う傾向が確認できた.また,特殊な操作を他のプレイヤに見せたり模倣するといったコミュニケーションの存在が観察された.
著者
水口 充
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2019論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.263-266, 2019-09-13

エンタテインメント性は心の動きによって産み出されるが,詳細な仕組みや方法論についてはまだ議論が深まっていない.本稿では戸田山和久氏による「恐怖の哲学」および同著に関する議論を紹介し,エンタテインメントとしての心の動きについて考察を深める.
著者
木俵 豊 是津耕司 河合 由起子 水口充 宮森 恒 柏岡 秀紀
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.50, no.7, pp.613-623, 2009-07-15
被引用文献数
1

ライフログはユビキタスネットワーク・コンピューティング環境における新たな情報利活用技術の情報源となりつつある.ライフログは実世界におけるユーザの行動履歴を記憶の拡張として活用されている.ウェアラブルコンピュータを使って,ユーザの周りのさまざまな情報を取得する手法も提案されているが,このような情報は意図せぬ他人の情報を取得してしまうこともあり,プライバシの問題なども発生している.一方,ディジタルコンテンツを実世界で利用する場合の情報端末の操作や音声による発話および対話記録もライフログとして重要な情報源である.これらは,ユーザごとの興味に基づいた実世界のイベントや特徴を表現していることが多く,実世界アノテーション情報としても有益である.つまり,有効なライフログとして活用するためには,その情報の生成・発信,管理,分析,提示する技術開発が重要となる.本稿では,実世界におけるコンテンツ利活用に着目したライフログの活用について述べる.
著者
桐戸 創也 山本 景子 倉本 到 辻野 嘉宏 水口 充
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告 エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.7, pp.1-6, 2011-03-19

インターネットの発達により,個人で簡単にインターネット放送を行える環境が整っている.個人でインターネット放送をしているとき,放送者が次に何を話せばいいか分からなくなるという問題が発生することがある.この問題は "ある話題の中で次に話す内容を忘れた","ある話題の終了後,次の話題が思い浮かばない","視聴者との話と関連した話題が思い浮かばない" の 3 つの場面に分けられる.本研究は,3 つの場面において,放送者が次に何を話せばいいのか分からなくなるという問題を解決することを目的とする.ここで,話題を収集し,各場面に応じて適切に選択および提示することで,放送者が放送を続けるための支援を行う手法を提案する.また,提案手法を実現したシステムである "言うストリーム" を実装し,提案システムを用いて実際にインターネット放送を行ったところ,提案システムが放送者を支援するユースケースを得た.これは,提案手法は放送者が放送を続けるための支援ができることを示唆している.It has been much easier to perform live streaming via the Internet. When some performers broadcast, it is occurred that the performers have no idea for what they should talk next. Such cases are classified into three: the performers forget a phrase which they want to talk next in a topic, the performers cannot remind a new topic after finishing a certain topic, and the performers cannot realize a topic that relates to some talk with audiences. IUstream is a personal live streaming support system which solves the problem by recommending proper topic to the performers in those cases, so that it supports them to keep talking in their video streaming. We found the cases that IUsream supports the performers in actual personal live streaming. This indicates that IUstream can supports performers to keep talking in their webcast.
著者
水口 充
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:21888914)
巻号頁・発行日
vol.2023-EC-66, no.1, pp.1, 2023-02-16

エンタテインメントコンピューティング研究会は設立の準備段階から数え始めて 25 年目を迎えた.様々な活動を通じて発展してきた一方で,今後の展開に関して検討するべき事柄も増えてきた.本議論セッションでは参加メンバー全員による情報共有と議論を行う.
著者
水口 充 上田 晃寿 山本 景子 倉本 到 辻野 嘉宏
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.9-20, 2012-02-25 (Released:2019-07-01)
参考文献数
13

Kinetic typography, which temporally modifies display attributes of text, is able to express implicative meaning, including emotion.In contrast to animation of geometrical figures and body motion of CG avatars, kinetic typography can convey specific messages by text itself. The effect of motion pattern on emotive expression, especially interaction effect between text and motion, has not been evaluated quantitatively. We thus conducted a basic investigation using elemental words of emotions and frequently-used motion patterns. The results showed that words and motion patterns can be each categorized into three groups and effects were varied according to a combination of a word group and a motion group.
著者
水口 充
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:21888914)
巻号頁・発行日
vol.2018-EC-50, no.18, pp.1-3, 2018-12-14

ギャンブルなどの偶然の遊びにおいて客観的確率よりも成功確率を過大評価してしまう制御幻想という現象が知られているが,多くの遊戯者が制御幻想を楽しんでいることが観察される.本稿では制御幻想を起こす要因としてのインタラクションに注目し,偶然の遊びにおけるインタラクションの楽しさの効果について議論する.
著者
水口 充
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2018論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.57-64, 2018-09-06

エンタテインメントコンピューティング(EC)研究における問題点の一つに評価がある。提案手法が面白かったかどうかをアンケート調査するタイプの評価実験が多く見受けられるが、単に面白かったというだけでは再利用可能な知見としては不十分である。また、エンタテインメントは必ずしも万人受けする必要はないのでこのような評価手法はそぐわない。この問題に対し、本稿ではエンタテインメントの定義の明確化を試み、EC分野における価値基準の枠組みを提案する。
著者
中村 洋 山本 景子 倉本 到 辻野 嘉宏 水口 充
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:18840930)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.2, pp.1-8, 2011-01-14

ユーザが携帯電話を所持していても,実際に相手と通話できるか否かは相手の物理的・社会的状況に依存する.そのため,相手の無事を知るために通話をしたいと感じても,相手が通話に応じてくれるかどうかわからないため,漠然とした不安が生じてしまう.そこで本研究では,相手の携帯電話に付与したセンサにより相手の状況を自動的に判別し,相手が通話できかつ電話に出てもよいと考えているかどうかという通話是非情報を通知する手法を提案する.それにより,「相手の無事による安心感」,「相手に自分を助けてもらえることによる安心感」,「相手の意思・意図」の 3 つの感覚が伝達でき,その結果として安心感の拡大や行動を決定する上での判断の助けとなる.アンケート評価の結果,安心感を拡大することができ,行動を決定する上での判断の助けとなることがわかった.さらに試作システムによる携帯電話所有者の通話是非状態の判別精度を評価し,高い精度で判別できることを確認した.Whether a person with mobile phone can receive someone's call is dependent on the physical and social situation of him/her. Therefore, when we want to communicate with our partner to know his/her safety, we feel insecure because we cannot know whether he/she can accept our call or not. To solve the problem of insecurity feeling, we propose a method which helps to emphasize our sense of security by notifying the partner's acceptability of receiving our call. The acceptability is estimated with several sensors attached to mobile phone. The method aims to transmit three senses ― "sense of security about the partner's safety", "relief by the partner's help", "intention of the partner". From the result of questionnaire about the proposed method, it is found that the method can enhance sense of security so that we can decide what to do. In addition, it is found that the prototype can estimate participants' acceptability with high accuracy.
著者
樋渡 達也 鈴木 優 水口 充
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2012-HCI-146, no.2, pp.1-7, 2012-01-12

カレンダーや写真アルバムなどの各種情報を手軽に共有できる Web サービスが多く存在しているが,それぞれが個別のコミュニケーションチャンネルとなっている,利用するためのユーザインタフェースがサービスや端末ごとに異なる,という問題がある.そこで,Twitter をユーザインタフェースとして Web サービスを統合することによって,コミュニケーションチャンネルを一元化する手法を提案する.具体的には,ユーザはエージェントとなる Twitter アカウントに対してコマンド形式のツイートを送ることで各種 Web サービスを利用することができる.また,エージェントアカウントは適宜フィードバックとなるツイートを行う.このようにして Web サービスの利用状況をグループメンバ間で共有できるので,コミュニケーションの活性化を図ることができる.
著者
水口充 岡本芙之
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC)
巻号頁・発行日
vol.2014-EC-31, no.61, pp.1-6, 2014-03-06

電子書籍は,紙媒体のように紙面が固定的でなく,動的に表示を変化させられるという利点がある.我々はこの利点を活かしたスクロール表示によるビューアを実装している.読者はページによって文章を分断されることなく読み進めることができ,また,自動スクロールによりページめくり操作も不要となる.本稿では,このビューアについて,可読性を向上させるための分かち書きやズーム表示および前後のコンテキスト表示を中心に報告する.
著者
重森 晴樹 後藤啓太 倉本 到 渋谷 雄 辻野 嘉宏 水口充
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.79, pp.43-48, 2008-07-31
被引用文献数
2

これまで PC ユーザはファイルやメール,ブックマークなどの膨大な情報資源に短時間でアクセスするために,情報資源を手探りで分類したりキーワード検索を利用してきたが,これらの手法による支援は十分ではない.一般に PC ユーザは情報資源にアクセスするために,それらに対する経験 (ユーザエクスペリエンス) を分類や検索のキーとして利用できると考えられる.そこで本論文では,このユーザエクスペリエンスを 5W1H (What,Where,Who,When,Why,How) を用いて記述し,従来手法を含む様々な情報分類・検索手法を表現することができる情報資源管理スキームについて述べる.PC users have many information resources such as files, e-mails and bookmarks. They would be able to use their experiences related to the information resources as keywords of classification and search to access them quickly. We discuss an information resource management scheme in which the user experience is described based on 5W1H (What, Where, Who, When, Why and How). In the scheme, we can represent various methods of information classification and search, including traditional ones.
著者
水口充 中村 聡史
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.52, pp.23-30, 2006-05-19

個人の属性/趣味/所有物の誇示やコミュニティへの帰属は人間の高度な欲求に基づく行為であると考えられる.これらの行為は実世界のみならずネット内の活動においても観察することができる.本稿では,ネット内のコミュニティをシンボル化した物理タグを着用することで実世界とネット内での活動を融合し,興味の共有によるコミュニケーション支援や環境ディスプレイを介した気軽な情報アクセスを実現する手法について提案する.Exhibition of personal attributes, hobbies and possessions can be regarded as actions derived from human's high-leveled desires. Such actions can be observed not only in the real world but also in the virtual societies. In this paper, we discuss a linking method between real and virtual activities via physical tags that symbolize communities in the virtual society. We expect this method can enhance communications among users and realize casual access to information through ambient displays.
著者
大迫 孝 倉本 到 渋谷 雄 辻野 嘉宏 水口 充
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.5, pp.23-30, 2009-01-19

スケジューラを用いるとき,人は抱えている予定を思い出すために,それを事前に通知するリマインダ機能を用いる.既存のスケジューラでは,事前通知時刻をユーザが決定する必要があり,他のタスクおよびスケジュールをすべて考慮して適切な事前通知時刻を決定することは難しい.そこで,自動的に事前通知時刻を決定することを考える.このためには,ユーザ自身のタスクおよびスケジュールに対する余裕の持ち方について考慮しなければならない.そこで,まず,タスクおよびスケジュールに対して人が持つ時間的余裕を余裕時間と定義し,その余裕時間と,タスク実行に最低限必要であると予想する見込み時間およびスケジュール実行場所への移動時間との関係をアンケートより調査した.さらに,その結果を用いて事前通知時刻を自動的に決定する手法を開発し,効果を検証するために実環境での実験を行った.その結果,余裕時間を用いた事前通知手法が既存の手法に比べて適切なタイミングでスケジュール情報を通知できることがわかった.Many people use their calendar software with reminder function to remind their task or schedule in good time. Most current calendar software asks the user to set such good remind time, called the prior notification time below, manually. In order to decide the prior notification time automatically, it is necessary to consider how much margin the user needs for a task and/or a schedule. In this paper, we investigated the relationship between time margin and the expected time for task completion / the expected traveling time by questionnaire, and then we proposed a prior notification method based on the relationship. As a result of experiment, we found that the proposed method provided better timing than the conventional method of popular calendar software.
著者
水口 充 ジョージ ボーデン 柏木 宏一 増井 俊之
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.267-276, 1997-05-15
被引用文献数
2

情報検索に対して多数の可視化手法が提案されているが,それらのほとんどは単一の手法によるものであり,名前の一部分といった曖昧な知識からの検索には効率的とは言えない. 一方,人間は日常的には曖昧な手がかりから物を探していることが多い.例えば図書館で本を探すには,目的の本が含まれる分類の書架にある本を見て本の題名や色や大きさなどの様々な手がかりから探している.また,本棚で著者や題名を見て索引力一ドを調べることにより関連する情報を得ることもできる. このような現実世界での検索の方法を可能にするために,情報の可視化,キーワード検索,分類検索を,なめらかにズーミングするインタフェースで統一し,曖昧な知識から情報の検索範囲を絞り込んでいくことのできる複数のビューによる情報検索システムを構築した.ユーザは,それぞれのビューで検索範囲を変えていくことで,思い通りに情報空間を探索することができる.