著者
寺本 高 三坂 昇司
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.18-28, 2020-09-29 (Released:2020-09-29)
参考文献数
27

本稿では,「コスパの良い」という小売店舗の価格イメージ情報が消費者の口コミや購買に与える影響について明らかにした。実証分析では,消費者生成型コンテンツを実験的に作成し,小売店舗の価格イメージ情報に関する異なる刺激提示の状況下での口コミ行動の差異を捉えるのに加え,口コミ行動前後の被験者の購買行動の差異についても捉えた。その結果,「コスパの良い」に関する投稿情報に接触した消費者は,「安い」に関する投稿情報に接触した消費者に比べて①返信回数が多い,②「品質」を通じての「価格」という話題に多く接触している,③「品質」を通じての「楽しい」という話題に多く接触している,④対象店舗での購買量や購買商品単価が増加した,の4点が明らかになった。本稿の成果は,小売店舗に関する口コミや購買を喚起するうえで,「コスパの良い」というキーワードの有効性を示している。
著者
寺本 高
出版者
日本商業学会
雑誌
流通研究 (ISSN:13459015)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.1_1-1_17, 2009 (Released:2012-01-27)
参考文献数
47
被引用文献数
7

本研究では、特定のブランドに対するコミットメントという消費者の態度状態と小売店頭でのプロモーション時の購買行動、ロイヤルティの関係を明らかにした。具体的な研究のアプローチとして、Dick and Basu(1994)が提示したロイヤルティとコミットメントの構造化の概念と、青木(2004)が提示したコミットメントの水準によるプロモーションへの反応の違いの概念の2点を分析した。実証分析の結果から、「真のロイヤルティ」、「潜在的ロイヤルティ」、「見せかけのロイヤルティ」という、ロイヤルティとコミットメントの構造化が可能であればこそ抽出できる消費者セグメントを導くことができた。また特定のブランドに対するコミットメントが強ければ、そのブランドが価格の値引きを行わなくても購買する傾向にあることが確認された。
著者
寺本 高 若鶴 優 鶴見 裕之 本橋 永至 佐藤 伸 中岸 恵実子
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.15-27, 2022 (Released:2022-11-10)
参考文献数
40

The authors clarify the behavioral traits of PLP (Partnership Loyalty Program) members before their trial purchase at the focal company. Specifically, they apply a zero-inflated negative binomial regression model using historical data of PLP members: purchase, marketing reaction, and reward program usage. There are two contributions to their research. First, they clarify the behavioral traits of PLP members at other coalitional companies before the trial purchase at the focal company, which cannot be captured by the loyalty program of a single company. Then, the behavioral traits of PLP members are captured from the three perspectives: purchasing behavior, marketing reaction, and reward acquisition/redemption behavior. These results induce discussions on the effectiveness of PLP from the perspective of sharing and utilizing behavioral information of PLP members among coalitional companies.
著者
井上 淳子 赤松 直樹 斉藤 嘉一 寺本 高 清水 聰
出版者
日本マーケティング・サイエンス学会
雑誌
マーケティング・サイエンス (ISSN:21874220)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.41, 2019-06-30 (Released:2019-08-18)

慶應義塾大学 本稿では,2000年以降のマーケティング・サイエンスと消費者行動研究のトレンドを把握すべく,Marketing ScienceとJournal of Consumer Researchに掲載された論文のアブストラクトをテキスト分析し,両分野に重なるトピックと各分野に特定的なトピックを導き出した。 またJournal of Marketing Researchに掲載された論文の引用傾向を検討し,同誌がマーケティング・サイエンスと消費者行動研究の議論に共通の場を提供する重要な鍵である可能性を指摘した。最後に,両分野の知見が有機的に結びつくことで今後の発展が期待される研究テーマを示し,関連する既存研究をレビューした。(マーケティング・サイエンス,消費者行動,研究動向,知覚,認知,社会的ダイナミクス)