- 著者
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井上 淳子
冨田 健司
- 出版者
- 公益財団法人 医療科学研究所
- 雑誌
- 医療と社会 (ISSN:09169202)
- 巻号頁・発行日
- vol.11, no.3, pp.55-67, 2002-02-22 (Released:2012-11-27)
- 参考文献数
- 16
- 被引用文献数
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近年,医療機関を取り巻く環境は確実に厳しさを増している。各医療機関とも生き残りを賭けた熾烈な競争を強いられ,大きな変革を迫られている。ビジネスの世界において他社と協調的な関係を結ぶ傾向は,病診連携,病病連携,医療と福祉の連携など医療業界においてもみられるようになった。機能分化や医療資源の効率的活用が叫ばれる今日,医療機関どうしの連携はますます重要性を増している。本稿では,亀田総合病院の地域医療ネットワーク事業を事例にとり,成功要因の分析を行った。同院の成功は,情報共有を通じた地域医療機関との戦略的提携,顧客である地域医療機関との良好な関係性構築,徹底した患者(顧客)志向によって説明できる。同院は「企業」戦略ではなく,ネットワーク組織全体がもっ人的資源や,物的資源,情報の利用により,組織全体の利益・便益が向上することを目的とした「組織」戦略をとっている点が特徴的である。