著者
寺沢 なお子 山崎 希 福井 優美子
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.99-104, 2001-02-15
被引用文献数
7 12

各種フレッシュハーブの抗酸化能の評価及びカレープラント中のポリフェノール類の分離同定を行ない,以下の結果を得た.<BR>(1) ロダン鉄法による抗酸化能測定の結果,新たにカレープラント,スイートラベンダーにおいて32mg BHA/m<I>l</I>/g以上に相当する高い抗酸化能が認められた.<BR>(2) DPPH法によるラジカル消去能測定の結果,ナツメグでは約0.6mg BHA/m<I>l</I>/g,フローレンスフェンネル,イタリアンパセリ,ローズマリー,スペアミント,スイートラベンダー,スーパーアロエでは0.4mg BHA/m<I>l</I>/gと同等かそれ以上に相当する高いラジカル消去能が見られた.<BR>(3) カレープラントのラジカル消去能は総活性の約25%がポリフェノール由来と考えられた.<BR>(4) カレープラント中のポリフェノールをHPLCで検出した結果,ヒドロキノン,没食子酸,レゾルシノール,ピロカテコール,クロロゲン酸,(+)-カテキン,ゲンチシン酸,EGCgと思われるピークが検出され,ゲンチシン酸,EGCg,(+)-カテキンが多く含まれていた.またこれらについてラジカル消去能を測定した結果,EGCgが約500mg BHA/m<I>l</I>/gと特に高かった.以上より,カレープラント中ポリフェノールのラジカル消去能はその活性・含量から主にEGCgに由来すると考えられた.
著者
寺沢 なお子 荒納 百恵
出版者
金沢大学人間社会研究域人間科学系
雑誌
金沢大学人間科学系研究紀要 (ISSN:18835368)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.1-13, 2011-03-31

市販の緑葉野菜の硝酸および遊離シュウ酸含有量における,栽培方法(有機栽培・慣行栽培)による違い,および茹で処理による硝酸・シュウ酸の減少率の違いについて検討した。その結果,硝酸含有量についてはホウレンソウで有機栽培が慣行栽培の約2倍の硝酸イオンを含んでおり,有意に高かったが,それ以外の野菜では大差なかった。また茹で処理による減少率には栽培方法による差異はなかった。ホウレンソウの遊離シュウ酸含有量については,有機栽培が平均で慣行栽培の1.5倍の量を含有していたが,有意差は認められなかった。茹で処理後のシュウ酸含有量は有機栽培・慣行栽培ともに同程度となった。一方,輸入冷凍ホウレンソウの硝酸含有量についても調べた結果,商品によって3倍近い差が認められたが,いずれも国産ホウレンソウの生および1分間茹で・水さらしなしの試料の硝酸イオン量よりも低かった。また近年,健康のために青汁を飲む人も多いことから,青汁の硝酸含有量についても調べた。その結果,製品当たりの硝酸イオン量は0.6~220mgと大差が認められ,粉末製品よりも液体製品で多い傾向にあった。The difference in contents of nitrate and oxalic acid of commercial fresh green-leaf vegetables according to the cultivation method (organic cultivation and conventional cultivation) and after boiling was examined. The nitrate content of spinach cultivated by organic cultivation was significantly high, being 2 times greater than that by conventional cultivation. The nitrate content of other vegetables was no different according to the cultivation method. There was also no difference in the decrease of nitrate content by boiling according to the cultivation method. The oxalic acid content of spinach cultivated by organic cultivation was 1.5 times greater than that by conventional cultivation, although the difference was not significant. There was no effect of cultivation method on the oxalic acid content of spinach after boiling. The nitrate content of imported frozen spinach showed a difference of about 3 times among the samples, although the nitrate content of all imported samples was lower than that of raw spinach or spinach boiled for 1 min and not soaked in water that had been cultivated in Japan. The nitrate content of aojiru, the juice of young leaves of barley, kale, etc. that is currently considered as a health drink, was 0.6-220 mg/pack, the content of the liquid product tending to be greater than that of the powder product.
著者
寺沢 なお子 木下 恭宏 Terasawa Naoko Kinoshita Yasuhiro
出版者
金沢大学人間社会研究域人間科学系
雑誌
金沢大学人間科学系研究紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Sciences Kanazawa University (ISSN:18835368)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.25-44, 2018-03-31

女子大学生25名(20.7土1.3歳)を体格別に3群(標準身長 一 標準骨格筋率群 :S-S群,標準身長 一高骨格筋率群: S-H群,高身長 一 高骨格筋率群 :H-H群)に分けた。S-S群は他の2群に比べて有意に全身骨格筋率が低かったが, Body Mass Indexには有意差は認められなかった。3群の食後血糖値変動を調べたところ,米飯摂取30分後の血糖値はS-S群が他の2群より有意に高値を示した。米飯摂取30分前に野菜ジュ ー スを摂取した場合,血糖値上昇は 3 群とも有意に抑制されたが,米飯のみ摂取の場合に食後血糖値が高かった群ほど抑制率が高く . 群間の有意差は消失した。また被験者の全身骨格筋率に影響を及ぼす生活習慣を調べたところ,いずれも有意差は認められなかったもののS-S群は身体活動レベルが低く,朝食を抜くこと・食事をとる時刻が変動すること・満腹になるまで食べることが多い傾向にあった。さらに,朝食の摂取頻度と全身骨格筋率との間に有意な相関が認められた。
著者
寺沢 なお子 村田 容常 本間 清一
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1993

土壌中よりメラノイジン脱色能を有する放線菌Streptomyces werraensis TT 14を、また開封したインスタントコーヒー中よりコーヒーを脱色する糸状菌Paecilomyces canadensis NC-1を得た。これらの微生物と、高いメラノイジン脱色活性を有する担子菌Coriolus versicolor IFO 30340の3株を用い、褐色色素の脱色率を調べた。その結果、モデル褐色色素においてはS.werraensis TT 14はXylとGly、またGlcとLysより調整したメラノイジンをよく脱色した。またフェノールの重合色素は脱色せず、逆に着色した。C.versicolor IFO 30340はすべてのモデルメラノイジンをよく脱色したが、フェノール系の色素は脱色せず、着色した。P.canadensis NC-1はXylとGly、GlcとTrpから調整したメラノイジンを50%以上脱色し、またフェノール系の色素も脱色した。各種食品の褐色色素の脱色率をみると、S.werraensis TT 14は市販のカラメルA、コーラ、ココアを、C.versicolor IFO 30340は糖蜜、醤油、味噌、カラメルA、黒ビール、麦茶、ウスターソースA,B,C、ココア、チョコレートなど、アミノカルボニル反応が主体と考えられる食品を50%以上脱色した。一方P.canadensis NC-1は、インスタントコーヒー、紅茶、ウスターソースC、ココア、チョコレートなど、フェノールの重合反応が関わっていると考えられる食品も50%以上脱色した。これはモデル褐色色素の脱色の結果とよく一致している。このことより、カラメルAはGlyやLysが着色促進剤として加えられ、Xyl-Gly、Glc-Lysメラノイジンのような反応が起こっているのではないか、またコーラにはカラメルAのようなカラメルが添加されているのではないか、ウスターソースCはウスターソースAやBよりもフェノールの関与が強そうであるなど、これらの微生物を用いることにより、食品の褐色色素の識別が可能であることが示唆された。
著者
鯨 幸夫 前野 寿有 山口 順司 寺沢 なお子 木下 栄一郎
出版者
日本作物学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
no.47, pp.113-118, 2012-03-31

栽培環境を異にするヤブツルアズキを材料に用いて,土壌硬度や施肥量を変化させた栽培試験を行い栽培品種(大納言)と比較した.土壌硬度を高め3.5kg-NPK/10aの施肥を行うと成育量は増大した.成育地を異にするヤブツルアズキのITS領域およびrbcL領域のDNA解析を行った結果,葉身形状,茎の色等,地上部形態に明らかな差異が認められても遺伝子情報は全く同じであった.種子のポリフェノール含有量は栽培種よりヤブツルアズキの方が多い傾向が認められ,これは種皮比率が高い事が原因と考えられた.