著者
橋爪 秀一 河野 貴美子 小久保 秀之 山本 幹男 桂川 秀嗣 鎌田 明彦 渡辺 恒夫
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.32-38, 2016

人類はこれまで健康に良い様々な機能、例えば、抗酸化作用、抗肥満作用、生活習慣病予防作用など、を有する食品を取捨選択してきた。その結果、全ての食品は、何らかの機能を有しており、現在、我々が食べている食品は人類の英知の結晶であると言える。しかし、食品にはこのように多くの機能があるが、では、何が最も重要で、有用であるのだろうか。また、食品を総合的に評価する方法があるのだろうか。我々の大敵は疾病であるが、殆どの疾病がストレスにより引き起こされることから、我々はストレス改善効果に注目した。また、考えてみると、食の一次、二次、三次機能に共通する概念、キーワードもストレスであると考えられる。そこで、食品のストレス改善作用を測定した結果、殆ど全ての食品は大なり小なりストレス改善作用を有していた。また、食品のストレス改善作用は、太極拳、凸凹マット足踏み、アロマセラピーなどより大きかった。これら食品のストレス改善効果は、咀嚼、ストレス改善効果を有する成分及びスパイスにより大きな効果が得られることが示唆された。更に、このストレス改善効果は、食品を含めた様々な分野のヒット製品開発及び個別用製品検索など、ビジネスへの応用が期待できる。
著者
小久保 秀之 山本 幹男 河野 貴美子
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, 2008

キュウリ切片に手かざしなどの非接触ヒーリングを行うと、施術したキュウリ試料から生じるバイオフォトンの発光強度が増大する。この非接触ヒーリングの物理機序を調べるために、キュウリ試料に市販の磁気健康器具によって静磁場(180mT)、交番磁場(80mT、50Hz)、パルス磁場(最大値0.6T、パルス幅2.5ms)の処理を各30分間行い、非接触ヒーリングのデータと比較した。結果、静磁場、交番磁場刺激では発光強度の変化はなかった。また、パルス磁場刺激では発光強度の低下はあったものの(Wilcoxon、p=0.047、両側)、非接触ヒーリングの場合とは時系列変化の仕方が異なった。キュウリ試料に対する非接触ヒーリングの作用機序は、磁気刺激の場合とは異なると考えられた。
著者
高木 治 坂本 政道 世一 秀雄 小久保 秀之 河野 貴美子 山本 幹男
出版者
International Society of Life Information Science
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.38, 2018 (Released:2018-07-26)
参考文献数
4

我々はピラミッド型構造物(pyramidal structure: PS)の未知現象について研究をしている。これまで、PS内部に瞑想者が入り瞑想することによって、PS頂点に置かれた生体センサ(キュウリ切片)に影響があるかどうかという実験がおこなわれた。瞑想に関する条件は以下である。(1) 瞑想はPS内部でおこなわれた。(2) 全ての瞑想は、共同研究者である坂本政道によっておこなわれた。(3) 瞑想は1回30分。午前中3回、午後3回おこなわれた。(4) ヘミシンクによる瞑想がおこなわれた。(5) 瞑想中、瞑想者はPS頂点に置かれた生体センサに意識を向けなかった。瞑想者と生体センサは接触していない。従って、生体センサに対する影響は非接触効果である。非接触効果の測定は、キュウリ切片から放出されたガス濃度の測定によっておこなわれた。研究の結果、次の3つの発見があった。 (1) PS頂点に設置された生体センサへの非接触効果は、PS内に瞑想者が居る時と居ない時とで異なった(p=3.13×10-10) [1]。 (2) 非接触効果は、PS内に瞑想者が居る時には検出されず、居なくなった後に、10日間程度検出された(p=3.51×10-6) [2]。(遅延を伴った非接触効果)。(3)非接触効果は、PS内に瞑想者が居た場合にのみ起こり、それ以外の条件では起こらなかった(p=2.19×10-4) [3]。PSの未知現象は、PS内部の瞑想者によって引き起こされた現象である。このことから、PSは生体センサでは検出が難しい瞑想者エネルギーを、検出可能なエネルギーに変換する、一種の変換装置であると結論された。瞑想者エネルギーや生体センサに非接触効果を及ぼしたエネルギーは、現代科学においては未知なるエネルギーではあるが、我々はその存在を実証した。
著者
陳 偉中 張 トウ 世一 秀雄 小竹 潤一郎 原口 鈴恵 小久保 秀之 河野 貴美子 山本 幹男
出版者
International Society of Life Information Science
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.703-710, 2002 (Released:2019-05-01)
参考文献数
8
被引用文献数
2

著者らは、気功および手から光を出す(発光)イメージ課題時におけるヒトの生理変化を測定してきた。その結果、熟練気功鍛錬者において、サーモグラフィで計測された中指先の皮膚表面温度は普通の安静時に比べ、発気時の温度が低下し、また、光電子増倍管(PMT)による生物フォトンの測定結果からは発光イメージ時における中指先の放射強度が増加したと報告した。本報では、これまでの報告と同様の実験を気功初心者および一般人に対して行った。その結果、気功初心者の発気時における中指先の皮膚表面温度が安静時より著しく上昇(最大3.3℃、両側t検定P=0.046<5%)した。また、発光イメージ時において、一般人の中指先から出た生物フォトンの放射強度が増加傾向にあった。これらの結果から、気功および発光のイメージが皮膚温度と生理代謝に影響する可能性を示唆している。
著者
小久保 秀之 薄井 孝子 山本 幹男 世一 秀雄
出版者
日本超心理学会
雑誌
超心理学研究 (ISSN:1343926X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1-2, pp.18-27, 2008-12-07 (Released:2017-08-09)
参考文献数
17

特異能力者として知られる中国人被験者(女、40歳)が念力課題、および顔表情認知課題を試みているときの脳血流、皮膚電気活動などの生理変化を測定した。また、主要5因子性格検査など5種の質問紙調査と内田クレペリン検査を実施した。結果、顕著な異常現象は観測されなかったが、念力課題中に被験者の脳血流が大脳右半球で著しく増大し、さらにその領野が顔表情認知課題中の血流増大領野と共通することがわかった。性格検査の結果は、この被験者の性格がまったく普通であることを示した。
著者
橋爪 秀一 河野 貴美子 小久保 秀之 山本 幹男 桂川 秀嗣 鎌田 明彦 渡辺 恒夫
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.73-77, 2014

甘味料のストレス改善効果を、心理生理学指標である皮膚伝導水準(SCL)と心拍(HR)とを用いて評価することを試みた。10名の大学生が被験者として参加し、先ずは3分間の安静の後、5分間の内田クレペリン検査及び3分間の暗算により、ストレスを負荷した。その後、甘味料として砂糖、エリスリトール及びサッカリン、更にはコントロールとしての5%デンプンペーストを1分間で摂取した後、椅子に静かに開眼で座ることによる安静を10分間、更に閉眼での安静を3分間行った。RussellとLaniusの気分特性モデル(Russell and Lanius model of the affective quality)により解析した結果、砂糖のみが強いストレス改善効果を有することが明らかになった。これらの結果から、甘味にストレス改善効果があるのではなく、砂糖は砂糖自身にストレス改善効果があると考えられる。
著者
境田 英昭 小久保 秀之 山本 幹男 平澤 雅彦 河野 貴美子 町 好雄
出版者
International Society of Life Information Science
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.276-282, 2000-03-01 (Released:2019-04-30)
参考文献数
5
被引用文献数
1

気功は、中国の心身鍛練方法の一種と言われている。その気功練習者の身体からある周期に変調された放射赤外線が検出されたという報告がある。さらに、その周期は呼吸周期と一致するという報告もある。著者らは、放射赤外線を検出する装置を自作し実験を行った。この放射赤外線検出装置においても放射赤外線に呼吸周期と一致する周期が測定された。また、放射赤外線は皮膚表面温度と深く関係しているので、皮膚に直接温度センサを付けた実験も行われた。このセンサにおいても呼吸周期と一致する周期が測定された。また、他の分野で、皮膚表面温度から呼吸数を推定する研究報告がある。本研究によって、気功時における放射赤外線の変調は、呼吸の変化が皮膚表面温度の変化として表れたことに起因すると示唆された。
著者
小久保 秀之 高木 治 小山 悟史 山本 幹男
出版者
日本超心理学会
雑誌
超心理学研究 (ISSN:1343926X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1-2, pp.20-27, 2010-12-31 (Released:2017-08-09)
参考文献数
25

筆者らは2006年以来、白いぼキュウリの切片を生体センサとして、非接触ヒーリングの測定を行ってきた。さらに、2009年には、ヒーリングパワーをキュウリガス(匂い)の生成量で測定するガス測定法を開発した。ガス測定法は多点同時測定が容易であり、ヒーリング中のヒーラーの周囲に多数の生体センサを配置することで、ヒーリングパワーのポテンシャル分布を測定することができる。これまでの研究から、ヒーラーから半径2mほどの範囲にポテンシャルが広がっていること、波型の非クーロン型ポテンシャルであること、幾何対称性があること、異方性があること、反転領域をもつことなどを見出した。
著者
クリップナー スタンレイ 小久保 秀之
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.165-184, 2014

夢は睡眠中に物語の形で起こる一連のイメージである。ほとんどの夢の出来事は我々が現実と呼んでいる世界を反映しないが、それは普通、覚醒中の生活体験の象徴や比喩になっている。しかし、西洋科学の時空の理解を超えるような特異な夢もある。いわゆるテレパシー的、透視的、予知的、さらに過去生の夢がそういう例だろう。もしそういった夢が現実と一致するなら、正に特異な夢と考えるしかない。多くの非西洋・土着の文化はこの種の夢に寛容で、かつその世界観に容易に同化させた。少数ではあるが西洋科学者が特異な夢体験を調査しようと努力し、継続研究に値する十分挑戦的な結果が得られている。
著者
小久保 秀之 山本 幹男 河野 貴美子
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.40-62, 2007-03-01

手かざし治療の実践者10名(初心者5名と中堅・ベテラン5名)について、その非接触ヒーリング作用の効果を、植物切片(白いぼきゅうり)の極微弱生物光で測定した。ヒーリング作用の量的指標は、実験試料と対照試料の発光強度比の対数(J値)を用いた。また、186項目の質問紙法によって実践者の当日の実践内容、過去の経験やその自己評価を調べた。結果、J値は、初心者群は0.072であったのに対し、中堅・ベテラン群は0.166となり、中堅・ベテラン群が初心者群よりも大きなヒーリング効果を示した(p=0.025、片側)。肩・背中・腰痛に対する施術効果の評価点がJ値と相関したことから(r=0.57、p=0.043、片側)、測定されたヒーリング能力は、痛み抑制効果の能力に深く関係すると考えられた。また、J値は実践者の年齢と正相関し(r=0.63、p=0.049、両側)、特に初心者群ではr=0.92(p=0.025、両側)と非常に強く正相関した。J値は年齢関数と初心者・ベテラン関数の1次結合式でよく近似できた。また、性格特性項日「そそっかしい-慎重」が能力発揮に重要であると考えられた。得られた知見から、著者らは次のようなヒーリング能力の生物学的仮説を提唱する。仮説:(1)加齢によって生ずる痛みを抑制するために、痛み抑制の自己ヒーリング能力が向上する。(2)痛みを抑制する非接触ヒーリングは、自己ヒーリング能力を他者に向けて転用したものである。
著者
小久保 秀之 高木 治 小山 悟史 山本 幹男
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.236-249, 2010-09-01

白いぼキュウリ(Cucumis sativus'white spin type')を生体センサとして使うガス測定法にて、ヒーリング中のヒーラーの周囲に広がるヒーリングパワーのポテンシャルの空間分布(X-Y平面)の測定を試みた。ヒーラーは特異能力者として知られるW003(女,41歳)。ヒーラーは座位にて、高さ67cmの机上に設置されたキュウリ切片(実験試料2皿)に対し、30分間、キュウリの香が強くなるよう非接触で手かざしヒーリングした。さらにヒーラーの周囲のポテンシャル分布を測定するために、ヒーラーの前後左右に50cm間隔で4点ずつ、斜め方向約2.5mの4か所にキュウリ切片を設置した(計20点。いずれも床面から70cm)。ヒーリング試行は15分の休憩をはさんで2回実施した。ヒーリング中、対照試料となるキュウリ切片は別室に保管した(ヒーラーから対照試料までの直線距離は12m)。24時間後、各試料のガス濃度を酢酸エチル検知管141L(ガステック社)で測定し、各点のJ値(実験試料と対照試料のガス濃度の比の自然対数)を求めた。結果、ヒーリング中のヒーラーの周囲にはクーロンポテンシャルとは異なる特異な形のポテンシャルが形成されていること、ヒーラーの体の前後方向と左右方向とで異方性があることが示唆された。
著者
小久保 秀之 山本 幹男 河野 貴美子
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.30-39, 2007-03-01

手かざしや祈りになどの非接触ヒーリングの作用を、極微弱生物光で評価する方法を研究した。超高感度カメラにて植物切片(白いぼきゅうり)の試料対(実験試料と対照試料)を18時間測定し、実験試料から生じる生物光の発光強度を対照試料の発光強度と比較した。測定は、実験試料に全く処理を行わない無処理群、手かざし等を行うヒーリング群、40℃の熱源にさらす熱処理群について行った。結果、無処理群と熱処理群では実験試料と対照試料の発光強度に差は無く、ヒーリング群でのみ実験試料と対照試料の発光強度に有意差が見られた(p=0.002,両側,paired t-test)。また、実験試料と対照試料の発光強度の比の対数を効果量の指標とすることで、非接触ヒーリング作用の定量的評価が可能となった。
著者
小久保 秀之 世一 秀雄 山本 幹男
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.294-301, 2004

いわゆる遠当てと呼ばれる武道の技を研究した。遠当ては、離れた相手に対する非接触の攻撃技と言われている。1回の実験で、武道熟練者6ペア(日本の武道3ペア、中国の武術系気功3ペア)、対照として非訓練者6ペアを用いた。各ペアの被験者は別室に入り、通常の情報伝達経路を遮断した。そして、送信者が受信者に向かって信号伝達動作を行ったときの受信者の応答を測定した。受信者は静電遮蔽室に座り、2重盲験・無作為の条件下で、送信者は1試行80秒間に1回だけ送信動作を行った。送信者・受信者はそれぞれスイッチボタンを持ち、そのボタン動作の記録が生理データとともに記録された。実験の結果、送信時刻前後における受信者の左手労宮の皮膚表面温度の異常な変化は見られなかった。受信動作・送信動作の時間一致性について、有効データ797を解析した結果、全体としては顕著な時間一致性は見られなかった。中国の武術系気功ペア2組において、+11秒の時点に統計的有意なピークが見られた(p<0.05, one-tail)が、この遅延ピークが遠当てによるものであるなら、その理由は送信動作が比較的長めだったためと考えられた。
著者
山本 幹男 町 好雄 伊藤 正敏 河野 貴美子 木戸 眞美 菅野 久信 小久保 秀之 世一 秀雄 劉 超
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.60-69, 2002-03-01

近年、米国では補完代替医療の予算が急増し、研究の活発化が著しい。筆者らは2001年11月末から約1週間ハワイを訪問し、ハワイ大学の視察、スピリチュアルヒーリングの科学国際会議への参加・発表、ハワイ遠隔視能力者組合の視察を行い、東洋と西洋との研究交流の促進を図った。ハワイ大学では、2005年までに代替医療学部を設立する計画が進行していた。また、ハワイ遠隔視能力者組合では、インターネットによる実験・教育訓練が行われていた。スピリチュアルヒーリングの科学国際会議では、微細エネルギー研究、特殊生体機能、伝統中国医学と西洋医学、瞑想と精神的体験の誘導と神経生理学的測定、意識の生物学、非局所的連結の神経生理学的測定、自由応答型サイ実験、直観診断などをテーマとする約40件の発表・講演があった。研究テーマには各国とも共通するものが多かったが、その一方で、欧米の研究と比較して日本・中国・台湾の研究は、研究対象の個別性を重視する傾向がみられた。
著者
中村 広隆 原口 鈴恵 陳 偉中 田中 昌孝 小久保 秀之 張 トウ 古角 智子 河野 貴美子 相馬 隆朗 山本 幹男
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.159-163, 2001-03-01

著者らは生物フォトンと温度変化の測定から意識集中時に指先の温度低下の場合を以前報告している。本研究では、この意識集中による皮膚表面温度変化に着目し、意識と生体機能の特性を解明するため、ヒトの手から発する放射赤外線による皮膚表面温度の測定を行った。その結果、今回の実験の例でも、手の意識集中時において皮膚表面温度の低下、リラックス時には上昇が観察された。
著者
田崎 美弥子 山本 幹男 小久保 秀之 小林 宏
出版者
東京理科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は、喜怒といった対立する情動が混在するNon-Dialecticな東洋圏と混在しないDialecticな西欧文化圏において顔表情認知過程において差異があるかどうかを検証することである。本研究は4つの実験から構成された。実験1では、3名ずつの日本人と中国人との顔表情認知を喜び、怒り、驚き、軽蔑、嫌悪、恐れの顔表情と喜びを基点としてそれぞれの情動への変化する過程の中間表情を示す26枚顔表情刺激を使って、カードソーティングを実施した。また中国人学生には面接インタビューを行った。実験2では、同じ刺激材料を用いて、139名の日本人学生にスクリーンで刺激材料を8秒、白紙を3秒提示することを交互に26回繰り返して、その顔表情認知実験を行った。正答率の分析し、同じ日本人でも日本人の顔表情で正確に識別されるのは、笑い顔であり、「喜び、驚き、怒り」は「恐れ、嫌悪、軽蔑」より識別されやすいことがわかった。また実験3では、日本人と中国人に近赤外線、分光血流計OMN-3000を使い、実験1と2の刺激材料を提示したときの脳の血流変化を測定した。その結果、中国人は右前頭前野腹外側部の血流増加が顕著に認められた。日本人は相対的に血流増加が目立たず、課題負荷が少ないことが推測された。実験4では人種的にはヨーロッパ系であるものの情動表出が明確なラテン系の文化圏にあるブラジル人にとってどのように日本人の顔表情変化が認知されるかを検証した。その結果、喜怒哀楽が激しいブラジル人にとっては、日本人の笑い顔と驚き顔以外は識別が不可能であることがわかった。本研究から、笑い顔はともかくほかの曖昧な顔表情は同じ日本人にとっても難しいこと、さらに同じNon-Dialecticな文化圏であるアジア圏の中国人にも笑い顔と驚き顔以外は識別が難しく、Dialecticな文化圏であるブラジル人にとっては同じ結果が示された。以上から、日本人の曖昧な顔表情は特にほかの文化圏では極めて識別が難しく日本人の海外でのミス・コミュニケーションの一要因になっているのではないかと示唆された。
著者
田中 昌孝 中村 広隆 小久保 秀之 陳 偉中 張 トウ 相馬 隆郎 山本 幹男
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.152-158, 2001-03-01

気功師が手かざしを他者に行うと、それをされた部位に温度変化を感じたと答える人がいる。気功師の掌に温度変化があるのか。また、その時の生理について解明するため、次の実験データの分析を行った。実験は、気功鍛錬者を被験者とし、右掌から発気するイメージをさせた。掌皮膚表面温度をサーモグラフとサーミスタにより測定した。また、その時の呼吸パターン、脈派も測定した。その結果、右掌温度は全体的に、安静では上昇、発気イメージでは下降した。この時の呼吸時間と呼吸深度は、安静では短く浅く、発気イメージでは長く深かった。また、発気イメージした右手労宮では温度変化があったが、発気イメージしなかった左手のそれはほとんど見られなかった。