- 著者
 
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             湯田 厚司
             
             小川 由起子
             
             鈴木 祐輔
             
             有方 雅彦
             
             神前 英明
             
             清水 猛史
             
             太田 伸男
             
          
 
          
          
          - 出版者
 
          - 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
 
          
          
          - 雑誌
 
          - 日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
 
          
          
          - 巻号頁・発行日
 
          - vol.120, no.1, pp.44-51, 2017-01-20 (Released:2017-02-10)
 
          
          
          - 参考文献数
 
          - 9
 
          
          
          - 被引用文献数
 
          - 
             
             
             4
             
             
          
        
 
        
        
        舌下免疫の最初の数年間の効果は治療年数により高まるとされる. スギ花粉舌下免疫の同一患者での症状を, ともに中等度飛散であった2015年 (花粉総数2,509個/cm2) と2016年 (同3,505個/cm2) の2年間で検討した. 【方法】発売初年に開始した舌下免疫132例 (41.8±17.5歳, 男女比75: 57) と対照に初期療法56例 (44.9±13.5歳, 同25: 31) を選択した. 2015年と2016年の両方のスギ花粉飛散ピーク時に, 1) 症状スコアと症状薬物スコア, 2) Visual analog scale, 3) 日本アレルギー性鼻炎標準 QOL 調査票 (JRQLQ No1) で調査した. 主目的に舌下免疫療法2年目に効果が増強するか, 副次目的に舌下免疫と初期療法の比較とした. 【結果】推定周辺平均ですべてに治療方法と年度に交互作用はなく, くしゃみ, 鼻汁, 鼻閉, 眼のかゆみなどの眼鼻症状において, 初期療法には2年での差はなく, 舌下免疫療法の多くで2年目は1年目より有意に良かった. 全般症状の項目も同様であった. QOL (quality of life) は, 舌下免疫の17項目中2項目のみで有意に2年目が良かった. また, ほとんどの項目で舌下免疫は初期療法より有意に効果的であった. 【結論】初期療法を対照にした中等度飛散の2年の比較で, 舌下免疫の治療効果は治療1年目より2年目で高まっていたと考えられる.