著者
小幡 圭祐
出版者
山形大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2021-04-01

本研究は、明治初年に長らく地方行政に携わり、その後に中央行政にも参画した、薩摩藩出身の官僚・三島通庸(1835~1888)が、どのような思想を抱き、またその思想に基づき、いかに地方・中央で行動をとったのかを、彼の残した膨大な史料群「三島通庸関係文書」(国立国会図書館憲政資料室所蔵)を網羅的に分析することで解明し、地方・中央行政史研究を深化させることを直接の目的とする。本研究により、これまで分断して行われてきた中央行政史研究と地方行政史研究の成果の見直し・架橋をはかるとともに、日本近代史研究において地方官に着目する視座を提起することを目指す。
著者
小幡 圭祐 松沢 裕作
出版者
慶應義塾経済学会
雑誌
三田学会雑誌 = Mita journal of economics (ISSN:00266760)
巻号頁・発行日
vol.110, no.1, pp.75-91, 2017-04

はじめに1 内務省における「本省事業」の起草2 太政官における処理過程3 「別紙」の性格むすび研究ノート
著者
小幡 圭祐 本多 広樹
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.6, no.s3, pp.s127-s130, 2022 (Released:2022-11-02)
参考文献数
8

発表者の所属する山形大学では、2022年度より、再開発など変化がめまぐるしい山形市の中心市街地にまつわる資料を、同大学附属博物館を拠点としてアーカイブするというプロジェクトをスタートした。本プロジェクトの最大の特徴は、いわゆる歴史資料だけではなく、のちに歴史資料になるであろう、現代の街並みや土地利用状況、そこで活動を行っている人々の声などを積極的に先回りして収集・記録し、デジタルアーカイブとして保存・活用することを目指している点、さらに、大学の授業の一環として、学生たちがアーカイブの収集・活用を立案・実践する点である。本報告では、学生を主体とした「まちの記憶を残し隊」によるまちの「記憶」のデジタルアーカイブ化の実践事例を紹介するとともに、公文書管理で実施されているような組織アーカイブにおけるレコード・マネジメントを、地域アーカイブにおいても実現することが可能であることを試論的に示したい。
著者
小幡 圭祐
出版者
慶應義塾大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2016-04-22

本研究は、薩摩藩出身の政治家・大久保利通の国家構想と大久保が長官を務める内務省の制度・政策を解明することで、明治初年に近代国家形成の基礎を構築したとされる「大久保政権」の位置づけを解明し、日本近代史研究に理論的な貢献をすることを目的としている。平成30年度においては、⑤地方三新法を巡る内務省と地方官、⑥明治憲法体制の確立過程についての分析を行うため、⑤については、国立国会図書館憲政資料室・大分県公文書館などが所蔵する、地方三新法の起草や地方勧農政策に関する未刊行史料を、⑥については、国立国会図書館などが所蔵する、井上馨・大久保利通・伊藤博文ら国家建設当事者に関する未刊行史料を網羅的に収集した。分析結果は以下の通りである。⑤地方三新法を巡る内務省と地方官前年度の④で解明した明治10年の中央行政改革は、内務省への地方管轄権一元化を志向した地方行政改革としての性格も併せ持っていたことを明らかにした。その成果は、④の成果とあわせて東北史学会・内務省研究会で発表を行い、雑誌論文を準備中である。また、内務省の改革志向性は、内務省によって任命された地方官の志向性とは必ずしも一致していなかったことを地方勧農政策の事例より展望した。この点については、研究発表・雑誌論文を準備中である。⑥明治憲法体制の確立過程日本において近代国家が明治憲法体制によって確立する過程が、井上馨・大久保利通・伊藤博文ら主要な国家建設当事者の国家構想の相克過程として位置づけられることを、明治4年の廃藩置県前後に行われた制度取調を事例に展望した。分析の成果は、『明治維新史研究』第16号に査読付論文「太政官三院制の成立過程―明治四年の制度取調―」として公表した。