著者
楠 俊雄 穂積 香織 小倉 達也 小林 巧 重田 文弥
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.70-78, 2009-02-01 (Released:2009-04-21)
参考文献数
11
被引用文献数
2 2

イトラコナゾール(イトリゾール®カプセル50)は,ベルギー ヤンセン社で合成されたトリアゾール系抗真菌剤である。本邦では2004年2月に爪白癬に対し,本剤400mg/日を1週間服薬した後,3週間休薬するサイクルを3回繰り返す「パルス療法」が承認され,この承認に伴い,爪白癬の治療を受けた患者2000例を対象とした市販後調査を実施し,パルス療法の有効性及び安全性について検討を行った。有効性については,有効性解析対象症例1051例における全般改善度は84.3%であった。また,感染部位,初発・再発,肥厚度,混濁比等,爪白癬の状態や重症度によらず,いずれも80%以上の有効率を示すことが確認された。一方,爪白癬治療の継続状況を検討したところ,治療完結率評価対象症例2394例において,3サイクル分のイトラコナゾール処方が完結した患者の割合は93.0%であった。安全性については,安全性解析対象症例2532例中288例(11.4%)に副作用が認められたが,主な副作用は,既知で軽微な臨床検査値異常であった。以上より,イトリゾール®カプセル50パルス療法は,爪白癬に対して優れた有効性ならびに良好な安全性を有することが確認された。
著者
森 伸一郎 小林 巧
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.I_633-I_646, 2020 (Released:2020-09-08)
参考文献数
38

2018年6月18日に発生した大阪府北部の地震(Mj6.1)で推定震度が大きかった地域の墓地(地点数:44墓地,墓石総基数:4,249基)を対象に詳細な墓石挙動調査を実施し,墓石被害率分布と推定震度分布を比較した.地震直後に公開された気象庁や防災科学技術研究所の推定震度分布では高槻市と茨木市の広い範囲で震度6弱が推定されていたが,墓石被害は茨木市内に集中し,高槻市南部では墓石落下がなく,その他ずれや回転といった被害もほとんどなかった.また,地形区分と比較した結果,軟弱地盤である後背湿地で墓石落下がなく,安威川より西側の千里丘陵裾部の扇状地で墓石被害が集中していた.
著者
伊藤 崇倫 小林 巧 神成 透 堀内 秀人 松井 直人 角瀬 邦晃 野陳 佳織 大川 麻衣子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.749-752, 2019 (Released:2019-12-21)
参考文献数
16

〔目的〕片脚立位動作課題を用いて,人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty:TKA)後患者の膝関節周囲筋の同時収縮とバランス機能との関連について検討した.〔対象と方法〕TKA後4週が経過した9名と健常高齢者10名とした.片脚立位動作を姿勢移行時と保持時に区分し,各区間における膝関節周囲筋のco-contraction index(CI)を測定した.〔結果〕TKA群と健常群のCIの比較について,有意な差を認めた.CIとバランス機能の関連について,TKA群では移行時のCIとfunctional reach testに有意な負の相関が認められた.〔結語〕TKA患者において,姿勢変化を伴う重心移動には膝の同時収縮が影響する可能性が示唆された.
著者
堀内 秀人 小林 巧 神成 透 松井 直人 角瀬 邦晃 伊藤 崇倫 野陳 佳織
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】人工膝関節全置換術(TKA)は,重度の変形性膝関節症(膝OA)患者に対し疼痛除去と機能改善を目的として施行される。Josephらは,内側膝OA患者が健常者に比べ歩行中における外側広筋(VL)と大腿二頭筋(BF)の高い同時収縮を報告している。また,Thomasらは,TKA後1ヶ月の患者の歩行において,健常者と比較し膝関節周囲筋の高い同時収縮を報告している。昇段動作は歩行よりも膝関節に大きなストレスのかかる動作であり,昇段動作の筋活動動態の知見を得ることは重要と考えられるが,TKA患者における昇段動作の同時収縮については不明である。本研究の目的は,昇段動作時におけるTKA後患者の膝関節周囲筋の同時収縮について検討することである。</p><p></p><p></p><p>【方法】対象は全例女性で,TKA後4週が経過した8名(TKA群:年齢69.5±6.7歳)と健常高齢者8名(高齢群:年齢66.5±4.7歳),健常若年者10名(若年群:22.9±1.6歳)とし,上肢の支持なしで一足一段での階段昇降が可能な者とした。試行動作は,開始肢位を段差20cmの階段の一段目にTKA群は術側,高齢群および若年群は非利き足を上げた肢位とし,音刺激開始後,手すりを使わず出来るだけ早く一段目に両足を揃える動作とした。音刺激は筋電計と同期されているメトロノーム機能を利用した。筋活動の測定には筋電計(Noraxon社製)を使用し,導出筋は,支持側のVL,BFとした。筋活動量の測定は,生波形を全波整流後,50msでスムージング処理を行い,移動平均幅100msでのVLおよびBFの平均筋活動量を測定し,各筋の最大随意収縮(MVC)で除し,%MVCを算出した。同時収縮は,Kellisらの方法に準じ,co-contraction index[CI:CI=VL peak時におけるBFの筋活動量/(VLの筋活動量+BFの筋活動量)]にて算出した。統計学的分析は,TKA群,高齢群,若年群の%MVCおよびCIの比較に一元配置分散分析および多重比較としてBonferroni法を用いた。有意水準は5%とした。</p><p></p><p></p><p>【結果】TKA群,高齢群,若年群の%MVCの比較について,VL,BFともに3群間に有意差は認められなかった。CIの比較について,TKA群(0.31±0.15)は,高齢群(0.18±0.04)および若年群(0.18±0.07)と比較し,有意に高値を示した(p<0.05)。高齢群と若年群には有意差は認められなかった。</p><p></p><p></p><p>【結論】本研究結果から,昇段動作において,TKA患者の術側は健常高齢者および健常若年者と比較しCIが有意に高値を示した。Hallらは,昇段動作においてACL再建患者が健常者に比べVLとBFの同時収縮が高く膝関節の安定性を高めていることを示唆した。TKA患者においても,昇段動作における膝関節の不安定性の代償として,膝周囲筋の同時収縮を高めることで関節の安定性を図っている可能性が示唆された。今後は,昇段動作の動作解析と合わせた筋活動の検討が必要と考える。</p>
著者
三浦 拓也 山中 正紀 森井 康博 寒川 美奈 齊藤 展士 小林 巧 井野 拓実 遠山 晴一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0512, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】体幹に属する筋群はその解剖学的特性からグローバル筋群とローカル筋群の2つに大別される。近年,この体幹ローカル筋群に属する腹横筋や腰部多裂筋の機能に注目が集まり,様々な研究が世界的に行われている。腹横筋の主たる機能として,上下肢運動時における他の体幹筋群からの独立的,かつ先行的な活動や腹腔内圧の上昇,仙腸関節の安定化などが報告されている。また,腰部多裂筋に関しては腹横筋と協調して,また両側性に活動することで腰椎へ安定性を提供しているとの報告がある。これら体幹ローカル筋群は主に深層に位置しているため,その評価には従来,ワイヤー筋電計やMRIといった侵襲性が高く,また高コストな手法が用いられてきたが,近年はその利便性や非侵襲性から超音波画像診断装置による筋厚や筋断面積の評価が広く行われている。腹横筋と腰部多裂筋は協調的に活動するとの報告は散見されるが,両筋の筋厚の関連性について言及した研究は少ない。本研究の目的は腹横筋と腰部多裂筋を超音波画像診断装置にて計測し,その関連性を調査することとした。【方法】対象は,本学に在籍する健常男性10名(21.0±0.9歳,173.9±6.6 cm,64.3±9.5 kg)とした。筋厚および筋断面積の計測には超音波画像診断装置(esaote MyLab25,7.5-12 MHz,B-mode,リニアプローブ)を使用した。画像上における腹横筋筋厚の計測部位は腹横筋筋腱移行部から側方に約2 cmの位置で,その方向は画像に対し垂直方向とした。腰部多裂筋の筋断面積計測におけるプローブの位置は第5腰椎棘突起から側方2 cmの位置で,画像上における筋断面積は内側縁を棘突起,外側縁を脊柱起立筋,前縁を椎弓,後縁を皮下組織との境界として計測した。動作課題は異なる重量(0,5,10,15%Body Weight:BW)を直立姿勢にて挙上させる動作とし,各重量条件をランダム化しそれぞれ3回ずつ計測,その平均値を解析に使用した。統計解析にはSPSS(Ver. 12.0)を使用し,Pearsonの相関係数にて腹横筋筋厚と腰部多裂筋筋断面積の関連性を検討した。統計学的有意水準はα=0.05とした。【結果】統計学的解析から,0%BW(r=0.78,p<0.05),5%BW(r=0.72,p<0.05)条件において腹横筋の筋厚と腰部多裂筋の筋断面積との間に有意な正の相関が認められた。10%BW,および15%BW条件においては有意な相関関係は認められなかった。【考察】本研究は,機能的課題時における腹横筋と腰部多裂筋の形態学的関連性を検討した初めての研究であり,体幹に安定性を提供するとされている両筋がどのような関連性をもって機能しているのか,その一端を示した有用な所見である。本結果より,低重量条件においては腹横筋筋厚と腰部多裂筋筋断面積との間に有意な正の相関が認められたが,重量の増加に伴い相関関係は認められなかった。先行研究によると腹横筋や腰部多裂筋は機能的活動中に低レベルで持続的な活動が必要であるとされており,かつ両筋は低レベルな筋活動で充分に安定化機能を果たすと報告されている。また,両筋は他の体幹筋群と比較して筋サイズも小さいため,高負荷になるにつれて筋厚や筋断面積の値はプラトーに達していた可能性があり,さらに,高重量条件では重量の増加に伴う体幹への高負荷に抗するため,体幹グローバル筋群である腹斜筋群や脊柱起立筋群などの活動性が優位となっていたために筋厚や筋断面積の関連性が検知されなかったかもしれない。本所見は上記の点を反映したものであると推察される。腹横筋や腰部多裂筋は活動環境に応じて協調的に働くことで体幹に対して適切な安定性を提供しているとされてきたが,様々な活動レベルを考慮したデザインにおいてその関連性を検討した研究は無く,明確なエビデンスは存在していない。本研究はその一端を示すものであり,今後は筋活動との関係性や他の体幹筋群との関係性,さらには腹横筋や腰部多裂筋の機能障害があるとされている慢性腰痛症例においてより詳細な検討が必要であると思われる。【理学療法学研究としての意義】体幹ローカル筋群である腹横筋と腰部多裂筋に関して,低負荷条件において有意な正の相関関係が認められた。本所見は,体幹へ安定性を提供するとされている両筋の形態学的関連性を示唆した初めての研究であり,リハビリテーションにおける体幹機能の評価やその解釈に対して有用な知見となるだろう。
著者
三浦 拓也 山中 正紀 森井 康博 寒川 美奈 齊藤 展士 小林 巧 井野 拓実 遠山 晴一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに,目的】体幹に属する筋群はその解剖学的特性からグローバル筋群とローカル筋群の2つに大別される。近年,この体幹ローカル筋群に属する腹横筋や腰部多裂筋の機能に注目が集まり,様々な研究が世界的に行われている。腹横筋の主たる機能として,上下肢運動時における他の体幹筋群からの独立的,かつ先行的な活動や腹腔内圧の上昇,仙腸関節の安定化などが報告されている。また,腰部多裂筋に関しては腹横筋と協調して,また両側性に活動することで腰椎へ安定性を提供しているとの報告がある。これら体幹ローカル筋群は主に深層に位置しているため,その評価には従来,ワイヤー筋電計やMRIといった侵襲性が高く,また高コストな手法が用いられてきたが,近年はその利便性や非侵襲性から超音波画像診断装置による筋厚や筋断面積の評価が広く行われている。腹横筋と腰部多裂筋は協調的に活動するとの報告は散見されるが,両筋の筋厚の関連性について言及した研究は少ない。本研究の目的は腹横筋と腰部多裂筋を超音波画像診断装置にて計測し,その関連性を調査することとした。【方法】対象は,本学に在籍する健常男性10名(21.0±0.9歳,173.9±6.6 cm,64.3±9.5 kg)とした。筋厚および筋断面積の計測には超音波画像診断装置(esaote MyLab25,7.5-12 MHz,B-mode,リニアプローブ)を使用した。画像上における腹横筋筋厚の計測部位は腹横筋筋腱移行部から側方に約2 cmの位置で,その方向は画像に対し垂直方向とした。腰部多裂筋の筋断面積計測におけるプローブの位置は第5腰椎棘突起から側方2 cmの位置で,画像上における筋断面積は内側縁を棘突起,外側縁を脊柱起立筋,前縁を椎弓,後縁を皮下組織との境界として計測した。動作課題は異なる重量(0,5,10,15%Body Weight:BW)を直立姿勢にて挙上させる動作とし,各重量条件をランダム化しそれぞれ3回ずつ計測,その平均値を解析に使用した。統計解析にはSPSS(Ver. 12.0)を使用し,Pearsonの相関係数にて腹横筋筋厚と腰部多裂筋筋断面積の関連性を検討した。統計学的有意水準はα=0.05とした。【結果】統計学的解析から,0%BW(r=0.78,p<0.05),5%BW(r=0.72,p<0.05)条件において腹横筋の筋厚と腰部多裂筋の筋断面積との間に有意な正の相関が認められた。10%BW,および15%BW条件においては有意な相関関係は認められなかった。【考察】本研究は,機能的課題時における腹横筋と腰部多裂筋の形態学的関連性を検討した初めての研究であり,体幹に安定性を提供するとされている両筋がどのような関連性をもって機能しているのか,その一端を示した有用な所見である。本結果より,低重量条件においては腹横筋筋厚と腰部多裂筋筋断面積との間に有意な正の相関が認められたが,重量の増加に伴い相関関係は認められなかった。先行研究によると腹横筋や腰部多裂筋は機能的活動中に低レベルで持続的な活動が必要であるとされており,かつ両筋は低レベルな筋活動で充分に安定化機能を果たすと報告されている。また,両筋は他の体幹筋群と比較して筋サイズも小さいため,高負荷になるにつれて筋厚や筋断面積の値はプラトーに達していた可能性があり,さらに,高重量条件では重量の増加に伴う体幹への高負荷に抗するため,体幹グローバル筋群である腹斜筋群や脊柱起立筋群などの活動性が優位となっていたために筋厚や筋断面積の関連性が検知されなかったかもしれない。本所見は上記の点を反映したものであると推察される。腹横筋や腰部多裂筋は活動環境に応じて協調的に働くことで体幹に対して適切な安定性を提供しているとされてきたが,様々な活動レベルを考慮したデザインにおいてその関連性を検討した研究は無く,明確なエビデンスは存在していない。本研究はその一端を示すものであり,今後は筋活動との関係性や他の体幹筋群との関係性,さらには腹横筋や腰部多裂筋の機能障害があるとされている慢性腰痛症例においてより詳細な検討が必要であると思われる。【理学療法学研究としての意義】体幹ローカル筋群である腹横筋と腰部多裂筋に関して,低負荷条件において有意な正の相関関係が認められた。本所見は,体幹へ安定性を提供するとされている両筋の形態学的関連性を示唆した初めての研究であり,リハビリテーションにおける体幹機能の評価やその解釈に対して有用な知見となるだろう。
著者
小林 巧 家永 直人 杉浦 裕太 斎藤 英雄 宮田 なつき 多田 充徳
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.84, no.12, pp.996-1002, 2018-12-05 (Released:2018-12-05)
参考文献数
15
被引用文献数
2

This paper presents a method to measure foot shape from a 3D point cloud as input captured from multiple directions using a smartphone depth camera. Such a 3D point cloud could potentially include noise or omit parts of the foot due to occlusion. To deal with this occlusion problem, we propose to use a dataset of 3D foot shapes collected by a precise 3D shape scanner of foot shapes. According to the dataset of 3D foot shapes, we can generate a deformable model by performing a principal component analysis (PCA) on the dataset. Then we minimize the error of the shape represented by the deformable model and the 3D point cloud acquired by the smartphone camera, to recover a complete 3D shape of the entire foot with high accuracy. We test this method by comparing the 3D shape produced by our proposed method to the 3D shape precisely measured by the 3D scanner. Our proposed method can scan the foot shape with an error of about 1.13mm.