- 著者
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小武内 清貴
- 出版者
- 岡山県立大学
- 雑誌
- 研究活動スタート支援
- 巻号頁・発行日
- 2011
本研究の目的は曲げ損傷を受けた炭素繊維強化熱可塑複合材料(以下CFRTP)の修繕性を明らかにすることである.強化材を平織炭素繊維布,母材を PA6 とするCFRTP を作製し, 4 点曲げを行うことによって曲げ負荷に伴う CFRTP の損傷形態を調査した.その結果,作製した CFRTP では 2.0%程度の曲げひずみを与えた時に圧縮側で初期層間はく離が発生した. また 2.5%程度の曲げひずみを与えた時,試験片の圧縮側に局所的な座屈の発生が確認できた.本研究では 2.0%の曲げひずみ負荷を与えた試験片を軽損傷材,2.5%の曲げひずみ負荷を与えた試験片を重損傷材とし,これらの損傷材のパッチ貼付に伴う曲げ特性回復様相を調査した.その結果,圧縮側に適切な枚数のパッチを貼付することにより,軽損傷材,重損傷材共に処女材の曲げ特性と同程度まで回復させることが可能であった.次に,ニードルパンチ処理が CFRTP の曲げ特性に与える影響を調査した.その結果,ニードルパンチ処理によって層間強度が向上し,曲げ負荷初期に発生する層間はく離を抑制できることがわかった.そこで損傷材の修繕にパッチ貼付とニードルパンチ処理を併用したところ,修繕材の曲げ特性はパッチ貼付のみによって修繕したもののそれよりも向上した.