著者
水野 誠 大西 浩志 澁谷 覚 山本 晶
出版者
日本マーケティング・サイエンス学会
雑誌
マーケティング・サイエンス (ISSN:21874220)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.7, 2019-06-30 (Released:2019-08-18)

インターネットなどの発展によりデジタルメディア環境が拡大するなか,C 2 Cインタラクションの重要性が増している。本研究ではC 2 Cインタラクションを情報フローとモノ・サービスのフローのどちらを扱うかで大別し,さらにコンソーシャリティの高低も加味して 4 つに分類した。そして,それぞれの領域に対するマーケティング・サイエンスにおける量的モデル研究や消費者行動研究の研究動向について,隣接諸科学の研究を視野に入れつつレビューする。(ソーシャルメディア,クチコミ,オークション,シェアリング)
著者
澁谷 覚
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.37-47, 2020-12-20 (Released:2021-01-14)
参考文献数
28

実験参加者が英会話スクールのサイトと,次にそのクチコミを見た後に,それらの内容について回答する実験を行った.参加者は後から見たクチコミの内容に影響され,スクールに関する記憶は肯定的クチコミを見たグループの方が正確だった.しかしクチコミ自体の記憶は,否定的クチコミを見たグループの方が正確だった.クチコミから受ける影響(クチコミのシミュレーション性)は,発信者に類似性を認知した参加者の方が強かった.
著者
澁谷 覚
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.23-36, 2017-01-10 (Released:2020-03-31)
参考文献数
54

昨今のソーシャルメディアを巡る議論では,ソーシャルグラフを見切り,インタレストグラフを再評価する論調が見られる。そこで本稿では,まず「オンライン/オフライン」および「ソーシャルグラフ/インタレストグラフ」という2つの軸から構成されるマトリクスによって個人間コミュニケーションを分類し,各領域におけるコミュニケーションの特性を概観した上で,インタレストグラフ側の2領域における個人間コミュニケーションを改めて比較しながら,インタレストグラフの役割について議論する。なお本稿では,インタレストグラフを介したコミュニケーションとは,すなわち面識のない人々の間のコミュニケーションと捉える。そこでオフライン×インタレストグラフの領域についてはうわさや流言に関する先行研究を,オンライン×インタレストグラフの領域については潜伏者に関する先行研究を参照しながら,人は見知らぬ他者とどの程度コミュニケーションを行うか,について検討する。結論として,ほとんどの人々にとってのインタレストグラフの役割とは情報取得の手段であること,マーケター側が情報を拡散するためには,オンラインのインタレストグラフとソーシャルグラフ,およびオンラインとオフラインのソーシャルグラフを適切に組み合わせることが必要であること,を述べる。
著者
澁谷 覚
出版者
日本情報経営学会
雑誌
日本情報経営学会誌 (ISSN:18822614)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.69-80, 2010-04-30 (Released:2017-08-07)

This article attempts to develop a new conceptual framework for information process in persuasive communication. It begins with an overview of the controversy in persuasive communication research area between dual-process model and uni-model which was proposed by Kruglanski and his group at the end of 1990's. The article then brings together insights from previous researches on communication, and sets forth a new model of persuasive communication process model named dual-process dual-layer model. Finally with re-considering the controversy described above, we try to propose an answer to the controversy by using our new model.
著者
川又 啓子 和田 充夫 澁谷 覚 小野 譲司
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

産業としては脇役的な存在であったマンガ、アニメ、映画、ゲーム、音楽などのいわゆる「コンテンツ」に、次代を担う産業としての注目が集まっている。経済産業省が2004年5月にとりまとめた「新産業創造戦略」の報告書の中では、「先端的な新産業4分野」の一つとして「コンテンツ産業」が取り上げられているものの、実際には、1990年代後半以降下降線をたどっているものも多い。このような現状を踏まえて、コンテンツ産業の競争優位の源泉とは何かと考えてみると、最終的にはコンテンツを創造する力にあるのではないだろうか。創造力の中でも、特に初期段階のコンセプトやストーリーの創造が重要であるといわれており、コンテンツ産業の競争優位の源泉はストーリーを産み出す力にあるともいえるのである。このような問題意識の下に、本研究では、コンテンツの創造プロセスに関する研究を行った。まず平成16年度にはコンテンツの供給側(劇団四季)に関する事例研究を実施し、地域におけるコンテンツ供給のプロセスを分析した。並行して需要側の研究として、音楽のヘビーユーザーである大学生(慶應義塾大学、新潟大学、京都産業大学)を対象とした音楽消費に関するアンケート調査を実施した。続く平成17年度には、コンテンツの創造プロセスの中でも、初期のアイデア創出段階におけるクリエーター(少女マンガ家)の認知戦略に焦点を当て、創造的認知の「ジェネプロアモデル(Geneplore model)」の枠組みを用いて分析を行った。分析対象としては、ストーリー展開に優れているといわれ、映画やドラマなどの原作として利用されるマンガを取り上げた。