著者
尾田 正二
出版者
The Japanese Society of Environmental Toxicology
雑誌
環境毒性学会誌 (ISSN:13440667)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.9-17, 2016-06-30 (Released:2018-09-04)
参考文献数
26

The 4 morphological criteria for a new species of Japanese medaka, “Oryzias sakaizumii” proposed by Asai et al.(2011) were examined in males of 75 closed colonies derived from wild populations caught in the Japan islands and maintained for longer than 30 years in laboratory. Males of 14 colonies from the Northern population medaka (“O. sakaizumii” ) were identified only by one criterion: “dense network of melanophores along each scale margin on body side” , and it was impossible to distinguish the males of the Northern populations from those of the Southern population(O. latipes) by the other 3 criteria. In addition, it has been known that hybrid populations between the Southern and the Northern populations are present in Tajima-Tango area in wild, providing the evidence for crossing of the two medaka populations in Japan in this area. In this report, the author concludes that the Southern and the Northern populations of Japanese medaka are the same species and the Northern population is a geographical subspecies of O. latipes), since both populations have crossed naturally and the confirmed morphological difference between them is slight, not giving a clear implication that these populations have differentiated into separate species.
著者
尾田 正仁 片山 充哉 森 伸晃
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.96, no.3, pp.96-100, 2022-05-20 (Released:2022-05-20)
参考文献数
11

Patients who bypass medical institutions to obtain drugs to treat human immunodeficiency virus (HIV) infections often take the medications irregularly or self-interrupt their own therapy; this is problematic because it leads to drug resistance. In addition, the presence/absence of drug resistance is a determinant of the success of HIV treatment. Thus, testing for drug resistance is essential for initial drug selection.We present the case of a highly drug-resistant HIV infection in a patient who irregularly took self-prescribed pre-exposure prophylaxis medications (lamivudine/zidovudine/nevirapine). We also showed that dolutegravir and darunavir/ritonavir might be effective as initial therapies in such patients.
著者
萱野 泰久 尾田 正
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.419-425, 1994-09-20 (Released:2010-12-10)
参考文献数
18
被引用文献数
1

平均全長8.1cmのキジハタ人工種苗を1984年10月から'89年8月までの5年間にわたり, 配合飼料及び練り餌を投与して陸上水槽中で飼育し, その成長過程を明らかにするとともに, 自然産出卵を得た。1) 時期別の平均全長は, 1歳魚が14.5cm, 2歳魚が21.7cm, 3歳魚が29.3cm, 4歳魚では雌が31.0cm, 雄が32.6cm, 5歳魚では雌が32.4cm, 雄が34.5cmであった。年間成長率は年齢の増加とともに著しく減少した。2) キジハタの全長 (L, cm) と体重 (W, g) の関係はW=0.Ol452 L3.082と表せた。3) 8月から10月の平均全長から年齢 (t) と満年齢時の全長 (Lt, cm) との関係を雌雄別にBertalanffyの成長式で表すと次のように表された。雌: Lt=40.5 [1-exp {-0.2859 (t+0.875) } ] (t≧l)雄: Lt=48.1 [1-exp {-0.2186 (t+0.911) } ] (t≧4)4) 飼育条件下での産卵期間は, 年によって多少異なったが, ほぼ6月から8月の間であった。初産卵はふ化後1年10か月齢の6月下旬に見られ, その後年齢の増加とともに産卵量は増加した。
著者
尾田 正二
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

硬骨魚類では瞳孔(黒目)の大きさは変化しないとされてきたが、本研究では強い光に反応してメダカの瞳孔が小さくなる(縮瞳)対光反射があることを見出した。また、ヒトと同様に、メダカにおいても交感神経の活動が瞳孔散大筋を収縮させて散瞳を、副交感神経の活動が瞳孔括約筋を収縮させて縮瞳を引き起こすことを見出し、さらに撮影時のメダカ成魚は交感神経の活動が大きく亢進している、すなわち緊張していたことが示唆された。近年高性能化が著しいデジタルカメラとPCを活用した映像の数値化手法によってメダカの眼の大きさ変動を詳細に観察することにより、当該メダカ個体の心身状態を推察することに道が開かれた。
著者
樋口 秀行 稲垣 友紀子 平手 博之 高須 宏江 大越 有一 大日方 洋文 太尾田 正彦
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
巻号頁・発行日
pp.1-20, 2021-01-01

定例の手術もかなりはけて,少しまったりした雰囲気になっていた夕方の麻酔科控え室。そこに,緊急手術申し込みの連絡が入った。SARS-CoV-2肺炎による呼吸不全により人工呼吸管理を行っていたが,1日前に抜管した。本日,不穏状態になり,ベッド柵を乗り越え,落下し上腕骨を骨折した。開放創があるため緊急手術をしたいという内容であった。2日前のPCR検査ではいまだ陽性が持続しているとのことである。 日本麻酔科学会の指針では,区域麻酔で施行できる症例は極力,全身麻酔を避けるとあるが,最近,腕神経叢ブロックのみで外科手術を施行した経験もないし,斜角筋間アプローチによる横隔神経麻痺は困る。当院には陰圧手術室が存在しないし,個人防護具(PPE)の着脱を完璧にこなせる自信もない。どうしよう? あれこれ考えるが答えが出ない。 手術部位や施設,手術室の環境により,麻酔管理のアプローチは複数あると思われるが,おのおのが置かれた状況下で最善の麻酔管理方法について誌上で議論してみたい。
著者
尾田 正二 久恒 辰博 三谷 啓志
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

亜致死線量の放射線照射よりも拘束ストレスの方がメダカ成魚の心拍により大きな影響を及ぼしたことから、低線量の放射線照射が脊椎動物の自律神経に与える影響も極めて小さく誤差レベルと結論する。ただし低線量率での慢性的な放射線の影響は未検証であり今後の課題である。マウス頭部への高線量放射線照射によって認知機能の一過的な低下を確認した。メダカ稚魚、成魚の遊泳を自動追尾して軌跡を数値化する手法を開発し、首都圏ホットスポットでの空間線量に相当する極低線量率にてメダカ胚、稚魚、成魚を慢性照射し、その高次脳機能への影響を検証・評価する手法を開発した。低線量慢性曝露実験の実施が将来のタスクとして残された。