著者
上石 勲 山口 悟 佐藤 篤司 兒玉 裕二 尾関 俊浩 阿部 幹雄 樋口 和生 安間 莊 竹内 由香里 町田 敬 諸橋 良 後藤 聡 輿水 達司 内山 高 川田 邦夫 飯田 肇 和泉 薫 花岡 正明 岩崎 和彦 中野 剛士 福田 光男 池田 慎二 会田 健太郎 勝島 隆史
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.507-512, 2007-07-15
参考文献数
1

2007年2月~4月にかけて4件の大きな雪崩事故が発生した.2007年2月14日には八甲田山系前岳で表層雪崩によってツアースキーヤーの2名が死亡,8名が負傷した.3月18日には,北海道積丹岳で,スノーモービルで走行中の人など16人が雪崩に巻き込まれ,4人が死亡,1人が重傷を負った.また,3月25日には,富士山富士宮口五合目付近でスラッシュ雪崩が発生し,建物と道路施設に被害を与えた.さらに4月18日には富山県立山雷鳥沢で山スキーヤーとスノーボーダーが表層雪崩に巻き込まれ,1名死亡,2名が負傷する事故が発生した.これらの雪崩事故調査から山岳地域では暖冬でも雪崩の危険性は低くないことが確認された.
著者
松下 拓樹 尾関 俊浩 西尾 文彦
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.675-680, 2005-09-30
被引用文献数
1

2004年2月に北海道の岩見沢周辺で発生した雨氷現象について, 地上気象観測資料と客観解析資料を用いた解析を行った.その結果, 岩見沢で着氷性降水があった期間は, 22日21時30分頃から23日5時頃までであり, 雨氷が発生した地域は, 岩見沢から滝川までの約40kmの範囲と推定された.着氷性降水時, 岩見沢における地上気温は-0.5℃前後で推移し, 雨氷の形成環境としてはそれほど低い気温状態ではなかった.しかし, 雨氷表面における理論的な熱収支計算によると, 北東からの6m/s前後の風による通風効果によって負の熱フラックスが増加し, 雨氷が発達しやすい大気環境であったことが示された.
著者
尾関 俊浩 秋田谷 英次
出版者
北海道大学
雑誌
低温科学. 物理篇 (ISSN:04393538)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.1-10, 1995-02

サン・クラストが形成される熱収支領域及び雪質条件を明らかにすることを目的に,4融雪期にわたって野外観測を行なった。観測期間に9回15例のサン・クラスト形成を観測した。サン・クラストは 1mm程度の薄い氷板であり,その下には深さ1cm程の空洞が形成された。サン・クラスト形成時には 200から 450W/m^2の短波放射フラックスが積雪に吸収されていた。また積雪表面は長波放射と蒸発によって冷却されており,長波放射収支と顕熱,潜熱のフラックスの和は常に負の値(0〜ー140W/m^2)であった。これはサン・クラストが維持され,その下で内部融解が起こるのに適した熱収支条件であった。サン・クラストは平均4.2×10^2kg/m^3のざらめ雪が変態して形成された。さらに表層の雪はサン・クラストを形成する過程で大きな密度のざらめ雪を経なければならなかった。