著者
内山 高 熊井 久雄 吉川 周作 輿水 達司
出版者
山梨県環境科学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究は山中湖で採取した湖底堆積物(YA-1,2コア)のテフラ層序を基に,過去数万年にわたる富士山の火山活動史・噴火史を解明することを目的に行った.また併せて,微化石分析を行い,噴火活動の影響についても明らかにした.山中湖コアYA-1,2中のテフラについて,その特徴を明らかにし,陸上部に分布するテフラとの比較を行った.その結果,陸上部のテフラと概ね対応がついたが,一部未確認のテフラがあることが明らかになった.広域火山灰として,YA-1コア深度約7.4mでKg(約3000年前)に,YA-1コア深度約11.8mとYA-2コア深度約6mでK-Ah8(約7000年前)に対比可能なテフラを見出した.また,炭素14年代として,YA-1コア深度3.4mで1,535年前(暦年補正値,以下同),深度11.5mで約7,015年前,深度14.4mで約12,000年前,またYA-2コアでは深度約13mで約8,990から8,600年前の年代を得た.この結果より,YA-1コア深度約0.8mのスコリア層は宝永スコリアに対比される.火山噴火の影響を明らかにするために,山中湖湖心において採取したYA-1コアを用いて,花粉化石と植物珪酸体等の微化石分析を行った.花粉分析の結果から,木本類への火山噴火の顕著な影響は読み取れなかったが,草本類花粉化石や胞子がみられない層準は降下スコリア等のテフラが多数挟在し,その間の堆積物も上下に比べると粗粒シルトや極細粒砂分が多くなることから,テフラの噴出により林床植物や草原性植物は影響を受け,裸地が広がり,浸食が大きくなったものと推定される.本研究により,テフラ層序を基に,富士火山の過去数万年にわたる噴火史が明らかになった.また,微化石分析により火山噴火の影響を評価することができた.これらの成果は火山防災ハザードマップの作成等防災上の基礎資料として貢献するものと考える.
著者
吉川 周作 山崎 秀夫 井上 淳 三田村 宗樹 長岡 信治 兵頭 政幸 平岡 義博 内山 高 内山 美恵子
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.107, no.8, pp.535-538, 2001-08-15
参考文献数
20
被引用文献数
1

The explosion of a plutonium atomic bomb over Nagasaki city took place on 9 August 1945. After the explosion, a cloud formed, which passed over the Nishiyama district, where 'black rain' fell. Thus, the Nishiyama reservoir, located approximately 3 km from the hypocenter, received the heaviest radioactive fallout from the Nagasaki atomic bomb. Sediment samples were collected from the bottom of the Nishiyama reservoir in 1999 and analyzed for their ^<137>Cs, ^<241>Am and charcoal concentrations. The stratigraphic distribution of ^<137>Cs and charcoal clearly indicate that the 'black rain' horizon is recognized in the Nishiyama reservoir sediments. The 'black rain' horizon contains anthropogenic radionuclides (^<137>Cs and ^<241>Am) and charcoal in high concentrations.
著者
山本 真也 中村 高志 内山 高
出版者
日本水文科学会
雑誌
日本水文科学会誌 (ISSN:13429612)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.49-59, 2017-08-28 (Released:2017-09-20)
参考文献数
26

河口湖では従来,冬季の不凍箇所の分布から湖底湧水の存在が示唆されてきたが,その詳細な分布や起源についてはいずれも推定の域を出ないのが現状であった。本研究ではこうした河口湖の湖底湧水の実態を探るため,電気伝導度水温水深計(CTD計)による水文調査並びに水中カメラ及びソナーを使った湖底探査を行った。その結果,鵜の島の東約100 mの観測点で,周囲より水温が高く,電気伝導度の低い水塊が分布している様子が観測され,湖底からの水の湧出が推察された。また湖底探査の結果,上記観測点を含む半径約25 mの領域で,湖底に被泥が見られないなど,湖底湧水地によく見られる特徴を呈していた。更に,この場所で湖底直上水を採取し水の安定同位体比を測定したところ,その値は周辺の地下水に近く,この場所が湖周辺の山間部で涵養された地下水が湧出する湖底湧水であることが示唆された。
著者
三田村 宗樹 中川 康一 升本 眞二 塩野 清治 吉川 周作 古山 勝彦 佐野 正人 橋本 定樹 領木 邦浩 北田 奈緒子 井上 直人 内山 高 小西 省吾 宮川 ちひろ 中村 正和 野口 和晃 Shrestha Suresh 谷 保孝 山口 貴行 山本 裕雄
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.179-188, 1996-07-31 (Released:2009-08-21)
参考文献数
19
被引用文献数
1

1995年兵庫県南部地震は,阪神地域に甚大な被害を生じさせた.阪神地域は都市化の進んだ場所で,人工的な地形改変が多くの場所で行われている.しかし,現在の地形図上では,その箇所が不明確であるため,過去の地形図との比較から人工改変地形の抽出を行ったうえで被害分布との関連を西宮・大阪地域について検討した.大阪地域では,基盤断層の落下側に被害が集中する傾向があり,基盤構造との関連性が存在することを指摘した.これについては,既存地下地質資料をもとにした地震波線トレースのシミュレーションの結果から,地震波のフォーカシング現象がかかわっているとみている.結論として,日本の大都市の立地する地盤環境は類似し,地震災害に関して堆積盆地内の厚い第四紀層での地震動増幅,伏在断層付近でのフォーカシング,盆地内の表面波の重複反射よる長時間震動継続,表層の人工地盤や緩い未固結層の液状化など共通した特性を有していることを指摘した.
著者
上石 勲 山口 悟 佐藤 篤司 兒玉 裕二 尾関 俊浩 阿部 幹雄 樋口 和生 安間 莊 竹内 由香里 町田 敬 諸橋 良 後藤 聡 輿水 達司 内山 高 川田 邦夫 飯田 肇 和泉 薫 花岡 正明 岩崎 和彦 中野 剛士 福田 光男 池田 慎二 会田 健太郎 勝島 隆史
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.507-512, 2007-07-15
参考文献数
1

2007年2月~4月にかけて4件の大きな雪崩事故が発生した.2007年2月14日には八甲田山系前岳で表層雪崩によってツアースキーヤーの2名が死亡,8名が負傷した.3月18日には,北海道積丹岳で,スノーモービルで走行中の人など16人が雪崩に巻き込まれ,4人が死亡,1人が重傷を負った.また,3月25日には,富士山富士宮口五合目付近でスラッシュ雪崩が発生し,建物と道路施設に被害を与えた.さらに4月18日には富山県立山雷鳥沢で山スキーヤーとスノーボーダーが表層雪崩に巻き込まれ,1名死亡,2名が負傷する事故が発生した.これらの雪崩事故調査から山岳地域では暖冬でも雪崩の危険性は低くないことが確認された.
著者
長橋 良隆 吉川 周作 宮川 ちひろ 内山 高 里口 保文
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.345-352, 2004-10-01 (Released:2009-08-21)
参考文献数
28
被引用文献数
2 4

火山ガラスの屈折率は,その主要成分化学組成に依存している.そのことを火山ガラスの主要成分含有量と屈折率(n)から,各成分ごとに屈折度(n-1)を算出することにより例示した.また,近畿地方および八ヶ岳山麓に産するテフラ(102試料)のEDS分析結果を用いて,主成分元素の酸化物含有量と屈折率との関係について検討した.SiO2はその含有量が多いことから,屈折率に寄与する割合が大きい.またSiO2量が増加すると,屈折率は低下する.SiO2と負の相関にある成分(TiO2・Al2O3・FeO*・MgO・CaO)は,含有量が増加するにつれて屈折率が高くなる.SiO2と相関のないNa2Oは,含有量と屈折率に相関がない.K2Oは,SiO2-K2O図でK2Oレベルの異なる複数のトレンドがあるが,含有量と屈折率には一続きの相関はない.火山ガラスの屈折率はテフラ同定・対比の際の重要な指標であるが,屈折率が近似する火山ガラスでも,主要成分化学組成は異なる場合がある.
著者
長橋 良隆 吉川 周作 宮川 ちひろ 内山 高 井内 美郎
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.15-35, 2004-02-01 (Released:2009-08-21)
参考文献数
59
被引用文献数
43 61

Energy dispersive Xray Spectrometry (EDS) was applied to measure the major element composition of volcanic glass shards. One hundred three analytical tephra samples were collected from the Takashima-oki drilling core sample on Lake Biwa, as well as some representative drilling core samples in the Osaka coastal area and Middle Pleistocene tephra layers at the foot of the Yatsugatake Mountains. The ages of the principal tephra layers were estimated from the correlation between the biostratigraphic horizons from the core samples and the oxygen isotope stratigraphy. The estimated ages of the Kg, K-Ah, U-Oki, AT, Aso-4, K-Tz, Aso-3, BT44, BT51, Ata-Th, Aso-1, Ng-1, Kkt and BT72 tephra layers are 3.1ka, 7.3ka, 10.7ka, 29ka, 87ka, 91ka, 133ka, 203ka, 216ka, 238ka, 249ka, 294ka, 334ka, and 349ka, respectively. These principal tephra ages provide the estimated ages of other tephra layers using the sediment accumulation rates in the Takashima-oki core. Consequently, this study has reconstructed the tephrostratigraphy and chronology during the past 430ky. Furthermore, it is pointed out that caldera forming eruptions have occurred at low sea level periods just before the maximum high sea level.
著者
岡橋 久世 吉川 周作 三田村 宗樹 兵頭 政幸 内山 高 内山 美恵子 原口 強
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.193-202, 2001-06-01 (Released:2009-08-21)
参考文献数
32
被引用文献数
3 4

三重県鳥羽市相差宇塚の湿地において,地層抜き取り装置を用いて定方位柱状堆積物試料を採取し,肉眼と実体顕微鏡による岩相観察および堆積物の古地磁気測定を行った.その結果,淡水成泥質堆積物中に2枚の不淘汰な砂層を見いだした.この砂層には,貝殻・有孔虫など海生化石が含まれる.古地磁気永年変化の磁気層序対比および歴史津波史料に基づくと,これら2枚の砂層は1707年宝永地震と1605年慶長地震の津波堆積物である可能性が高い.