著者
小川 博久 中村 陽一 時永 賢治 阪倉 直樹 山下 元幸
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.641-645, 2005-07-30 (Released:2017-02-10)

症例は62歳の女性.頻尿および膀胱緊満時の疼痛で近医を受診した.膀胱炎の診断で抗生剤を投与するも改善しなかったが, 塩酸セチリジンで症状が一部改善し, 特定の食物摂取などで再び症状が増悪するようになることから当院紹介となった.当院ではトシル酸スプラタストを併用し, 特異IgE抗体や皮膚反応が陽性の食物を制限し症状の改善傾向がみられた.膀胱鏡検査で, 膀胱容積の低下, 粘膜の発赤, 小血管増生等を認め, 膀胱水圧拡張により点状出血班や亀裂像の出現が認められた.以上の膀胱鏡所見, また組織所見をあわせて本症例を間質性膀胱炎と診断した.水圧拡張術後症状は改善し, Th2阻害剤であるトシル酸スプラタストと前述の薬剤の併用により症状は安定している.間質性膀胱炎は, 尿所見が正常の膀胱炎様症状を呈し, また抗生剤に反応しない非常にまれな疾患である.病因は現在不明であるが, アレルギー性炎症が病態形成に関与していると考えられる.今回食物アレルギーを合併した間質性膀胱炎の症例を報告する.
著者
蘆田 真吾 片岡 真一 山崎 一郎 山下 元幸 大橋 洋三 森岡 政明 執印 太郎
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.43, no.8, pp.567-570, 1997-08

45歳女.全身倦怠感,口渇,視力低下を主訴として入院,糖尿病を指摘されており血圧194/100mmHg,腹部CTで右副腎は雪だるま型,左は球状に腫大,副腎シンチグラムで両側副腎に集積がみられ,両側副腎多発腺腫又は結節性過形成によるクッシング症候群と診断手術右副腎に黄褐色の腫瘤とblack adenomaの2種類と左副腎に黄褐色の腫瘤が認められた.high performance liquid chromatographyにて右のblack adenomaと左副腎腫瘍のコルチゾール,11デオキシコルチゾール含量はもう一つの腫瘍及び左腫瘍周囲組織に比べて高かった.術後ハイドロコーチゾンの補充療法を行い,術後ACTHは正常範囲となり,CRH負荷試験も正常範囲に回復したWe report a case of Cushing's syndrome due to bilateral adrenal adenomas. A 45-year-old woman was found to have Cushing's syndrome during the course of treatment for diabetes mellitus. The diagnosis of Cushing's syndrome was based on the absence of a diurnal rhythm in plasma cortisol and failure to suppress plasma cortisol by 1 or 4 mg of dexamethasone. The plasma level of adrenocorticotropic hormone (ACTH) was below the normal range, and plasma cortisol responded normally to rapid ACTH injection. Abdominal computed tomography revealed bilateral adrenal tumors. Bilateral uptake of radiocholesterol by the adrenal cortex was observed in adrenal scintigraphy. Bilateral adrenalectomy was performed. Microscopic examination and analysis of steroid contents by high performance liquid chromatography showed that the tumor was cortisol-producting adenoma.
著者
津田 栄 勝又 保雄 山下 元 清水 誠一
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.570-584, 1994-06-15
被引用文献数
30

ソシオメトリーは, モレノ[1]の提唱した集団成員の関連構造の測定法で, 成員相互の好き嫌いの程度から解析されるが, その構造を明確に表すことは, 仲々困難である.筆者等は, ファジィグラフを応用することにより, 新しいソシオメトリー分析法を考案した.本方法は, 幾つかの質問から得られる応答データから成員の関連状態を測定し, ファジィグラフを構成し, 解析するものである.ファジィグラフのクラスター分析, 近似構造分析などを適用することにより, 近似的なソシオグラムが構成でき, 集団構造の特徴をかなり明確に抽出することができる.本稿では, ファジィグラフを応用したソシオグラムの構成法, 分析法を論ずると共に, 学校教育に関する適用事例を通じて, その効用を述べる.
著者
山下 元
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.93, no.250, pp.21-26, 1993-09-25
被引用文献数
5

ファジィ理論は,人間の行動,認識などに関するあいまいな情報を解析し思決定を行う理論で,近年,社会科学,人間科学などの分野にも広く応用されている.通常,心理,教育などに関するあいまいな情報は,ファジィグラフで表すと解析し易い.筆者は,ファジィグラフの情報構造を分析し,近似的にN値グラフで表現する方法を考案した.本稿では,ファジィグラフの近似N値化法を論ずると共に,その応用として,数学教材の構造分析について述べる.