著者
山下 脩二
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.29-32, 2008 (Released:2008-06-13)
参考文献数
2
著者
山下 脩二
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.98-107, 1990-06-30 (Released:2008-12-25)
参考文献数
11
被引用文献数
5 7

本報告は東京の都市気候について主として地誌的観点から述べたものである。取り扱った気候要素は温度,降水量,湿度と日射量である。ただし, YOSHINO (1981), KAWAMURA (1985), YAMASHITA (1988) に部分的に東京の都市気候や大気汚染について発表されているので,ここでは主としてこれら3論文で扱われていない現象ないし観点から東京の都市気候を説明することを試みた。 気温は先ず観測開始以来からの経年変化を季節別に示した。次に東京のヒートアイランド強度を時刻別・季節別に示した。また,府中と越谷を東京の郊外地点の代表として選び,東京との気温差からヒートアイランド強度の頻度分布の日変化を求め,また,風向・風速による違いを示した。 降水量については,観測開始以来の年降水量の経年変化を求め,さらに降水日数の階級別頻度分布を示した。階級区分は, 0.0mm, 0.1-1.0mm, 1.1-9.9mm. 10.0mm以上である。また,31mm以上の対流性の雨の日数の都心と郊外の比較から,都市の影響が単純ではないことを示した。 湿度については近年急速に減少していることを示した。また,日射量については, 1972年以来の減少示数の季節別経年変化を示し,トータルでみた場合の都市大気質の変化は必ずしも改善されているわけではないことを明らかにした。
著者
山下 脩二
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.1-13, 1988-05-31 (Released:2008-12-25)
参考文献数
37
被引用文献数
8 8

本報告の目的は最近の日本におけるヒートアイランド現象に関する研究を,特にその気候学的側面を中心にして概観し,展望することである。先ず,都市化という観点から都市気候の形成プロセスを概念的に把握し,研究の位置づけを可能にした。つまり,都市化は人口の集中,地表面構成物の改善,生活空間の地上・地下への拡大で表現できる。そして,これらが地表面における幾何的・物理的特性や熱的条件を変化させ,その結果が放射収支・熱収支・水収支の改変となり,ヒートアイランドの誕生となる。以上のプロセスのうち,現在わが国で研究されているものや,とくに関心が寄せられているものについて触れた。気候学的関心としてはまず現象としてのヒートアイランドの把握である。分布的特徴と最大ヒートアイランド強度の出現時刻について述べ,人口との関係についてアメリカや西ヨーロッパとの違いを明らかにした。次にヒートアイランドの形成要因について,都市表面の幾何的凹凸(ラフネスパラメーター,大垣市),天空率(多摩川流域の都市),土壌水分(川越市)の面から考察した。しかし,これらはいずれも人口の場合と同様相関的関係であり,地理学的関心は高いが,ヒートアイランドの物理的構造へと結びつけていく必要もある。さらに都市の放射収支と熱収支について概観し,考察した。放射収支については夜間のヒートアイランドと長波長放射場との関連について主として小林 (1979, 1982) の研究を紹介した。熱収支の体系的研究はわが国ではなされておらず,顕熱や潜熱を個別に扱っているにすぎない。また,都市キャニオン内での熱収支の体系的観測も今後に待つほかない。最後に今後の研究課題・方向について言及した。
著者
山下 脩二
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2014, 2014

グローブとは「Global Learning and Observations to Benefit the Environment](環境のための地球学習観測プログラム)のことである。1994年の地球の日(4月22日)当時のアメリカの副大統領アル・ゴア氏が世界に向けて提唱したプログラムで、児童生徒が学校において自らの環境を観測し、インターネットを使ってグローブ本部に送信し、世界から集まったデータを科学者が解析し、地図化、図表化し、再び学校はそれら資料を受信し、教育に役立てる。大気、水、土壌、土地被覆、生物季節を世界で同じ基準・方法・観測器で観測する。そのためのプロトコルを定め、それをマスターするためのトレーニングワークショップを開いて、指導者も同じレベルにし、科学研究に活用できる精度を持ったデータを取ることが義務付けられている。世界112ヶ国が参加している。実際の活動は1995年から始まり、日本も最初から参加し、活動してきた実践を報告する。 
著者
細田 浩 山下 脩二 山本 隆太
出版者
法政大学地理学会
雑誌
法政地理 (ISSN:09125728)
巻号頁・発行日
no.48, pp.33-46, 2016-03

A.v.フンボルトの著書及びフンボルトに関する評論について検討し, 現代の地理学ないし科学におけるフンボルトの業績と, その意味を検討する. 取り上げた文献は「フンボルト自然の諸相」「新大陸赤道地方紀行」「経験論と地理学の思想」「コスモス」である. 考察した結果,フンボルトは近代科学の黎明期にあって, 天文学・地理学・植物学・岩石学・地球科学・社会学などさまざまな分野の緒を開いていること,そして経験論を経て最終的には宇宙全体の調和のある全体像の法則を探っていたと考えられる. 現代の総合的な生態系としての地球観からフンボルトの価値を再認識すべきであろうと考える.