著者
清水 栄司 佐々木 司 鈴木 伸一 端詰 勝敬 山中 学 貝谷 久宣 久保木 富房
出版者
日本不安障害学会
雑誌
不安障害研究 (ISSN:18835619)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.116-121, 2014-03-31 (Released:2014-05-02)
被引用文献数
1

日本不安障害学会では,日本精神神経学会精神科用語検討委員会(日本精神神経学会,日本うつ病学会,日本精神科診断学会と連携した,精神科病名検討連絡会)からの依頼を受け,不安障害病名検討ワーキング・グループを組織し,DSM-5のドラフトから,不安障害に関連したカテゴリーの翻訳病名(案)を作成いたしました。ご存知のように,厚生労働省は,地域医療の基本方針となる医療計画に盛り込むべき疾病として指定してきた,がん,脳卒中,急性心筋梗塞,糖尿病の四大疾病に,新たに精神疾患を加えて「五大疾病」とする方針を決め,多くの都道府県で2013年度以降の医療計画に反映される予定です。精神疾患に関しては,「統合失調症」や「認知症」のように,common diseasesとして,人口に膾炙するような,馴染みやすい新病名への変更が行われてきております。うつ病も,「大うつ病性障害」という病名ではなく,「うつ病」という言葉で,社会に広く認知されております。そこで,DSM-5への変更を機に,従来の「不安障害」という旧病名を,「不安症」という新名称に変更したいと考えております。従来診断名である,「不安神経症」から,「神経」をとって,「不安症」となって短縮されているので,一般に馴染みやすいと考えます。ただし,日本精神神経学会での移行期間を考え,カッコ書きで,旧病名を併記する病名変更「不安症(不安障害)」とすることを検討しております。そのほかにもDSM-5になって変更追加された病名もあるため,翻訳病名(案)(PDFファイル)を作成しました。翻訳病名(案)については,今後も,日本精神神経学会精神科用語検討委員会の中での話し合いが進められていく予定です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
著者
大塚 邦明 Norboo Tsering 西村 芳子 山中 学 石川 元直 中島 俊 宝蔵 麗子 坂本 龍太 松林 公蔵 奥宮 清人
出版者
京都大学ヒマラヤ研究会・人間文化研究機構 総合地球環境学研究所「高所プロジェクト」
雑誌
ヒマラヤ学誌 : Himalayan Study Monographs (ISSN:09148620)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.36-44, 2010-05-01

Aim: Numerous physiologic studies attempted to explain the effects of ambient hypoxia on humans, and now we know how humans adapted to it through changes in the expression of hypoxia-related genes. However, little is investigated about the gender difference from a view point of glocal (combined global and local) comprehensive assessment. Methods: We studied the effects of high altitude on pulse oximetry (SpO2), blood pressure (BP), heart rate (HR), aortic stiffness of cardio-ankle vascular index (CAVI). Subjects were 1, 858 Ladakhis (777 men and 1081 women). We investigated the gender difference of compensatory mechanisms by comparing the cardiovascular functions among 3 groups of high altitudes, i.e., from 2500 to 3000 m, from 3200 to 3720 m, and from 3800 to 4590m. Results: There observed no significant differences of the cardiovascular function among the three altitudes in men, but in women systolic BP became higher along with the altitudes and incidences of ECG findings, including 1st degree of AV block, ST depression and abnormal Q waves, became more frequent along with altitude. In addition, Ladakhi women showed steeper negative slope of the regression line between SpO2 and age, and larger slope of the regression line between systolic and diastolic BPs and age, compared with Ladakhi men. Conclusions: Our study indicates an existence of gender difference of adaptation to ambient hypoxia especially on cardiovascular functions, which suggests a need for the glocal comprehensive assessment for the better diagnosis and for the more fruitful treatment in community dwellers, especially at higher altitude.
著者
山中 学
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1018-1020, 1966-07-10

この二つの測定は,出血性素因検査のなかで,もっとも基本的なものであるが,耳朶などの皮膚を刺して,湧出する血液が自然に止まるまでの時間である出血時間と,静脈穿刺により得た血液が,試験管内で自然に凝固するまでの凝固時間(正確には全血凝固時間)とは,まつたくべつのものである。通常生体において,出血が止まるためには,(1)傷害された血管壁に血小板がついて,いわゆる血小板血栓をつくる。(2)傷害血管壁が収縮する。(3)血液凝固反応が開始されてフィブリンを析出することが必要であるが,出血時間測定のごとく,毛細血管を傷つけた場合には,傷害部の皮膚組織の性状,血管壁の状態と,血小板の機能,とくに粘着凝集力に左右され,血液凝固因子はほとんど関与しない。血液凝固過程におけるフィブリン網の最初の析出まで,出血時間の正常値である3分以上を必要とすること,凝固時間の著明な延長を示す血友病で,出血時間は正常範囲にあり,逆に出血時間の長い血小板減少性紫斑病で,凝固時間はほとんど正常値を示すことからも,容易に理解されよう。
著者
磯谷 一枝 山中 学 石川 元直 扇澤 史子 望月 友香 稲葉 百合子 山本 直宗 山中 崇 大塚 邦明
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.570-571, 2011 (Released:2012-02-09)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

入院中の高齢者において抑うつは疾患治療を困難にする重要な問題であるが影響を与える因子については明らかではない.65歳以上の入院高齢患者174名を対象に,Geriatric depression scale(以下,GDS)を実施し,性別,年齢,基礎疾患,居住形態,認知機能との関連を検討したところ,患者の居住形態がGDSに最も強く独立して関連し独居群は家族同居群よりもGDSが高く治療意欲の低下を支持する回答が多く,独居高齢者では入院中に心理的援助がより必要である.