著者
浦野 充洋 松嶋 登 金井 壽宏
出版者
日本情報経営学会
雑誌
日本情報経営学会誌 (ISSN:18822614)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.66-80, 2011-07-15

In this seminal special issue, we propose that the scientific knowledge has a public nature. Therefore, our knowledge production is inevitably embedded within the socially constructed realities. We discuss how our knowledge production is related to the management practices, according to our field research of the urgent project in Sharp Co..
著者
松嶋 登 高橋 勅徳
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.43-52, 2009-09-20 (Released:2022-08-20)
参考文献数
58

制度的企業家は,組織(主体)にとって制度とは何か,そして研究者にはいかなる分析が求められるのかという,制度派組織論のハード・コアに立ち戻る問いとして提示された.制度は,実践を通じて物象化され,抽象的ながら社会的事物として自明性を帯びることで,組織が意識的に考慮すべき環境となる.このとき制度に支配的権力を読み解き,抵抗しようとするエージェンシーを獲得した主体が,企業家である.結果,制度化は,制度を媒介にした政治的闘争のプロセスとして捉え直される.そして研究者には,進歩的イメージを有する「企業家」の分析を通じて,既存の制度の政治的闘争に不可避に関与しつつも,批判的に対峙するというリサーチ・プログラムが提示される.
著者
福本 俊樹 松嶋 登 古賀 広志
出版者
日本情報経営学会
雑誌
日本情報経営学会誌 = Journal of information and management (ISSN:18822614)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.59-70, 2014-08

In recent information systems research, design science that puts importance on practical relevance attracts many scholars' attention. Some IS researchers expect design science to overcome the positivist approach that lost practical relevance in exchange for scientific rigor. Does dismissing positivism, however, truly make design science more relevant? Even if IS researchers would broaden their methods such as compensatory multi-method or multilevel analysis, they are still under traditional philosophy of science as usual. This paper shows how rigorous scientific methods of positivism can ensure scientific relevance to intervention through an examination of behavioral science and action science. The latter has established by Chris Argyris as the new philosophy of science aimed at intervention into practice. In particular, three fundamental methods of positivism are examined: description, causal explanation, and hypothesis testing.
著者
松嶋 登 水越 康介
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.4-18, 2008-12-20 (Released:2022-08-20)
参考文献数
45

本稿では,市場原理を前提とした戦略論が抱える理論的課題を克服するため,制度派組織論が議論する戦略概念を再検討し,現実の企業が採る戦略を捉える分析枠組みを構築する.我が国のオンライン証券業界の戦略事例を通じて示されるのは,制度を変更する戦略が制度的な実践を通じて生み出され,企業間の多面的な競争とその競争に独自の価値を見出す顧客が総体となって,市場が創発されるダイナミズムである.
著者
松嶋 登 吉野 直人
出版者
神戸大学大学院経営学研究科
雑誌
神戸大学経営学研究科 Discussion paper
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012-11

本論文の目的は、技術研究がハードコアとして共有する理論前提の再検討から、技術研究におけるレリバントな研究実践のあり方を問い直すことである。技術研究はこれまで、技術と組織の関係構造を解明すべく、一方で組織の安定性を前提とし、他方で組織の変化の原因として技術固有の特性を求めてきた。しかしながらその議論は、技術固有の物質的特性(materialism)と人々の解釈柔軟性(agency)を巡る「論点ずらし(tilt)」に終始してきた。この問題に終止符を打つべく、アクター・ネットワーク理論は技術を社会制度的要因、物質的要因の異種混合物であると捉えるが、それは技術という人工物に対する科学のあり方を見失うものであった。これに対して本稿は、技術を物象化された異種混合の人工物(制度)と捉えつつも、その異種混合の人工物が形作る実践形成への介入こそが、技術研究としてレリバントな研究実践であることを主張する。
著者
松嶋 登 早坂 啓
出版者
日本情報経営学会
雑誌
日本情報経営学会誌 (ISSN:18822614)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.71-89, 2014-08-04 (Released:2017-08-07)
被引用文献数
1

Information management researchers have tried to find their own academic identity, especially in terms of the interdisciplinarity, which is central to management theory. Our discussion proposes four future directions. First, information management research should aim to construct its own academic identity by means of conducting "research with practice", and keeping away from scientism. Second, we should conceptualize technology, organization and information based on that they are epistemologically objective and construct our living worlds variously. Third, we should insist on IT determinism, that is, our academic identity belongs to the morality which IT concept mixed by information and technology has, rather than to materiality per se. Fourth, we should give serious consideration to the fact that researchers could never escape from intervening various practices through analysis.
著者
福本 俊樹 松嶋 登 古賀 広志
出版者
日本情報経営学会
雑誌
日本情報経営学会誌 (ISSN:18822614)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.59-70, 2014-08-04 (Released:2017-08-07)
被引用文献数
2

In recent information systems research, design science that puts importance on practical relevance attracts many scholars' attention. Some IS researchers expect design science to overcome the positivist approach that lost practical relevance in exchange for scientific rigor. Does dismissing positivism, however, truly make design science more relevant? Even if IS researchers would broaden their methods such as compensatory multi-method or multilevel analysis, they are still under traditional philosophy of science as usual. This paper shows how rigorous scientific methods of positivism can ensure scientific relevance to intervention through an examination of behavioral science and action science. The latter has established by Chris Argyris as the new philosophy of science aimed at intervention into practice. In particular, three fundamental methods of positivism are examined: description, causal explanation, and hypothesis testing.
著者
松嶋 登
出版者
日本経営学会
雑誌
經營學論集 第87集 日本の経営学90年の内省と構想【日本経営学会90周年記念特集】 (ISSN:24322237)
巻号頁・発行日
pp.60-69, 2017 (Released:2019-09-26)

「社会の中での組織の機能」を問うには,社会や組織という概念の原点回帰が必要になろう。統一論題報告では,この原点回帰に取り組んできた制度派組織論の論争を振り返り,社会的事物として制度化された組織(制度としての組織)と,社会的環境である制度ロジックスの組織化が意味する理論的含意を再検討した。往々に人々を一意に規定する拘束的存在として捉えられがちな制度は,本来,多様な物質的実践を産出する超越的な言語であり,理念型とも呼ばれてきた。そうした制度は,矛盾を含んだ多元的な社会的価値(制度ロジックス)として存在しており,その中でも有機体として存続を求める価値を有する組織は,矛盾する価値を混合することで二律背反する多様な実践を産出してきた。社会の中での組織の機能は,いずれかの制度ロジックを色濃く反映した道徳的制度の機能として論じられる。例えば,経営戦略論,技術経営論,そして制度派組織論ではアイロニカルに使われた企業家研究もまた,独自の概念(用語)の価値に寄り添うことが理論的なアイデンティとなる。
著者
桑田 耕太郎 松嶋 登 石川 哲也 高田 昌樹 原 拓志 高尾 義明 松尾 隆 井上 福子 高橋 勅徳 西村 孝史 水越 康介 宮尾 学
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究の目的は、所与の科学技術を産業利用する既存のイノベーション研究ではなく、科学技術の変化や産業構造の変化を伴った根源的なイノベーションのプロセスを理解するための分析枠組みと理論を構築し、先端科学技術と産業の国際競争力の向上をダイナミックに結びつける理論と方法を確立することにある。ビッグサイエンスのリサーチサイトとして、理化学研究所の協力の下、大型放射光施設(SACLAやSPring-8)を取り上げる。本研究では、「科学は社会化され、社会は科学化される」という視角を採用し、世界最先端の大型放射光施設を生み出す産業の実践、その施設を利用する科学技術者の実践、その研究成果を利用する産業の実践のダイナミクスを研究し、科学・技術と産業社会の分業構造が根幹から再編成されるプロセスを分析する。研究3年目となった本年は、これまでの研究蓄積を踏まえつつ、大きく4つの論点についてそれぞれ研究を進めた。第一に、科学と産業の相互影響の歴史に取り組み、これまでに引き続き研究蓄積の整理分析を行うとともに、各分野でのヒアリング調査を中心として、放射光科学の歴史を確認した。第二に、ビッグサイエンスを支えるビジネス・エコシステムの社会的形成、および、第三にビッグサイエンスを媒介にした社会的実践の変化を捉えるため、大型放射光施設に関わる企業のイノベーションを確認した。さらに第4として、地球レベルでのイノベーション・システムの探求に取り組むべく、研究会や学会報告を行い、研究枠組みの精緻化を進めた。
著者
加護野 忠男 石井 淳蔵 猶本 良夫 川上 智子 松嶋 登 坂田 隆文 水越 康介 横山 斉理 日高 優一郎
出版者
甲南大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、医療経営のマネジメントに関する研究を行うことを目的とする。具体的には、医療分野の固有性をふまえつつ、研究上の方法論整備を行い、トヨタ生産方式を中心としたマネジメントノウハウの意義についての研究がすすめられた。研究の結果、方法論として、制度論や実践論に基づく研究の可能性が示された。また、具体的な対象については、トヨタ生産方式はもとより、より包括的に次章を捉える為にも、ITの意義や、ガバナンスの必要性などが確認された。
著者
桑田 耕太郎 松嶋 登 高橋 勅徳 山田 仁一郎 水越 康介 山口 みどり 入江 信一郎
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究テーマである「制度的起業」とは、単に制度的環境を与件としてそれに組織が適応するとする議論を越えて、企業が既存の制度に埋め込まれながら新たな制度を創造する側面を持っていることに注目した概念枠組みである。本研究では、こうしたダイナミックな制度的実践の側面に注目しつつ、制度変革のマネジメントについて明らかにした。
著者
桑田 耕太郎 松嶋 登 高橋 勅徳 長瀬 勝彦
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、科学ないし技術的な知識基盤に支えられたベンチャー企業(以下、技術系ベンチャー企業)が、特定の科学および技術コミュニティにおける科学的・技術的知識を、それとは異なったコミュニティ(ビジネス・コミュニティ)へと移転し、ひいては経済活動を通じて社会変革を導くメカニズムを理論的ないし経験的に明らかにすることを目的として取り組んできた。まず、本研究では、技術系ベンチャー企業をめぐる理論的基盤の整備が行われた。ベンチャー企業論は、1970年代から欧米において研究が着手され、経済学、経営学、心理学、社会学、人類学等の領域を横断するカタチで無秩序に拡散・増大してきた。80年代末より独自の体系を持つ研究領域として体系化が進められ、近年は新制度学派社会学の知見を取り入れた理論的・方法論的基盤の整備について議論が交わされるようになった。こうした理論的基盤の整備の下、本研究では、ハイテクのなかでも、とりわけ近年勃興しているネット系のベンチャー企業の行動原理に基づいたビジネスモデルの形成過程について考察を行ってきた。そしてさらに、ハイテクベンチャーをめぐる理論的課題を検討する中で、本研究が新たに注目した論点として、ハイテクベンチャーをめぐる制度的環境の重要性を見出すにいたった。従来まで予見とされてきた制度的環境は、実は、ベンチャー企業にとっての設計対象であることに、その要点がある。なお、本研究で取り上げた事例の一部は、社団法人ニュービジネス協議会の協力を得て、近年にニュービジネス大賞を受賞した企業の中からリサーチサイトとなりうる技術系ベンチャー企業を理論的な観点から選定を行い、現実の経済界とのつながりを重視してきた。また、具体的な調査方法としても、ライフヒストリーの編集や、参与観察、GFA(グループ・フィードバック分析)など、さまざまな方法論・手法を用いて綿密に行われた。