著者
内納 和浩 山口 広貴 安藤 友三 横山 博夫
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
日本化学療法学会雑誌 (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.321-329, 2006-07-10 (Released:2011-08-04)
参考文献数
13

38℃以上の咽頭炎. 扁桃炎, 急性気管支炎を対象としたlevofloxacin (LVFX) の特別調査症例8,856例のうち, 感染症以外の合併症・基礎疾患を有さない7,597例について昨ステロイド性消炎鎮痛薬 (nonsteroidal anti-inflammatory drugs: NSAIDs) 併用時の安全性を検討した。NSAIDsの併用率は64.4% (4,890/7,597) で, 「併用注意」と記載されているフェニル酢酸系・プロピオン酸系NSAIDsと併用率は37.2% (2,828/7,597) であった。NSAIDs併用有無別の中枢神経系副作用発現率は, NSAIDs非併用群で0.04% (1/2,707), フェニル酢酸系・プロピオン酸系NSAIDs併用群で0.07% (2/2,828), その他のNSAIDs併用群で0.10% (2/2,062) であり, NSAIDs非併用群とNSAIDs併用群との間に有意差は認められなかった。中枢神経系副作用の種類は, めまいが2例, ふらつき感不眠, 眠気が各1例報告されたが, 痙攣は認められなかった。LVFXの1日投与量別の中枢神経系副作用発現率は, 200mg分2/日投与群で0% (0/458), 300mg分3/日投与群で0.07% (4/5,716), 400mg分2/日投与群で0.10% (1/1.031), 600mg分3/日投与群で0% (0/65) であり, 4群間に有意差は認められず, NSAIDs併用の有無で層別した結果でも有意差は認められなかった。年齢別の中枢神経系副作用発現率は, 65歳未満で0.06% (4/7,088), 65~74歳で0.28% (1/358), 75歳以上で0% (0/151) であり, 有意差は認められなかった。さらにNSAIDs併用の有無で層別した結果でも有意差は認められなかった。以上の結果より, 基礎疾患・合併症を有さない症例においてLVFXに対するNSAIDsの影響はきわめて小さいことが示唆された。
著者
澤井 照光 佐々野 修 辻 孝 中村 司朗 七島 篤志 内川 徹也 山口 広之 安武 亨 草野 裕幸 田川 泰 中越 享 綾部 公懿 福田 豊
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471081)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.323-326, 1996-05
被引用文献数
4 1

症例は68歳, 男性.1992年4月6日, S状結腸癌のためS状結腸切除術を受け, 以後半年毎に大腸内視鏡検査によってfollow upされていた.1994年5月27日の大腸内視鏡検査で上行結腸に皺集中を伴う軽度隆起した発赤が認められ, 易出血性であった.生検の結果はgroup IIIであったが内視鏡所見よりsm massiveの腺癌と考えられ開腹術が行われた.手術所見はH<SUB>0</SUB>P<SUB>0</SUB>S<SUB>1</SUB>N (-), stage IIで, 第3群リンパ節郭清を含む右半結腸切除術が施行された.切除標本をみると皺集中を伴う5×8mmの平坦な病変であるが, その周囲は軽度隆起しており, 粘膜下へのmassiveな腫瘍細胞の増殖が示唆された.病理組織学的には深達度ssの高分化腺癌で, ly<SUB>1</SUB>, v<SUB>0</SUB>, リンパ節転移は陰性であった.Ki-67/AgNOR二重染色を施行した結果, Ki-67陽性細胞の平均Ag-NOR数は9.98と高く, このことが垂直方向への浸潤と関連しているのではないかと考えられた.