著者
南 雅代 淺原 良浩 山本 鋼志
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

・骨中のストロンチウム(Sr)同位体比が、生育地の地質のSr同位体比を反映することを、現生動物・魚と地質のSr分析から確認した。・鎌倉由比ケ浜遺跡から出土した人骨・歯、獣骨のSr分析を行なった。骨中のSrは続成Srに置換されていたが、歯エナメル質は食物Srを保持しており、人の生育地(地質)の推定に使えることを示した。・骨Srの考古学研究に必要な地質Sr同位体比マップの作成にとりかかった。・微少量の骨試料による高確度^<14>C年代測定のための検討を行った。
著者
吉田 英一 山本 鋼志 長谷川 精 勝田 長貴 城野 信一 丸山 一平 南 雅代 浅原 良浩 山口 靖 西本 昌司 Ichinnorov Niiden Metcalfe Richard
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

海成堆積岩には,球状の炭酸塩コンクリーション (主にCaCO3)が普遍的に産出する. その形状は多くの場合,球状を成し,かつ非常に緻密で風化にも強く,またその内部から保存良好の化石を産する. しかし,なぜ球状をなすのか,なぜ保存良好な化石を内蔵するのかなど,その形成プロセスはほとんど不明であった.それら炭酸塩球状コンクリーションの成因や形成速度を明らかにすることを目的に,国内外の試料を用いて,産状やバリエーションについての多角的な調査・解析を行ってきた.その結果,生物起源の有機物炭素成分と堆積物空隙水中のカルシウムイオンが,急速(サイズに応じて数ヶ月~数年)に反応し,炭酸カルシウムとして沈殿しつつ成長していくことを明らかにした(Yoshida et al.,2015, 2018a).そのプロセスは,コンクリーション縁(反応縁)の幅(L cm)と堆積物中での重炭酸イオンの拡散係数(D cm2/s)及び反応速度(V cm/s)を用いてD = LVと単純化できることから,海成堆積物中の球状コンクリーションに対し,汎用的にその形成速度を見積もることができる(Yoshida et al.,2018a,b).また,風成層中においては,アメリカ・ユタ州のナバホ砂岩層中の球状鉄コンクリーションがよく知られているが,ゴビ砂漠やヨルダンの風成層中からも産出することを初めて確認した.これらの球状鉄コンクリーションは,風成層中の空隙水の蒸発に伴って成長した球状炭酸塩コンクリーションがコアとなり,鉄を含む酸性地下水との中和反応によって形成されることを明らかにした(Yoshida et al.,2018c).さらに,このような酸性水と炭酸塩との反応は,火星表面堆積層中で発見された球状鉄コンクリーションの生成メカニズムと同じである可能性がある(Yoshida et al.,2018c).本論では,これら球状の炭酸塩および鉄コンクリーションの形成メカニズムと,将来的な研究の展開について紹介する.
著者
吉田 英一 大江 俊昭 山本 鋼志
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2016年度日本地球化学会第63回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.40, 2016 (Released:2016-11-09)

海成堆積岩中に産出する球状炭酸塩コンクリーションの成因について報告するとともに、そのプロセスの応用として、地層処分場などの地下環境での長期的シーリング技術への適用性について述べる。
著者
村宮 悠介 吉田 英一 山本 鋼志 南 雅代
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.123, no.11, pp.939-952, 2017-11-15 (Released:2018-02-23)
参考文献数
28
被引用文献数
4 4

球状炭酸塩コンクリーションは,世界各地の様々な地質時代の海成層から普遍的に産するが,その形成過程はいまだ完全には理解されていない.本研究では,愛知県知多半島の先端部に分布する中新統師崎層群下部豊浜累層中にみられる長径約1.5mの巨大ドロマイト質コンクリーションについて,その形成過程を明らかにすることを目的に,堆積学的および地球化学的な種々の観察・分析を行った.その結果,埋没深度数百mに達するまでのごく初期続成過程においてメートルサイズの巨大なコンクリーションが形成することが示された.その形成時間は数十年と見積もられ,これまで考えられていた巨大炭酸塩コンクリーションの形成速度よりもはるかに速いものである.
著者
河原 弘和 吉田 英一 山本 鋼志 勝田 長貴 西本 昌司 梅村 綾子 隈 隆成
雑誌
日本地質学会第128年学術大会
巻号頁・発行日
2021-08-14

【背景】 岩石と地下水の反応で生じるリーゼガング現象は、岩石中に特徴的なバンド模様を展開する。近年、そのバンドが岩石-流体反応の化学的特性や反応のタイムスケールを推測する手がかりになると指摘されている[1]。 豪州北部キンバレー地域東部に産するゼブラロックは、リーゼガングバンドの一例として知られる。ゼブラロックはエディアカラ紀のシルト岩層中にレンズ状に産し、酸化鉄鉱物(赤鉄鉱)からなる数mm〜2 cm幅の赤褐色のバンド模様を示す。ゼブラロックが産する露頭は不連続ながら50 km以上に渡って分布し、広域の地質イベントに伴って生じた可能性がある。これまで、ゼブラロックに関する研究は数例あるが[2][3]、その形成プロセスは未解明である。 本研究では、ゼブラロックの成因を基に鉄バンド形成時の岩石-流体反応の化学的条件を述べる。さらに、ゼブラロック形成に関連した地質イベントや鉄バンドの金属鉱床探査への応用の可能性を提案する。【結果】 薄片観察、XRD分析及びラマン分光分析の結果、ゼブラロックの主要構成鉱物は、極細粒の石英粒子及び粘土鉱物(カオリナイト、明礬石)である。特に粘土鉱物について、ほぼ明礬石からなるゼブラロックが本研究初めて記載され、(1)カオリナイト (Kao) に富むタイプと、(2)明礬石 (Alu) に富むタイプの2種類に分類された。XRF分析による両タイプの全岩組成は明瞭に異なり、特に鉄バンドのFe濃度は、Kaoタイプが~9%、Aluが~30%と大きな差が認められた。 XGT分析による元素マッピングでは、鉄バンド中のFe濃度は一様ではなく、バンドの片側に偏在した非対称の濃度ピークとして分布している。この傾向は両タイプのゼブラロックで共通して認められ、一つのサンプル中におけるピークの偏りは全て同じ方向であった。【考察】 ゼブラロックの粘土鉱物組み合わせの違いは、高硫化系浅熱水鉱床の周囲で、熱水の温度やpHの違いに応じて発達する変質分帯(珪化-明礬石帯及びカオリナイト帯)とよく一致している。これはゼブラロックが酸性熱水変質を被ったことを示している。さらに、Kaoタイプに比べてAluタイプに高濃度に含まれる鉄バンドのFeの存在は、Feの溶解度の温度依存性を反映し、Aluタイプの形成に関与した流体の方がより高温であったことを示唆する。実際に、変質分帯において、明礬石帯はカオリナイト帯より熱水系源に近く、より高温(かつ低pH)の流体が関与している。これらの結果から、ゼブラロックの粘土鉱物組み合わせとFe濃度の違いは熱水系のモデルと調和的であり、酸性熱水変質とバンド形成は同じイベントで生じたと考えられる。 ゼブラロックの元素マップで認められた鉄バンド中のFe濃度ピークは、浸透した流体と原岩との反応による鉄沈殿のリアクションフロントと見なすことができる。これは、Feを含む酸性熱水流体が原岩の堆積岩中に初生的に含まれていた炭酸塩鉱物との中和反応し、それに伴うpH上昇で、流体中のFeが酸化沈澱したことで説明することできる[4]。なお、ゼブラロック中に炭酸塩鉱物はほぼ含まれていないが、同層準の他地域の露頭では炭酸塩鉱物の存在が確認されている。 ゼブラロック形成に関与した熱水活動の候補として、豪州北部に分布するカンブリア紀のカルカリンジ洪水玄武岩の活動が挙げられる。その活動時期は初期−中期カンブリア紀の大量絶滅とほぼ同時期で、地球規模で表層環境に影響を与えたイベントとして注目されている。本研究地域では、ゼブラロックを胚胎する堆積岩層において、それより上位の年代で生じた火成活動はこの一度だけであることも本知見を支持する。【結論】 本研究によって、ゼブラロックの成因について以下の点が明らかとなった:・ゼブラロックは酸性熱水活動に関連して形成した・鉄バンドは、鉄を含む酸性熱水と原岩中の炭酸塩鉱物の中和反応によるpH緩衝によって生じたと考えられる・ゼブラロックの形成に関与した熱水活動は、カンブリア紀のカルカリンジ洪水玄武岩と関連する可能性が高い また、鉄バンド中の一方向のFe濃度ピークの偏りは浸透した流体の流向を示している[1]。従って、流向を逆に辿ることで、熱水金属鉱床が賦存することのある熱水系の中心の方向を推測できる可能性がある。熱水変質分帯と熱水の流向の両方を記録するゼブラロックは、熱水鉱床探査の有効な手がかりになると期待される。【文献】 [1] Yoshida et al., 2020: Chem. Geol. [2] Loughnan & Roberts, 1990: Aust. Jour. of Earth Sci. [3] Retallack, 2020: Aust. Jour. of Earth Sci. [4] Yoshida et al., 2018: Science Advances
著者
高地 吉一 折橋 裕二 小原 北士 藤本 辰弥 春田 泰宏 山本 鋼志
出版者
日本地球化学会
雑誌
地球化学 (ISSN:03864073)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.19-35, 2015-03-25 (Released:2015-03-30)
参考文献数
44
被引用文献数
1

We carried out an optimization of analytical parameters for U–Pb zircon dating by laser ablation inductively coupled plasma mass spectrometry (LA-ICP-MS) using a NIST SRM 610 glass. As a result, we obtained the following optimum analytical parameters: laser energy: 11.7 J/cm2, repetition rate: 10 Hz, pre-ablation time: 8 sec, integration time: 10 sec and crater diameter: 25 μm. The average 206Pb/238U ratio of the NIST SRM 610 glass normalized by a 91500 zircon standard under the conditions mentioned above was 0.2236±0.0044 (1σ, N : 87). The median value of this result matches with that of the literature value within range of the analytical precision. Furthermore, the 206Pb/238U weighted mean ages of the Plešovice, OD-3 and Fish Canyon Tuff zircons, having the proposed 206Pb/238U ages of 335.48±0.95 Ma (95% conf., N : 38, MSWD : 1.1), 33.25±0.38 Ma (95% conf., N : 23, MSWD : 1.5), 28.56±0.49 Ma (95% conf., N : 34, MSWD : 5.1), respectively, were measured, normalized by the NIST SRM 610 glass standard. The results were consistent within 1% error range of the recommended values. These results suggest that the matrix effect can be reduced to less than analytical precision on materials with different physical properties under well-optimized analytical conditions.