著者
雲財 寛 山根 悠平 西内 舞 中村 大輝
出版者
日本体育大学大学院教育学研究科
雑誌
日本体育大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:24338656)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.245-254, 2020-03-30

本稿の目的は,教科教育学における量的研究を分類するとともに,帰無仮説検定の問題点を踏まえて,教科教育学における量的研究を行う際の留意点を導出することである。本稿では,教科教育学における量的研究を1.評価方法を開発する研究,2.子供や教師の実態を明らかにする研究,3.教育実践の効果を明らかにする研究,4.研究成果を統合する研究に分類した。そして,量的研究を行う際の留意点として,有意であるか否かといった二分法による安易な判断を避けること,帰無仮説検定における前提を意識すること,問題のある研究実践になっていないか振り返ることの3点を導出した。
著者
中村 大輝 山根 悠平 西内 舞 雲財 寛
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.82-91, 2019 (Released:2019-07-05)
参考文献数
47

In this study, we estimated the overall effect of technology utilization in mathematics and science education. Integrating effect-size quantitatively, we collected data on the use of technology in mathematics and science classes in elementary, secondary, and higher education curricula in Japan. As a result of integrating the effect quantity of 11 papers extracted from previous research, it became clear that the average effect-size was g=0.40. This result revealed that the effect size was small to moderate on the use of technology in science education, and the effect size cannot be said to be great compared with other educational methods. Moreover, additional analysis revealed heterogeneity between the studies and that the effect quantity varies depending on the intended use.
著者
山根 悠平 雲財 寛 稲田 結美 角屋 重樹
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.139-152, 2020-07-31 (Released:2020-07-31)
参考文献数
25
被引用文献数
1

本研究の目的は,理科における実験結果の捏造や書き替え,書き写しなどの研究倫理・研究不正に関する問題に着目し,これまでどのような不正行為が,どのくらい行なわれたのかという大学生の経験と,不正行為に対してどのように考えているのかという大学生の認識の実態を明らかにすることである。この目的を達成するため,理科における不正行為に関する質問紙を作成し,136名の大学生を対象に調査を実施した。その結果,教科書や黒板,他の人の実験結果を写す行為や実験結果を消したり書き替えたりする行為が,他の不正行為よりも頻繁に行われてきたことが明らかとなった。その一方で,大学生はこれまでの理科授業において,不正行為が悪い行為であると認識していたことが明らかとなった。
著者
池野 範男 山根 悠平
出版者
日本体育大学大学院教育学研究科
雑誌
日本体育大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:24338656)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.255-264, 2020-03-30

本稿の目的は,学術研究を進める研究者・科学者に求められる研究の信頼性について,信頼性を揺らがせる不正と,それを防ぐ方策や一人ひとりの研究者・科学者の研究倫理を明らかにすることである。そのため,研究一般とともに,教育研究における研究の信頼性の問題を取り上げ,なぜ研究の信頼性が揺らいでいるのか,その要因を考察するとともに,研究の不正の事例を解明し,それを回避する研究上の行動を究明する。そして,研究の信頼性を担保するものとして,トライアンギュレーションを紹介し,研究とその遂行において研究方法を多様に使うことで,研究の信頼性を確保しより高めていくのかを研究論文を事例にして解明する。教育研究を進めるとき,各研究者・科学者が遵守すべき研究倫理に関して,被験者保護を中心に研究計画・実行場面と,論文にまとめる場面において明らかにする。これらの考察の結果,結語として,次の2 点を指摘した。① 研究者・科学者は常に,研究の信頼性を各自,各グループとともに,研究者・科学者のコミュニティや社会において保証しなければならない。② その保証は,各研究者・科学者の倫理とともに,研究の計画と実行における多面的対応(チェック体制,トライアンギュレーションなど)にて確保しなければならない。The purpose of this study is, in regard to the reliability of research demanded of researchers and scientists who advance academic research, to clarify the dishonesty that jars reliability, measures to prevent it, and research ethics for individual researchers and scientists. Therefore, together with general research, this study takes up issues regarding reliability in educational research, considers the reasons and causal factors why research reliability is threatened, reveals cases of research dishonesty, and investigates the actions taken in research to avoid their occurrence. In addition, triangulation is introduced as a way to ensure the reliability of research, and research papers are used as examples to clarify whether the reliability of research is secured and enhanced using various methods in research and its execution. When conducting educational research, the research ethics that each researcher / scientist should strictly follow, with an emphasis on the protection of participants, is clarified in the planning and implementation of research. As a result of these considerations, the following two conclusions have been drawn.① Researchers and scientists must always ensure the reliability of their research by themselves and with every group in the community of researchers and scientists and in society.② This must be guaranteed through the ethics of each researcher/scientist and through multifaceted measures (checking system, triangulation, etc.) in the planning and the conduct of research.
著者
雲財 寛 山根 悠平 西内 舞 中村 大輝
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.545-556, 2020-03-30 (Released:2020-04-15)
参考文献数
23

本研究は,理科における批判的思考が知的好奇心に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。公立小学校の児童346名,公立中学校の生徒971名を対象に,五件法の質問紙調査を実施した。調査の結果,下記に示す3点を示唆する結果となった。熟慮的な思考を促すことによって,知的好奇心が高まること。熟慮的な思考を促すことによる知的好奇心への影響の大きさは,校種間で違いはないこと。中学生の場合,健全な懐疑を促すことで,知的好奇心が高まること。