著者
山田 昭彦
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.4_9-4_17, 2010-04-01 (Released:2010-11-01)
参考文献数
25

中嶋章は1930年代に独自にブール代数に相当する理論を構築し,スイッチング理論の研究を行ってリレー回路設計に適用した.1935年にド・モルガンの法則を含むリレー回路構成理論を発表し,1936年には榛澤正男と共著で“+”と“×”の記号を用いてスイッチング回路を論理式で表し,この変換及び簡単化を含むスイッチング理論を発表した.Claude E. Shannon が同様の論文を発表したのは1938年である.中嶋の生誕100年にあたる2008年にフィンランドのTampere University of Technology より中嶋の全英文論文を収録した覆刻本が出版された.
著者
山田 昭彦
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.105-112, 2010-10-01 (Released:2010-12-01)
参考文献数
11

日本の最初の計算機は,1923年(大正12 年)に売り出されたタイガー計算器と長く考えられていた.森鷗外の「小倉日記」の記録により,1902年(明治35年)に矢頭良一が発明し製作した自働算盤が1960年代後半に再発見され,これが日本最古の計算機となった.自働算盤は歯車を用いた手動の機械式計算機で,独特のメカニズムにより加減乗除の計算を行う.数値の入力にそろばんの1の珠と5の珠による方法と同様の方法を採用し,乗除算の際のけた送りが自動的に行われること及び演算終了時に動作が自動的に終了するなど,当時の海外の計算機よりも優れた機能を実現している.
著者
山田 昭彦
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌A(基礎・材料・共通部門誌) (ISSN:03854205)
巻号頁・発行日
vol.121, no.1, pp.32-38, 2001-01-01 (Released:2008-07-15)
参考文献数
51

Research and development of electronic computers started in late 40's in Japan. After the invention of transistors in the US and parametrons in Japan, laboratories and manufacturers started developing computers using transistors or parametrons as logical elements. Therefore only four vacuum tube computers were manufactured in Japan. These are Electronic Computer at Osaka University, FUJIC of Fuji Photo Film Company, TAC of University of Tokyo and ECL RTC. Though the first generation of computers was rather short in Japan, the technical contribution of the development of vacuum tube computers is valuable. This paper reviews the development efforts of the former two vacuum tube computers, Osaka University's and FUJIC.
著者
鵜飼 直哉 宇田 理 喜多 千草 山田 昭彦
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.1174-1180, 2011-08-15

本稿は,世界最初の鉄道向けオンライン座席予約システムMARSの開発やCAD理論の展開などに大きな貢献をされた穂坂衛氏にインタビューした内容をまとめたものである.
著者
喜多 千草 発田 弘 山田 昭彦
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.652-659, 2016-06-15

1960年京都大学ディジタル型万能電子計算機第1号(KDC-I)を設計開発.1971年光ファイバ計算機ネットワークを開発.論理回路理論,2分決定グラフなどを研究し,京都大学で後進の育成に携わった後,関西大学総合情報学部でも教鞭をとられた矢島氏に,主に初期のディジタルコンピュータの開発事情などを通じ,次世代に語り継ぐべきお話を伺った.
著者
旭 寛治 鵜飼 直哉 浦城 恒雄 野口 健一郎 発田 弘 前島 正裕 山田 昭彦
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.58-65, 2015-12-15

今回は,日本初のハッカーと呼ばれ,パラメトロン計算機PC-1のイニシャルオーダーやHappy Hacking Keyboardの開発などで知られる東京大学名誉教授の和田英一氏にお話を伺った.
著者
鵜飼 直哉 喜多 千草 発田 弘 松永 俊雄 山田 昭彦
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.390-397, 2016-03-15

本稿は,1950年代後半から日本のコンピュータの研究開発を牽引し,引き続き大学における情報工学の研究・教育の中核としてさまざまな研究成果を挙げ,教育改革を実現してこられた相磯秀夫氏にインタビューした内容をまとめたものである.
著者
山田 昭彦
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌A(基礎・材料・共通部門誌) (ISSN:03854205)
巻号頁・発行日
vol.124, no.8, pp.720-726, 2004 (Released:2004-11-01)
参考文献数
16

Switching theory was developed as a theory for relay circuits in early days. In September 1935 Akira Nakashima of NEC delivered his invited speech on synthesis theory of relay networks including de Morgan’s theorem at the technical meeting of the Telegraph and Telephone Society in Tokyo. Since 1934 he had published his ideas in a series of papers “Theory and practice of relay circuits." Akira Nakashima and Masao Hanzawa formulated the design method for switching networks by using algebra in 1936. This is the first paper on switching theory that was applied to the analysis of digital circuits. It was in 1938 that the paper on switching theory was published by Claude E. Shannon. Following Nakashima’s research Kan-ichi Ohashi, Mochinori Goto and Yasuo Komamiya of Electrotechnical Laboratory (ETL) extended the theory to apply to sequential circuits.
著者
喜多 千草 前島 正裕 山田 昭彦
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.728-733, 2013-06-15

本稿は,国鉄初の座席予約システム「MARS-1」を設計し,またソフトウェア工学の分野で多くの成果を上げて活躍された大野豊氏にインタビューした内容をまとめたものである.
著者
坂本 憲司 村松 正吾 貴家 仁志 山田 昭彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.108, pp.9-14, 1999-06-11

新たな動画像符号化規格であるMPEG4では,従来のMPEG1,2のマクロブロック(16×16画素)単位の動き補償(MC)に加えて8×8画素単位の動き補償モード,8×8ブロックモードが用意されている.そこで,本報告では,従来型のPEの内部構成を改良することにより,この8×8ブロックモードを含む動き検出器(ME)の新たな線形アレー構成を提案する。本提案は処理要素(PE)と比較器のみを改良し,入力は従来型と全く同じである.PEの内部構成に従来型の構成にマルチプレクサ,アキュムレータを加えることにより,MPEG4で必要とされる8×8ブロックモードでの差分絶対値和(SAD)の選択,アキュムレートを可能にしている.また,8×8ブロックモードのSAD出力タイミングは,16×16ブロックモードと異なるため,8×8ブロックモードのための2種類の比較器を提案する。さらに,提案するPEのVHDLモデルの論理合成結果より,VLSI実現への性能の見積もりを行う.