著者
杉山 幸丸 三谷 雅純 丸橋 珠樹 五百部 裕 ハフマン マイケル A 小清水 弘一 大東 肇 山越 言 小川 秀司 揚妻 直樹 中川 尚史 岩本 俊孝 室山 泰之 大沢 秀行 田中 伊知郎 横田 直人 井上(村山) 美穂 松村 秀一 森 明雄 山極 寿一 岡本 暁子 佐倉 統
出版者
京都大学学術出版会
巻号頁・発行日
2000-09

食う-食われる,エネルギー収支,どうやって子孫を残すか……サルたちはさまざまな生物的・非生物的環境とどのように関わりながら暮らしているのだろうか.本書によって,霊長類社会の研究者はその社会の生物学的背景をより深く理解でき,他の生物の生態研究者は霊長類における生態学的研究の最前線に触れられる.
著者
岡本 暁子
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第21回日本霊長類学会大会
巻号頁・発行日
pp.35, 2005 (Released:2005-06-07)

優位オスが劣位オスと妊娠可能性の高いメスの近接を発見すると、その優位オスはそのペアに対し攻撃を加えることが、さまざまな種で報告されている。このような攻撃は協力的な個体間関係に影響するパニッシュメントと考えることができる。では、優位オスは劣位オスとメスのどちらを攻撃すべきであろうか。交尾を妨害するためだけなら、オスを攻撃してもメスを攻撃してもよいように思われる。本研究では、この状況を優位オス、劣位オス、メスの3者のゲームとして解析した。それぞれのプレイヤーの立場でどのような戦略がどのような条件のときに進化的に安定な戦略(ESS)になりうるのかを解析的に検討した。そしてその条件のときにそれらの戦略が実際に進化しうるのかをコンピュータ・シミュレーションで検討した。その結果、優位オスが劣位オスとメスの交尾の妨害をする場合、オスを攻撃するコストがメスを攻撃するコストより高くても、オス攻撃が進化する可能性があることが明らかになった。またオス攻撃が進化する上での一つの大きな鍵が、メスの従順ではない戦略にあることが示唆された。