著者
鈴木 崇文 岩見 真吾 竹内 康博
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:09172246)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.473-486, 2008
参考文献数
18

2005年9月中国で実施された家禽の鳥インフルエンザウイルスに対するワクチン接種政策を例に数理モデルを考える.解析の結果,大変興味深いことに,家禽へのワクチン接種率を上げることが,総感染個体数を増加させうることを発見した.つまり,感染個体数を減少させるための家禽に対するワクチン政策が,感染個体数の増加を引き起こしている.本論文では,こういった「ワクチン政策のパラドックス」について詳しく報告する.
著者
鈴木 崇文 岩見 真吾 竹内 康博
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:24240982)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.473-486, 2008-09-25 (Released:2017-04-08)
参考文献数
18

2005年9月中国で実施された家禽の鳥インフルエンザウイルスに対するワクチン接種政策を例に数理モデルを考える.解析の結果,大変興味深いことに,家禽へのワクチン接種率を上げることが,総感染個体数を増加させうることを発見した.つまり,感染個体数を減少させるための家禽に対するワクチン政策が,感染個体数の増加を引き起こしている.本論文では,こういった「ワクチン政策のパラドックス」について詳しく報告する.
著者
岩見 真吾 キム カンスウ
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.1119_3, 2020 (Released:2020-12-01)

数理モデルでは,個体の初期状態ならびに様々な個体変数の影響(パラメータ)を考慮して,個体集団の変化を表せる.数理モデルのシミュレーションでは,これら変数が時間経過に伴って変化する様を可視化できる.なお,変数の変化が直前の状態によって完全に決定されるような場合を「決定論的シミュレーション」と呼び,確率的に決定される場合を「確率論的シミュレーション」と呼ぶ.決定論的シミュレーションでは,初期値とパラメータが決まれば,変数の変化は常に同じとなる.
著者
岩見 真吾 佐藤 佳 小柳 義夫
出版者
一般社団法人日本応用数理学会
雑誌
応用数理 (ISSN:09172270)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.85-94, 2012-06-26

Recently, in order to investigate the fundamental phenomena in immunology and virology such as maintenance of immune memory, T-cell homeostasis, the relationship between aging and immunosenescence, the regulation of the adaptive immune response during viral infection, the pathogenesis of CD4^+ depletion in HIV infection, and the underlying mechanisms of leukemia, we successfully quantied lymphocyte kinetics in humanized mice through BrdUlabeling experiment. It is worth noting that our findings are the first to assess lymphocyte dynamics utilizing this technique. At first, we will briefly give an outline of the "Quantification system of lymphocyte kinetics in humanized mice" and then we will discuss about properties of the lymphocyte kinetics and utilities of our established system.
著者
岩見 真吾
出版者
静岡大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

私は、これまで応用数学者という立場で、医学研究者と連携して、日本ではほとんど行われてこなかった「感染症および難治疾患の数理研究」という数学的に高い意義を持ち、かつ社会貢献を重視した研究に従事してきました。例えば、感染実験と数理モデルを用いて、AIDS発症機構を解明し、ワクチン開発戦略の提案に関する研究を行っている。本年度は、京都大学ウイルス研究所の三浦智行准教授との共同研究を積極的に行った。特に、アカゲザルへのHIVの感染実験結果をもとに、AIDS発症機構や感染防御機構の全貌を明らかにするHIVの病原性評価理論を作った。この理論は、HIVの増殖率と感染力の組み合わせによる、HIV抑制とAIDS発症を予想するものである。これらの理論を足掛りに、HIV増殖を効率よく抑制するワクチン開発戦略を明らかにすることができると考えている。さらに、新型インフルエンザの流行予測と政策評価に関する研究も行った。数学解析と数値計算を駆使し、防御政策に伴うリスクを見つけ出してきた。リスクを知ることで、安全かつ効率よく流行を抑え込む政策を提案できるからである。実際に、オランダで流行した鳥インフルエンザの疫学データをもとに、家禽に対するワクチン政策の有効性を評価すると、ワクチン接種率の増加に伴い感染鳥数が増加する可能性があることがわかった。これは、ワクチン接種が流行を助長する恐れがあることを示している。本研究は、静岡・中日新聞に掲載され、世間から注目を集めた。