著者
門間 陽樹 川上 諒子 山田 綾 澤田 亨
出版者
日本運動疫学会
雑誌
運動疫学研究 (ISSN:13475827)
巻号頁・発行日
pp.2101, (Released:2021-01-29)

身体活動が健康の維持向上に寄与することは広く受け入れられており,国内外のガイドラインで身体活動の促進が推奨されている。一方,近年では,海外のガイドラインにおいて有酸素性の身体活動だけではなく筋力トレーニングの実施についても言及されるようになってきており,週2回以上実施することが推奨されている。このように,筋力トレーニングに関する研究は,スポーツ科学やトレーニング分野だけではなく公衆衛生分野にも広がり,健康アウトカムに対する筋力トレーニングの影響をテーマとした研究を中心に筋力トレーニングに関する疫学研究が報告されるようになってきている。そこで本レビューでは,新たな運動疫学研究の分野である筋力トレーニングに関する疫学研究について概説する。最初に,筋力トレーニングに関する用語の定義と整理を行う。次に,筋力トレーニングに関する歴史を紹介する。その後,死亡や疾病の罹患をアウトカムとした筋力トレーニングの研究を中心に解説し,最後に,筋力トレーニングの実施割合および関連要因について述べる。本レビューで紹介する研究の多くは海外からの報告である。日本で実施されている筋力トレーニングに関する疫学研究は,主に実施者の割合に関するものであり,特に,健康リスクとの関連に関する疫学研究は非常に限られている。今後,日本人を対象とした研究が数多く報告されることが期待される。
著者
門間 陽樹 川上 諒子 山田 綾 澤田 亨
出版者
日本運動疫学会
雑誌
運動疫学研究 (ISSN:13475827)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.129-142, 2021-09-30 (Released:2022-07-12)
参考文献数
88

身体活動が健康の維持向上に寄与することは広く受け入れられており,国内外のガイドラインで身体活動の促進が推奨されている。一方,近年では,海外のガイドラインにおいて有酸素性の身体活動だけではなく筋力トレーニングの実施についても言及されるようになってきており,週2回以上実施することが推奨されている。このように,筋力トレーニングに関する研究は,スポーツ科学やトレーニング分野だけではなく公衆衛生分野にも広がり,健康アウトカムに対する筋力トレーニングの影響をテーマとした研究を中心に筋力トレーニングに関する疫学研究が報告されるようになってきている。そこで本レビューでは,新たな運動疫学研究の分野である筋力トレーニングに関する疫学研究について概説する。最初に,筋力トレーニングに関する用語の定義と整理を行う。次に,筋力トレーニングに関する歴史を紹介する。その後,死亡や疾病の罹患をアウトカムとした筋力トレーニングの研究を中心に解説し,最後に,筋力トレーニングの実施割合および関連要因について述べる。本レビューで紹介する研究の多くは海外からの報告である。日本で実施されている筋力トレーニングに関する疫学研究は,主に実施者の割合に関するものであり,特に,健康リスクとの関連に関する疫学研究は非常に限られている。今後,日本人を対象とした研究が数多く報告されることが期待される。
著者
川上 諒子 澤田 亨 岡 浩一朗 坂本 静男 樋口 満
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第68回(2017) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.310_3, 2017 (Released:2018-02-15)

本研究は、野球場におけるプロ野球観戦が特定の応援チームを持たない高齢者の感情や主観的幸福感にどのような影響を及ぼすかについて検討を行った。参加者は65歳以上の男女16人であった。プロ野球観戦の日を3日間設け、野球場でプロ野球を1日観戦するよう依頼した。質問紙を用いて、平常時および観戦直前、観戦直後の感情と主観的幸福感を調査した。感情の調査には一般感情尺度を、主観的幸福感の調査には日本版Subjective Happiness Scaleを用いた。解析の結果、観戦直前では平常時よりも安静状態を示す「ゆったりした」(P<0.01)や「平穏な」(P=0.04)という感情が有意に高まった。一方、観戦直後には主観的幸福感が平常時よりも有意に高値を示した(P=0.02)。また、試合結果の違いによる感情や主観的幸福感への影響についても検討したが、試合の勝敗と感情や主観的幸福感の変化との間に関連は示されなかった。以上の結果より、高齢者が野球場まで出掛けて行きプロ野球を観戦することによって、観戦直前には安静状態が高まり、観戦直後には主観的幸福感が高まる可能性が示唆された。
著者
松下 宗洋 宮地 元彦 川上 諒子 岡本 隆史 塚本 浩二 中田 由夫 荒尾 孝 澤田 亨
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.375-381, 2013-10-01 (Released:2013-10-19)
参考文献数
29

Several studies have shown that low cardiorespiratory fitness (CRF) or heavy alcohol consumption is risks of total or certain types of cancer death. However, the combined influence of CRF and drinking habits on total cancer mortality is not clear. The purpose of this study was to investigate the joint effect of CRF and drinking habits on total cancer mortality among Japanese men. We evaluated the CRF and drinking habits on risk of total cancer mortality in 8,760 Japanese men (age: 19-59 yr) who were given a submaximal exercise test, a medical examination test, and questionnaires on their health habits. CRF was measured using a cycle ergometer test, and the men were classified into two categories by CRF levels based on the reference value of CRF (R-CRF) in “Physical Activity Reference for Health Promotion 2013” (Under R-CRF and Over R-CRF). Also, the men were assigned to Non Drinking, Moderate Drinking, and Heavy Drinking categories. There were 178 cancer deaths during the 20-yr follow-up period. Relative risk and 95% confidence intervals for total cancer mortality were obtained using the Cox proportional hazards model while adjusting for age, body mass index, systolic blood pressure, and smoking habits. Using the Under R-CRF & Heavy Drinking group as reference, the relative risk and 95% confidence intervals were 0.37 (0.16–0.85) for the Over R-CRF & Non Drinking group. This result suggests that Japanese male with a high CRF and a low drinking habit have a lower risk of total cancer mortality.