著者
樋口 満 坂本 静男 田口 素子 東田 一彦
出版者
早稲田大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

運動前の糖質摂取によって引き起こされるインスリンショック(運動誘発性低血糖)と呼ばれる現象について、主に朝食摂取の有無による違いに着目し研究を行った。本研究の結果、絶食条件だけではなく、実際のスポーツ現場に近い状態である朝食を摂取した条件においても、運動誘発性低血糖を発症する場合があることが明らかになった。さらに、低血糖の発症のしやすさには個人差が認められ、絶食条件においては、高いインスリン分泌能を有している者が、また朝食摂取条件においては、高い有酸素性能力を有している者が、運動誘発性低血糖を生じやすいことが明らかとなった。
著者
河野 寛 坂本 静男 丸藤 祐子 小西 真幸
出版者
国士舘大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は第一に,顔面を冷水に漬ける潜水反射に伴う徐脈について,概日リズムが存在するかどうかを検討した。その結果,朝に心拍数が低値を示したことから,潜水反射に伴う徐脈は概日リズムの影響を受けると考えられる。このことは,潜水反射試験を実施する際には,時間帯を考慮して実施すべきであることを示唆している。次に,潜水反射に伴う徐脈に加齢が影響するかどうかを検討した。その結果,若年者と比較して高齢者で潜水反射徐脈が鈍いことが明らかとなった。このことから,潜水反射試験は加齢の影響を受けることがわかる。したがって,潜水反射試験は循環器疾患のリスク指標になるかもしれない。
著者
長坂 聡子 橋本 秀紀 坂本 静男 田口 素子
出版者
独立行政法人 日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター
雑誌
Sports Science in Elite Athlete Support (ISSN:24322091)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.45-54, 2016 (Released:2019-02-15)
参考文献数
20

The purpose of this study was to investigate the effects of postexercise carbonated high-carbohydrate beverage (Carbonated Trial: CT) compared with non-carbonated high-carbohydrate beverage (Non-Carbonated Trial: NCT) on gastrointestinal (GI) problems and physiological indexes during 4 hours of recovery period in athletes. Eight Japanese collegiate athletes (age : 21±1yr ; height : 170.8±6.0cm ; body weight(BW) : 68.70±8.29kg ; percent body fat : 11.7±2.7%) participated in the cross-over designed study. Immediately after the exhaustive exercise, subjects consumed 3.5ml/kg BW of 1) water, 2) high-carbohydrate beverage : NCT (1.8gCHO/kg BW/h), and 3) carbonated high-carbohydrate beverage : CT (1.8gCHO/kg BW/h) every 30 min during 4 hours of recovery period. No difference was observed in blood concentration of glucose, insulin, free fatty acid, and subjective GI problems between CT and NCT. However the rate of vomiting was significantly higher in the NCT compared with CT (p < 0.05). These results suggest that ingesting carbonated beverage during recovery period may help digestion and absorption in the stomach of athletes.
著者
樋口 満 河野 寛 宮下 政司 沼尾 成晴 坂本 静男
出版者
早稲田大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

本研究は、縄跳びのような重心の上下動を伴う運動は、一過性の運動による食欲の低下を効率的に引き起こすだけでなく、重心の上下動を伴わない運動と比較して、運動由来の食欲低下にグレリンやペプチドYY などの食欲関連ホルモンの貢献度がそれほど大きくないことを明らかにした。加えて、一過性の運動後の食欲は、男性と比較して女性で速やかに亢進(回復)することがわかった。これらの結果は、性別を考慮した肥満の予防・改善のための運動処方作成におけるエビデンスの一つになるだろう。
著者
川上 諒子 澤田 亨 岡 浩一朗 坂本 静男 樋口 満
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第68回(2017) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.310_3, 2017 (Released:2018-02-15)

本研究は、野球場におけるプロ野球観戦が特定の応援チームを持たない高齢者の感情や主観的幸福感にどのような影響を及ぼすかについて検討を行った。参加者は65歳以上の男女16人であった。プロ野球観戦の日を3日間設け、野球場でプロ野球を1日観戦するよう依頼した。質問紙を用いて、平常時および観戦直前、観戦直後の感情と主観的幸福感を調査した。感情の調査には一般感情尺度を、主観的幸福感の調査には日本版Subjective Happiness Scaleを用いた。解析の結果、観戦直前では平常時よりも安静状態を示す「ゆったりした」(P<0.01)や「平穏な」(P=0.04)という感情が有意に高まった。一方、観戦直後には主観的幸福感が平常時よりも有意に高値を示した(P=0.02)。また、試合結果の違いによる感情や主観的幸福感への影響についても検討したが、試合の勝敗と感情や主観的幸福感の変化との間に関連は示されなかった。以上の結果より、高齢者が野球場まで出掛けて行きプロ野球を観戦することによって、観戦直前には安静状態が高まり、観戦直後には主観的幸福感が高まる可能性が示唆された。