著者
城生 弘美 志自岐 康子 金 壽子 武 未希子 長塚 靖子 川村 佐和子
出版者
日本保健科学学会
雑誌
東京保健科学学会誌 (ISSN:13443844)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.167-170, 1999-03-20 (Released:2017-10-27)
被引用文献数
1

本研究は日常的手洗いに関する継続研究である。平成9年に日常的手洗いのうち5つの方法で手洗い前後の細菌数の変化を観察したが, 擦式アルコール消毒剤を用いた場合にのみ, 手洗い後の細菌数が減少していた。その他の方法で手洗い後に細菌数が増えた原因は, 手が十分乾燥していない状態で培地にスタンプをしたためと考えられた。そこで今回は, 擦式アルコール剤を除く他の4つの手洗い方法(流水5秒, 流水30秒, 固形石鹸, ポンプ式石鹸)で, 寒天培地接触法を用いて, 手洗い後の手の乾燥時間と細菌の除去効果との関連をみた。その結果, 細菌数は「手拭き直後」では流水5秒においてのみ手洗い前に比べ減少しており, 流水30秒・固形石鹸.ポンプ式石鹸においては, 増加する傾向にあった。しかし, 「手拭き後30秒」および「手拭き後60秒」では, 4つの方法いずれにおいても細菌数は減少しており, 除菌率にも有意な差が認められた。このことから, 手洗い後対象物に付着する細菌数は「手拭き直後」よりも「手拭き後30秒」以上経過し, 手を乾燥させた状態のほうが少ないことが明らかになった。
著者
習田 明裕 志自岐 康子 川村 佐和子 恵美須 文枝 杉本 正子 尾崎 章子 勝野 とわ子 金 壽子 城生 弘美 宮崎 和加子
出版者
日本保健科学学会
雑誌
東京保健科学学会誌 (ISSN:13443844)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.144-151, 2002-12-25 (Released:2017-10-27)
被引用文献数
2

訪問看護における倫理的課題を明らかにするために,訪問看護ステーションに所属する訪問看護師300人を対象に,倫理的課題の経験や悩みの有無に関する自己記入式質問紙調査を行った。114人から回答が得られ,以下のことが明らかになった。1.倫理的課題に関する質問19項目のうち,50%以上の者が経験していた課題が10項目あった。2.倫理的課題を経験した場合,その課題に関する悩みの有無については,19項目中18項目について70%以上の者が悩んでいた。3.5つにカテゴリー化した倫理的課題の分類の中で,<利用者の意向と看護職者の意向が食い違うため看護職者が悩む状況>,<利用者の意向と家族の意向が食い違うため看護職者が悩む状況>において,倫理的課題を経験している者が多かった。しかし悩みの有無に関してはカテゴリー間で大きな差はみられず,いずれのカテゴリーにおいても倫理的課題に対し多くの者が悩んでいた。以上の結果から,訪問看護活動において看護職者はしばしば倫理的課題に遭遇しており,それに対し多くの看護者が悩み(ジレンマ)を抱いていることが明らかになった。訪問看護職者個々人が倫理的な判断能力を向上させる一方,倫理的課題への組織的な取り組みなどの対応策が必要であることが示唆された。
著者
今福 恵子 川村 佐和子 深江 久代
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

静岡県内の15名のパーキンソン病療養者や7名の保健師を対象に、想定される避難所における生活障がいや必要とされる支援について半構成的面接を実施した。その内容を元に、小地域で活用できる災害支援マニュアルを作成した。災害時に予想されること、災害に備え準備すべきことなど自助実行が必要とすることが示唆された。今後もさらに改良をしていくことが必要である。
著者
城生 弘美 志自岐 康子 金 壽子 武 未希子 長塚 靖子 川村 佐和子
出版者
日本保健科学学会
雑誌
東京保健科学学会誌 (ISSN:13443844)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.167-170, 1999-03-20

本研究は日常的手洗いに関する継続研究である。平成9年に日常的手洗いのうち5つの方法で手洗い前後の細菌数の変化を観察したが, 擦式アルコール消毒剤を用いた場合にのみ, 手洗い後の細菌数が減少していた。その他の方法で手洗い後に細菌数が増えた原因は, 手が十分乾燥していない状態で培地にスタンプをしたためと考えられた。そこで今回は, 擦式アルコール剤を除く他の4つの手洗い方法(流水5秒, 流水30秒, 固形石鹸, ポンプ式石鹸)で, 寒天培地接触法を用いて, 手洗い後の手の乾燥時間と細菌の除去効果との関連をみた。その結果, 細菌数は「手拭き直後」では流水5秒においてのみ手洗い前に比べ減少しており, 流水30秒・固形石鹸.ポンプ式石鹸においては, 増加する傾向にあった。しかし, 「手拭き後30秒」および「手拭き後60秒」では, 4つの方法いずれにおいても細菌数は減少しており, 除菌率にも有意な差が認められた。このことから, 手洗い後対象物に付着する細菌数は「手拭き直後」よりも「手拭き後30秒」以上経過し, 手を乾燥させた状態のほうが少ないことが明らかになった。
著者
笠原 康代 島崎 敢 石田 敏郎 平山 裕記 酒井 美絵子 川村 佐和子
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.62-70, 2013-04-15 (Released:2013-06-19)
参考文献数
31

本研究の目的は,内服与薬を遂行する看護師の確認行動と誤薬について検討することであった.63名の看護師に対して,ベッド16床を配置した看護実習室で実験を行い,ビデオカメラで行動を記録した.看護師は処方箋どおりの薬剤を模擬患者6名のベッドに配るよう教示された. 結果,32名(50.8%)が誤薬し,与薬量間違いがもっとも多かった.確認方法は,声出し確認と指差し確認の2つのタイプがある.これらを両方実施した群といずれかを実施した群,両方実施しなかった群の3群間で誤薬件数を比較するために分散分析を実施した.準備段階で主効果がみられ,声出し確認と指差し確認のいずれかまたは両方実施した群は,両方実施しなかった群よりも誤薬件数が有意に少なかった.また,与薬段階においても主効果がみられ,両方実施した群は,いずれかもしくは両方実施しなかった群よりも誤薬件数が有意に少なかった.
著者
岡 美智代 恩幣 宏美 川村 佐和子 村上 みち子 山名 栄子 上星 浩子 高橋 さつき 越井 英美子
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

患者、看護職、医療費削減という3方向に効果のある患者教育プログラムを学ぶための、看護職向けの学習システムの開発と評価を目的とした研究を行った。その結果、6ステップからなるEASE(イーズ)プログラムの学習システムを開発した。またその学習システムの効果として、患者のセルフマネジメント行動の向上、看護職の適切な発話内容が明らかになった。医療費の試算では、676億6144万円の削減効果が見いだされた。
著者
牛込 三和子 笠井 秀子 松下 祥子 輪湖 史子 加藤 修一 川村 佐和子 長谷川 美津子 徳山 祥子 江澤 和江
出版者
(財)東京都医学研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

〔目的・方法〕近年、医療保険制度の改訂など在宅療養支援体制の拡充により、在宅看護対象者に人工呼吸器装着や酸素療法などを必要とする高度の呼吸障害を有する人々が増加している。慢性・進行性の呼吸障害を有する神経・筋疾患在宅療養者における呼吸障害の進行を非侵襲的測定方法によって把握し、換気療法など適切な医療処置の導入やその安全な実胞における看護活動での使用の有用性について検討した。対象は進行性筋ジストロフィ13例(デュシャンヌ型10例、福山型3例)、筋萎縮性側索硬化症10例で、病状進行にそって、長期的に経過を追って資料を収集、神経難病専門看護婦、神経専門医と討論し考察した。〔結果・考察〕1.呼吸障害の早期把握には、進行性筋ジストロフィにおいては、呼吸障害出現前からバイタルサイン、自覚症状観察に加えて換気量計(レスピロメトリ)を用いた1回換気量(TV)および努力換気量(MAX VC)測定、呼吸障害兆候出現が予測される時期からはPCF(peak cough flow)による咳嗽力評価、経皮血中酸素飽和度(パルスオキシメトリ)の夜間睡眠中終夜測定、経皮血中二酸化炭素分圧測定を定期的に行うことが有用である。筋萎縮性側索硬化症においては、病初期から自覚症状の観察と換気量計によるTV、MAX VC、呼吸障害初期徴候出現時期から夜間睡眠中終夜の経皮血中酸素飽和度(パルスオキシメトリ)および経皮血中二酸化炭素分圧の測定を定則的に行うことが有用である。在宅人工呼吸療法導入期看護プロトコールの基礎資料として提示した。2.人工換気補助療法実施者においては、さらなる呼吸障害の進行に伴う換気補助方法変更の判断指標として、経皮動脈血酸素飽和度および経皮血中二酸化炭素分圧測定を定期的に行うことが有用である。3.在宅看護では、測定結果を解釈し、診療計画や看護計画に反映するうえで、ケアチーム各員の相互共働と時間的余裕を見込んだ活動が不可欠である。また、療養者のセルフマネジメント能力を高めることへの支援が重要であり、今後の課題として取り組んでいる。