- 著者
-
村山 篤子
市川 陽子
川端 晶子
- 出版者
- 一般社団法人日本調理科学会
- 雑誌
- 日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
- 巻号頁・発行日
- vol.28, no.1, pp.2-7, 1995-02-20
ナタデココについて機器測定(テクスチュア, 破断, クリープ特性: レオナーによる), 官能評価(Semantic Differential 法), 組織構造の観察(走査電子顕微鏡, Cryo-SEM による)を行い, カラギーナン・ローカストビンガム混合(C-L)ゲル, コンニャクとのテクスチュアの相違について比較検討した。1. ナタデココは著しく硬く, 凝集性の小さいゲルであった。ナタデココのみかけの応力-歪曲線パターンでは, C-L ゲルやコンニャクとの大きな相違がみられた。すなわちC-Lゲル, コンニャクは大変形による部分圧縮で亀裂が生じゲルは破壊したが, ナタデココでは押圧によりゲルの内部破断が認められた。クリープ測定では遅延時間が長く, また変形が大きく除重後の回復がもっとも悪いゲルとなっていた。2. 官能評価では`歯切れ'を除く全ての項目でコンニャクと類似の結果となった。ナタデココは筋ばっていて硬く, 歯ごたえがあるが崩れにくく, 歯切れの悪い噛みきりにくいゲルであるとの評価を得た。3. SEM観察によると, ナタデココは高密度の繊維で構成されており, 繊維が密集して網目状の組織を形成していた。細い繊維は16~17nm, 太い繊維は1mm以上あり, 歯切れが悪く噛みきりにくいテクスチュアはこの組織構造によると考えられる。