著者
工藤 美奈子 小泉 昌子 山本 遼 倉田 幸治 千代田 路子 有泉 雅弘 峯木 眞知子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.72, no.10, pp.664-672, 2021 (Released:2021-10-30)
参考文献数
23

キャベツは, カット野菜の需要に伴い、食品企業において食品ロス対策の重要な野菜であり、家庭でも食品ロスとして問題になる. 食品ロス対策としてキャベツの有益な利用方法を見出すことを目的として, キャベツの芯部の活用方法について検討した. キャベツの芯部の特性を把握するために, キャベツを葉部, 芯部, 芯上部, 維管束部, 中心部, 芯周辺葉部に分けて重量を測定した. また, これらの部位の一般成分, 遊離アミノ酸, 糖分, においの成分を測定した。芯の維管束部には好まれないにおいがあったため, 10種の調味料および香辛料を添加した液を用いて, キャベツの芯のにおい抑制効果を検討した。その結果より, 味の好みについて高い値を示した3種の調味料および香辛料を添加した液を用いてギョウザ試料を調製した。ギョウザのたね試料のテクスチャーと水分含有率を測定後, ギョウザ試料の官能評価を実施した. 重量測定より, 芯部の重量は採取時期による差がみられないことが明らかとなった. 成分分析より, 芯部は葉部と比較して, 糖含量全体で1.5倍, スクロースを9.3倍含有し, 糖含量が多いため甘いことが示唆された. ギョウザたねに活用するには, 白ワインやローリエ, 味噌の使用が味の好みの向上に効果的であった. 本研究より, キャベツの芯部は特性を考慮すると有益に活用できる部位であり, ギョウザへの活用を示唆し, 食品ロス削減に寄与できる未利用資源であることが判明した.
著者
工藤 美奈子 小泉 昌子 山本 遼 倉田 幸治 千代田 路子 有泉 雅弘 峯木 眞知子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.72, no.10, pp.664-672, 2021

<p> キャベツは, カット野菜の需要に伴い、食品企業において食品ロス対策の重要な野菜であり、家庭でも食品ロスとして問題になる. 食品ロス対策としてキャベツの有益な利用方法を見出すことを目的として, キャベツの芯部の活用方法について検討した.</p><p> キャベツの芯部の特性を把握するために, キャベツを葉部, 芯部, 芯上部, 維管束部, 中心部, 芯周辺葉部に分けて重量を測定した. また, これらの部位の一般成分, 遊離アミノ酸, 糖分, においの成分を測定した。芯の維管束部には好まれないにおいがあったため, 10種の調味料および香辛料を添加した液を用いて, キャベツの芯のにおい抑制効果を検討した。その結果より, 味の好みについて高い値を示した3種の調味料および香辛料を添加した液を用いてギョウザ試料を調製した。ギョウザのたね試料のテクスチャーと水分含有率を測定後, ギョウザ試料の官能評価を実施した.</p><p> 重量測定より, 芯部の重量は採取時期による差がみられないことが明らかとなった. 成分分析より, 芯部は葉部と比較して, 糖含量全体で1.5倍, スクロースを9.3倍含有し, 糖含量が多いため甘いことが示唆された. ギョウザたねに活用するには, 白ワインやローリエ, 味噌の使用が味の好みの向上に効果的であった.</p><p> 本研究より, キャベツの芯部は特性を考慮すると有益に活用できる部位であり, ギョウザへの活用を示唆し, 食品ロス削減に寄与できる未利用資源であることが判明した.</p>
著者
工藤 美奈子 佐々木 麻有 嶋崎 日奈子 後藤 美奈子 桜井 毬衣 一場 理那 小泉 昌子 峯木 眞知子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.34, 2018

<b>目的</b> 消費者の食の簡便化ニーズの上昇や野菜価格の高騰を受け、カット野菜の需要が増加している。カット野菜が多く消費されると、芯や皮の未利用部分の量も増加する。カット野菜の原料としてはキャベツが最も多く用いられており、その歩留まりは約70%といわれている。そこで本研究では未利用部分であるキャベツの芯に焦点を当て、その特性を把握して活用方法を検討した。<br><b>方法</b> キャベツの芯を3部位(芯中心部、維管束、芯周辺葉)に分け、部位別重量割合、成分分析、官能評価を行った。芯の利用には独特のにおいが問題になる為、芯を部位別にして各部位のにおいをにおい識別装置(㈱島津製作所、FF-2A)で測った。これらの結果、芯を利用した「やわらかシャキシャキの鶏つくね」を調製し、未利用資源であるキャベツの芯が有効利用できるかを検討した。<br><b>結果</b> キャベツ全体に対する芯の重量割合は約10%で、芯の部位別重量割合は芯中心部16%、維管束16%、芯周辺葉68%であった。官能評価の結果、維管束部のにおいが有意に強かった。このにおいは芳香族系のにおいであると考えられた。調製した鶏つくねは、キャベツの芯を肉の重量の50%まで刻むかすり卸した状態で添加することができた。これにより、芯の約70%を活用することに成功した。食品ロスが削減でき、未利用部分の価値を高めることで食料資源が可能となった。そして、持続可能な社会環境の継続への一助となると考える。
著者
工藤 美奈子 小泉 昌子 峯木 眞知子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.70, no.12, pp.823-832, 2019

<p> 日本製の安全・安心な鶏卵皮蛋が製造, 流通されるために, 鶏卵皮蛋の貯蔵過程における品質の変化を明らかにすることを目的とした. またそれらの変化について, 台湾産皮蛋と比較した.</p><p> 白色レグホーン種鶏卵を加工した鶏卵皮蛋を入手した. 入手後1, 7, 14, 21, 28, 58, 118, 180, 360日間貯蔵した鶏卵皮蛋の成分, 外観の観察, 重量, pH, 色度, 塩分, 卵白の水分含有率, 卵白の破断特性, 卵黄のテクスチャー特性およびにおい識別装置によるにおいの測定を行った.</p><p> 鶏卵皮蛋は28日間で卵黄が軟らかい溏心タイプの様になった. 鶏卵皮蛋の構成比について, 貯蔵日数とともに卵白の割合が低下し, 卵黄の割合が上昇していき, 360日間で卵白と卵黄の構成比が逆転した. 鶏卵皮蛋の卵白は, 貯蔵日数とともにかたくなる傾向が見られ, 台湾産皮蛋と比較すると, 卵白が軟らかく, 卵黄はかたさと付着性が低かった. 卵白のにおいの類似度は, 硫黄系, アルデヒド系ガスのにおいが高く, 皮蛋独特のアンモニア臭が低かった. これより鶏卵皮蛋は, 皮蛋独特のアンモニア臭が少なく食べやすいと考える.</p><p> 製造後貯蔵中の品質の変化より, 鶏卵皮蛋が一定の品質の製品になったのは, 貯蔵28日間以降半年程度であった.</p>
著者
工藤 美奈子 峯木 眞知子 和田 涼子 杉山 みち子 髙田 和子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.163-171, 2018-12-01 (Released:2019-01-21)
参考文献数
21

【目的】高齢者施設で給与エネルギー目標量を設定する場合に,どのようにエネルギー必要量(以下ER)を推定しているか,推定方法の実態と推定方法や推定値の活用における課題を明らかにすることを目的とした。【方法】東京都内の介護老人福祉施設114施設,及び東京都内と神奈川県内の介護老人保健施設115施設の栄養管理者を対象に,ERの推定方法と課題について質問紙調査を行った。【結果】回収率は58.1%であった。ERの推定方法は「基礎代謝量×活動係数×ストレス係数」が64.7%と最多で,使用している基礎代謝量の推定式はHarris-Benedict式が66.1%であった。ERの推定値が対象高齢者に適切かの回答は「適切である」が21.8%,「適切ではない」が23.3%,「わからない」が49.6%であった。【結論】ERの推定値が対象高齢者に合わないと感じ,値の調整を行っている割合が44.4%であった。現在推奨されている,食事摂取基準に準じた式や数値から求めるERの推定方法は,高齢者施設の現場に適さない場合が多い可能性が示唆された。エビデンスに基づいた要介護高齢者に適したERの推定方法の確立が必要である一方で,式による推定だけでなく,個人差に対する適切な調整方法の確立も栄養ケア・マネジメントにおいては重要である。
著者
工藤 美奈子 峯木 眞知子 和田 涼子 髙田 和子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.121-129, 2018-10-01 (Released:2018-11-06)
参考文献数
23

【目的】高齢者施設におけるエネルギー必要量の推定方法として,高齢者施設内での生活活動を基にした身体活動量の質問紙を作成し,加速度計や角度計による測定との比較から質問紙の有用性を検討する。【方法】対象者は介護保険施設3施設に入所している70歳以上の16名とした。身体活動量の質問紙は,改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』を参考に作成し,施設の介護者に記入してもらった。同時期に加速度計と角度計による身体活動量調査を4日間行い,臥位,座位,立位の姿勢別時間を求めた。その姿勢別活動時間に活動強度(臥位1.0,座位1.4,立位 1.8 METs)を乗じて1日当たりの身体活動量を算出した。【結果】質問紙による1日の姿勢別活動時間の中央値は,臥位18.00時間,座位5.75時間,立位0.50時間で,身体活動量は 26.50 METs・時/日であった。加速度計による身体活動量は 28.04 METs・時/日,角度計では 26.96 METs・時/日で,3つの評価法による測定値には有意な差は認められなかった。【結論】質問紙から得られた結果に対し客観的指標である加速度計と角度計の身体活動量の差は小さかった。このことから,介護者が質問紙を用いて高齢者施設入所者の睡眠,入浴を除く日常生活活動についての姿勢を把握することにより,加速度計や角度計による測定と同程度の精度で身体活動量を推定できる可能性が示唆された。
著者
工藤 美奈子 小泉 昌子 峯木 眞知子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成29年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.156, 2017 (Released:2017-08-31)

【目的】皮蛋は家鴨卵の加工品で、アルカリによるタンパク質の凝固性を利用した中国独特の食品である。日本では家鴨卵の入手ができないので、鶏卵を使用して加工した鶏卵皮蛋を考えた。それが普及すれば、安全性が高く安心して食することができる上、食用の機会が広まると考える。そこで、本研究では、国内で製造された鶏卵を用いた無鉛皮蛋の経時的変化を主に物性面や調理特性より台湾産皮蛋と比較した。【方法】白色レグホーン種鶏が産んだ鶏卵(福岡県産)を加工した鶏卵皮蛋を㈱丸紅エッグより入手した。25℃下で入手後58日間保管した。外観の観察、卵殻・卵白・卵黄の重量とその構成比、pH、色度、塩分、水分含有率、破断測定およびにおい識別装置によるにおいの測定を行った。【結果】鶏卵皮蛋100g あたりのエネルギーは151kcal、たんぱく質12.6g、脂質11.1gで、台湾産皮蛋の成分値と大差はなかった。熟成の様子を観察すると、入手28日目で卵黄が軟らかい溏心タイプの様になった。鶏卵皮蛋の重量割合を、台湾産皮蛋と比較すると、卵白の構成比が高く卵黄の構成比が低かった。卵白の破断エネルギー(×103J/m3)は、1日目46.70、28日目83.23、58日目65.04で、経過日数とともにかたくなる傾向が見られた。鶏卵皮蛋の卵白は台湾の市販皮蛋と比較すると、軟らかく弾力が劣ると考える。鶏卵皮蛋の卵黄のテクスチャーは台湾の市販皮蛋よりかたさ応力と付着性が低かった。鶏卵皮蛋の卵白および卵黄のにおいの強さを、臭気指数相当値でみると台湾市販品と有意差はなく、においの質の類似度では、卵黄の炭化水素系に違いがあった。鶏卵皮蛋の熟成期間は入手後28日と考える。