著者
掛谷 英紀 大南 勝
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.617-625, 2019-04-15 (Released:2019-04-15)
参考文献数
21

本論文では,国会会議録を機械学習することで,短命に終わる議員・大臣の発言の特徴を分析する.短命議員については,マスコミ報道の追い風に乗って大量当選したいわゆる「チルドレン議員」を対象に,一期で終わってしまった人物と,その後議員を続けることができた人物の間に,国会質問でどのような違いが見られるかを分析する.短命大臣については,大臣就任後舌禍や不祥事によって辞任した人物と,長期間大臣を務め上げた人物の間に,国会答弁でどのような違いが見られるかを分析する.機械学習には最大エントロピー法による学習と,判別分析の考え方を応用して特徴抽出を行うナイーブ・ベイズ法による学習をそれぞれ実装し,その分類性能を比較する.分析の結果,短命議員の質問には,尊敬語・謙譲語などの丁寧な表現が少ないこと,損得勘定に関する表現の使用が多いことが分かった.また,短命大臣の答弁には,国会の場にふさわしくない砕けた表現が多用されるほか,高い理想や自身の頑張りを主張する発言が多い傾向が見出された.
著者
角谷 政宏 掛谷 英紀
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会冬季大会講演予稿集 (ISSN:13434357)
巻号頁・発行日
no.2007, pp."4-4-1", 2007-11-27

The present paper proposes an effective design of a web page which counterplots against intentional edition by TV Stations. The author proposes and evaluates several visual designs of a web page to let the people convince how intentionally the media have edited the video.
著者
磯貝 光雄 掛谷 英紀 鈴木 健治 荒川 佳樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.363, pp.33-38, 1999-10-18
被引用文献数
1

超3角形図形処理をベースとしたCGライブラリ「UNIVERSライブラリ」と至近距離を含めた立体空間を映像として提示する据付型立体ディスプレイ「FLOATS」を組み合わせることで手元に仮想立体空間を提示するシステムが構築される。超3角形図形処理の有する高速な演算機能によって、複雑な形状をもつ仮想物体もリアルタイムで操作することが可能となる。
著者
掛谷 英紀
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究プロジェクトにおいては、立体視における眼の疲労や違和感の主原因とされる輻輳調節矛盾を解消する方法として、多視点方式とエッジのボリューム方式を組み合わせた立体ディスプレイと、シリンダーレンズを用いた方式の2方式について研究を行うことを計画した。前者については、昨年度、35視点の色情報提示用多視点ディスプレイと8枚のモノクロ液晶からなるエッジ情報提示用ボリュームディスプレイを組み合わせた17インチ相当の実機を製作した。しかし、この方式では、モノクロ液晶パネルの増加に従い画質劣化が見られ、現状のディスプレイ材料を使うと、それ以上の枚数増加は難しいことが分かった。そこで、今年度は、色情報・エッジ情報を分離せず、ボリュームディスプレイそのものを多視点化する方法として、レンズピッチの粗いインテグラルイメジング(粗インテグラルイメジング)の表示パネルを多層化する手法を提案し、それを実装した。この実装には透過性のフルカラー多層パネルが必要であり、その電子的実現は現時点では難しいため、透明フィルムへの印刷による静止画方式の実装となっている。実機製作の結果、極めて高画質の立体像が実現されることが確認された。多層式電子ディスプレイが実現されれば、本研究で提案した光学系は、次世代の立体表示方式の極めて有力なオプションになると期待される。一方、後者のシリンダーレンズを用いた輻輳調節矛盾解消法にっいては、高周波パターンの傾き、コントラスト、両眼視差提示の有無など、種々の条件にてレフラクトメータを用いた実験を行い、生理データの蓄積を行った。ただ、これまでの実験結果には個人差も多くあり、今後さらなる実験・解析を要する状況にある。
著者
掛谷 英紀
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2003

昨年度までに、多視点高解像度立体ディスプレイの基本は完成したが、今年度は、画質の向上、視野角の拡大、輻輳調節矛盾の解消による目の疲労の低減の3点について、改善を試みた。まず、画質の向上については、昨年度までのシステムで使っていたフライアイレンズを使わないシステムの構築を試みた。この場合、頭を動かしたとき、画像が不連続に切り替わるような違和感が生じていたが、それを取り除くためのレンズ光学系を設計した。この設計で、不連続感が低減されるとともに、視野角の拡大も同時に解決された。ただし、このレンズ光学系だけで、完全に不連続感が取り除かれるわけではない。この不連続感を取り除く方法として、多層にわたる弱拡散を行う方法を試み、一定の効果を上げた。この方法は、同時に輻輳調節矛盾による目の疲労を緩和する効果も確認された。輻輳調節矛盾の解決方法としては、昨年度まで行っていたシリンダーレンズと高周波縞状パターンの組み合わせ方法について、より詳細な解析を行い、その理論はほぼ完成された。ただし、この方法は上述の多視点方式に組み合わせることは難しい。そこで、多視点方式に組み合わせが可能な方法として、多視点立体ディスプレイとボリュームエッジを組み合わせる方法を昨年度提案したが、今年度はその実装を行った。アグティブなエッジ提示方法としてはモノクロ液晶パネルを多層に重ねる方法を試み、一定の成果をあげた。また、より廉価な方法として、メッシュテクスチャを多層にばらまく方法を新たに提案し、レフラクトメータを使った目の測定実験で、この方法でも輻輳調節矛盾の解消が期待できることが確かめらた。この3年間の研究成果により、提案する多視点立体ディスプレイは商品化できるレベルのシステムを達成したということができよう。