著者
前川 喜久雄 斎藤 純男 藤本 雅子 竹本 浩典 北村 達也 菊池 英明 籠宮 隆之
出版者
大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

東京方言16名分、近畿方言5名分、モンゴル語3名の調音運動を記録したリアルタイムMRI動画を1名あたり約1時間収集した。データのブラウジング環境を構築し、音声器官(舌、唇、口蓋、咽頭壁など)の輪郭を自動抽出する技術を開発した。このデータを利用して、①モンゴル語母音調和に関する舌根位置の関与を示した論文、②日本語発話末に生じる撥音の調音位置が直前母音によって決まっていることを示した論文、③日本語ワ行子音の調音が定説となっている二重調音ではなく、主に両唇の接近によって行われていることを示した論文を発表した。さらに日本語のラ行子音に関する分析も発表した。
著者
島田 めぐみ 野口 裕之 谷部 弘子 斎藤 純男
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.141, pp.90-100, 2009 (Released:2017-04-05)
参考文献数
6

本研究では,自己評価であるCan-do statements(Cds)を利用して,日本のT大学と海外協定校の日本語科目の対応関係を明らかにした。具体的には,T大学と,協定校5校の日本語学習者を対象に調査を実施し,各授業科目受講生のCds平均得点を用いて,T大学各レベルの授業科目と各協定校各学年の対応表を作成した。対応関係が明らかになったことにより,協定校においてより適切に単位互換を行うこと,来日前に留学生の配置クラスを予測することが可能となった。さらに,T大学と協定校における各項目の回答結果を比較することにより,技能の習熟度における相違点を検討した。今回使用した項目には,海外においては遭遇する可能性がない言語行動もあり,そのような項目は,おおむね自己評価が低くなることも明らかになった。
著者
斎藤 純男 井上 治 孟 達来 高木 小苗
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

アフガニスタンにおけるモンゴル系のモゴール語は現在絶滅した可能性の高い言語であるが、服部四郎が1961年に現地調査を行なった際の未発表の録音資料が島根県立大学の資料中に発見され、それに基づいて研究を行なった。モンゴル系語彙を含むハザーラ語の話者の協力を得ながら、録音されたモゴール語の語や文を音声・文法・意味の面から詳しく記述した。使用した録音資料からは、モゴール人はハザーラ語も話すという新しい情報も得られた。また、永久的保存のためテープによる録音資料をデジタル化するとともに、過去に発表されたモゴール語語彙を電子化してデータベースの基礎とした。