- 著者
-
新井 勝
- 出版者
- JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
- 雑誌
- 紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
- 巻号頁・発行日
- vol.51, no.7, pp.1047-1053,015, 1997
最近では白色度70%を超える高白色新聞DIPが製造され, 中級印刷紙, PPC用紙, フォーム用紙, 微塗工印刷紙などに使用されている。<BR>高白色新聞DIPの品質としては, 白色度が70%以上であるということの他に, DIP中の黒ひげ (未剥離のインキ) およびチリが極力少ないことが要求される。<BR>一般的な新聞DIP, 白色度55-60%を製造する技術と, 高白色新聞DIPを製造する技術を比べると, 基本の原理としては大きく変わることはない。基本の原理とは大きく分けて, 離解, 除塵, 脱墨, 漂白である。高白色新聞DIPを製造するためには, 一般の新聞DIPの処理工程に比べ, 特に除塵, 脱墨, 漂白を強化する必要がある。<BR>(1) 離解工程: 異物除去効率向上のため, 補助のパルパースクリーンやドラム型のファイバーフローが使用される。<BR>(2) 除塵工程: 粗選工程, 精選工程でスリットスクリーンが使用され, 精選工程のスリットスクリーンのスリットサイズとしては0.15mmが使用されるようになってきている。<BR>(3) 脱墨工程: インキの剥離方法には大別して機械的処理方法と化学的方法があり, この二つの方法を上手く組み合わせることが重要である。機械的処理を主にした方法にはディスパーザー処理がある。化学的処理を主とした方法には熟成処理がある。この剥離したインキを工程内から除去する手段の一つとしてフローテーション処理を行うが, より効率がよく, 電力原単位の少ないフローテーターを採用する必要がある。フローテーターで除去し難い微細なインキ粒子を除去するには洗浄機が使用される。<BR>(4) 漂白工程: 新聞古紙を脱墨後, さらに白色度を高めるには酸化漂白または還元漂白を行う。酸化薬品としては過酸化水素が最も一般的である。還元薬品としてはハイドロサルファイトやFASなどが使用される。