著者
杉村 孝夫 日高 貢一郎 二階堂 整 松田 美香
出版者
福岡教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

2009-2011年度、大分県各地の言語生活の変容を探った研究の成果を踏まえ、2012-2014年度(本事業)では、福岡県3地点、大阪市東区、東京都区内、青森県津軽地域の各地で同様の会話を収録し、約60年前のNHK『全国方言資料』と比較し、方言の変容、特に共通語とは異なる方向への変容に注目して実態を解明し、要因を考察した。隣接優勢方言への変化、方言内部での自律的変化の他、臨時的バリエーションが多く観察される。これは言語変容に関する、注目すべき要素であることを改めて認識した。
著者
岩城 裕之 友定 賢治 日高 貢一郎 今村 かほる
出版者
呉工業高等専門学校
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

1 医療現場での方言をめぐる問題に地域差がみられること各地でのアンケートや臨地調査によって、方言を巡る問題に地域差があることが明らかとなった。具体的には、富山の場合、県内のごく狭い範囲で、体調を表す重要な語について使用・不使用があったり、意味が異なる場合が存在することが分かった。一方、青森では多くの語が難解であり、医療場面で想定されるすべての語彙、表現の記述が必要となることが明らかとなった。2 方言データベースの作成と公開青森、広島、富山、飛騨のデータを収録した方言データベースを作成、公開した。いわゆる聞き取りにくい方言について、検索する際に想定されるいくつかの入力パターンを調査し、いずれのパターンでも適切な候補を表示できるようなシステムを構築した。方言研究者であれば一定のルールの中で記述するが、医療関係者などの非方言研究者は、必ずしもそうではないことに配慮したためである。結果的に、使いやすい方言辞書を追求することとなった。また、現地で収録した音声を加工し、データベースの多くの語や一部の文例について、クリックすることで音声を聞くことができるようになった。揺れのある入カパターンから適切な候補を見つけ出すことのできる方言辞書やデータベースは、ほとんど前例がなく、ユニークな成果であると思われる。3 コミュニケーションマニュアルの作成青森県津軽において、いくつかの定型的問診場面を取り上げ、方言による対話例を作成した。しかし、共通語の問診と異なり、いわゆる日常の挨拶や雑談をはさむことが「方言的」であったため、マニュアルにはなじまないと考えられ、今後も研究を重ねていく必要があると思われる。
著者
杉村 孝夫 日高 貢一郎 二階堂 整 松田 美香
出版者
福岡教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

50年前20年前の大分県方言談話資料(1次2次とも実施したのは24地点)に加え、本研究では大分県内13地点の談話を収録した。それらは、少年層・青年層・高年層の3世代の男女1組の最大8つの場面設定の会話と自由会話からなる。50年間を通して同じ年代設定、同じ場面設定の談話を3回収録したことになる。これらの談話資料を比較し、文末助詞の抑揚と機能、辞去の場面の分析など50年間にわたる言語生活の変容を解明した。