著者
陣内 正敬
出版者
九州大学
雑誌
言語文化論究 (ISSN:13410032)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.71-77, 1990

An analysis cencerning the address terms of Japanese is made by examining their usages in "Sazae-san", a TV program where we can find plenty ef examples of modern Japanese. lt reveals the following sociolonguistic rules on how to address others.(1)The Japanese makes a distinction between superiers and inferiors. As the reflection of this fact, k (kinship terms) and T (titles) are used for the former, FN (first name) and LN(last name)for the latter. Furthermore, K and T are used non-reciprocally, that is,those who give K (T) to the addressee receive FN (LN), while between equals FN and LN can be used reciprocally.(2) The Japanese also makes a distinction between in-group membership and out-group one. An important criterion for the distinction is the relationship. K and FN are used for the in-group members, T and LN for the out-group ones.Nevertheless, when the intimacy increases in the dyad, T can be replaced by LN in (1),LN by FN in (2) resulting in the reciprocal usage in both cases.
著者
陣内 正敬
出版者
九州大学大学院人文科学研究院言語学研究室
雑誌
九州大学言語学論集 (ISSN:13481592)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.267-280, 2011

In this paper, the declarations (player's oaths) by senior high school baseball players at Koshien stadium every year are analyzed from the viewpoint of the modification of the texts. In result, 26 texts from 1968 to 2010 are divided into three groups according to the time. First group (named "traditional type") consists of the oaths from 1968 to 1983, that is traditional and stereotyped version made up of almost the same vocabularies and expressions. Second group ("innovation type Ⅰ") is from 1984 to 2000, that has variety and individualities. Third group("innovation type Ⅱ") is from 2001 ahead, that has the same character as the former but is different in that has entertainer's viewpoint in the texts. In conclusion, the reason why this kind of modification has occurred is that "liberation from restraint" emerged among Japanese young people after 1980s, and furthermore, "players as entertainers" consciousness has also emerged after 2000s.
著者
友定 賢治 陣内 正敬
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.84-91, 2004-09-30

近年,関西方言が,一度東京を経由しての全国発信であるが,若年層を中心に全国的に広がりつつあり,地元方言や共通語とともに新しいスピーチスタイルが形成されつつある.それは単に「ことば」だけではなく,関西的なコミュニケーションの受け入れという面がある.関西的な「楽しさ」「笑い」が,現在の豊かな社会・娯楽社会での,会話を楽しむという時代風潮に一致したためであろう.関西方言受容の背景にある日本人のコミュニケーション観にも変化が生じているということである.
著者
陣内 正敬
出版者
関西学院大学
雑誌
言語と文化 = 語言与文化 (ISSN:13438530)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.47-60, 2008-03

日本語学習者がカタカナ語(外来語)を学習する際、どのような点にその困難を感じているかを探る目的で、全国的なアンケート調査を行った。調査は2006年7月から10月にかけて、全国の主な日本語教育機関(日本語学校、研修施設、大学、大学院など)に配布し、総計479人の外国人日本語学習者から回答を得た。彼らの母語別の内訳は、中国語49.7%、韓国・朝鮮語20.0%、英語4.2%、その他の言語26.1%であった。この調査から以下のことが明らかになった。1)カタカナ語の習得に困難さを感じるのは、学習者の母語によって大いに異なる。中国語を母語とする学習者が最も困難さを感じ、韓国・朝鮮語とその他の言語がほぼ同程度でそれに次、英語母語話者は最も抵抗が少ないことがわかった。これは、学習者の母語における語彙が、カタカナ語の由来となっている英語をはじめとする西洋語と、どの程度共通しているかによると思われる。2)カタカナ語学習要望は、学習者の英語学習期間の長短と関連が見られた。特に中国語母語話者に関しては、英語学習歴を3〜5年、6〜9年、10年以上と3つのグループに分けて比較すると、期間が短いほど熱烈な学習要望が出た。これまで日本語教育においては、カタカナ語教育はまともに扱われてこなかった。ただ、近年のカタカナ語の急増ぶりと日本語語彙の語種割合の変化を考えれば、カタカナ語教育の充実は緊急の課題といえるだろう。
著者
陣内 正敬
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

戦後における日本人のコミュニケーション行動の変化を探るため、スポーツ場面での言語行動に焦点を絞り、そこでの変化の様子やその要因を考察した。具体的には、毎年甲子園で行われる高校野球の選手宣誓行動を映像資料によって跡付け、その宣誓文や宣誓行動におけるパラ言語(声の調子など)の側面などについて、考察した。その結果、1980年代を境に、型通りのものから多様なものへと変化していることが判明した。これは、日本社会の変容(モダンからポストモダンへ、あるいは戦後社会からポスト戦後社会へ)と連動した現象である、と結論づけた。
著者
陣内 正敬
出版者
九州大学大学院人文科学研究院言語学研究室
雑誌
九州大学言語学論集 (ISSN:13481592)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.267-280, 2011 (Released:2012-08-03)

In this paper, the declarations (player's oaths) by senior high school baseball players at Koshien stadium every year are analyzed from the viewpoint of the modification of the texts. In result, 26 texts from 1968 to 2010 are divided into three groups according to the time. First group (named "traditional type") consists of the oaths from 1968 to 1983, that is traditional and stereotyped version made up of almost the same vocabularies and expressions. Second group ("innovation type Ⅰ") is from 1984 to 2000, that has variety and individualities. Third group("innovation type Ⅱ") is from 2001 ahead, that has the same character as the former but is different in that has entertainer's viewpoint in the texts. In conclusion, the reason why this kind of modification has occurred is that "liberation from restraint" emerged among Japanese young people after 1980s, and furthermore, "players as entertainers" consciousness has also emerged after 2000s.
著者
陣内 正敬 真田 信治 友定 賢治
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

日本におけるコミュニケーションの地域性と、関西方言や関西的コミュニケーションの広がりを探るために、平成12年度〜平成14年度にかけて、全国の主要6都市において多人数臨地アンケート調査を実施した。回答者は世代と性を考慮した計1275名に及んだ(大阪177、広島185、高知150、福岡144、名古屋202、東京417)。収集した資料はすべて表計算ソフト(エクセル)に入力し、データベースとして活用できる形にした。調査結果の成果のひとつとして、関西的なコミュニケーションの受け入れには各都市で同様な世代差が見られ、若者世代ほどその傾向が強いことが分かった。なお、共同研究者による調査報告とその考察を成果報告書の形で刊行した(『研究成果報告書No.1』)。また併せて、調査データベースの一部も紙媒体の形で刊行した(『研究成果報告書No.2』)。この他、研究分担者の高橋を中心に、関西弁や関西コミュニケーションの広がりに関する電子言語地図を作成した。次のHPで公開中である(URL:http://home.hiroshima-u.ac.jp/hoogen)。また、研究分担者の岸江を中心に、主要6都市調査で収録された「道教え談話」を電子化し、6都市30話者2場面の計60談話を収めたCD-ROMを作成した(談話音声とその談話テキストを含む)。この談話は、21世紀初頭の各都市における年配層や若年層が、くだけた場面と改まった場面でどのような話し言葉を用いているかを記録した保存資料としての価値もある。
著者
真田 信治 二階堂 整 岸江 信介 陣内 正敬 吉岡 泰夫 井上 史雄 高橋 顕志 下野 雅昭
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

日本の地域言語における現今の最大のテーマは、方言と標準語の接触、干渉にかかわる問題である。標準語の干渉のプロセスで、従来の伝統的方言(純粋方言)にはなかった新しいスピーチスタイル(ネオ方言)が各地で生まれ、そして青年層に定着しつつある。このプロジェクトでは、このネオ方言をめぐって、各地の研究者が集い、新しい観点から、西日本の主要な地点におけるその実態と動向とを詳細に調査し、データを社会言語学的な視角から総合的に分析した。1996年度には、報告書『西日本におけるネオ方言の実態に関する調査研究』を公刊し、各地の状況をそれぞれに分析、地域言語の将来を予測した。また、1996年度には、重点地点での、これまでの調査の結果をまとめた『五箇山・白川郷の言語調査報告』(真田信治編)、および『長野県木曽福島町・開田村言語調査報告 資料篇』(井上文子編)を成果報告書として公刊した。なお、この研究の一環として、九州各地域の中核都市において活発に展開している言語変化の動態を明らかにすることを目的としたパーセントグロットグラム調査の結果を、データ集の形で示し、それぞれのトピックを解説、分析した報告書『九州におけるネオ方言の実態』を1997年度に公刊した。
著者
尾崎 喜光 朝日 祥之 野山 広 井上 文子 真田 信治 陣内 正敬 二階堂 整
出版者
大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

移住先の言葉をどう感じているか等を中心的な内容とする半構造化インタビューを、関西方言と他方言とを対照する形で実施した。また、上記のインタビュー調査において、移住先の言葉として繰り返し指摘された表現や言語行動が、当該地域において現在どの程度用いられているかを数量的に把握するためのアンケート調査を実施した。特定の観点から両調査のデータを分析した結果については学会で口頭発表した。また、アンケート調査の研究成果については冊子体の報告書としてまとめた。