著者
中田 登 星野 仁彦
出版者
国立感染症研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

クラリスロマイシン耐性肺MAC症に有効な薬剤の開発のため、肺MAC症患者由来クラリスロマイシン高度耐性のMAC株を用いて37種のアベルメクチン誘導体の効果を測定した結果、MAC41株全てに対して抗菌活性を示す誘導体5種を見出した。これら5種は、既存のマクロライドのターゲット部位である50SリボソームのDomeinⅤ2057-2059 部位ではなく、未知の分子を標的部位としていることが示唆された。これら5種の誘導体は細胞内のMACに対しても抗菌効果を発揮し、抗菌活性は既存のイベルメクチンよりも高いことが明らかとなった。
著者
阿部 教恩 星野 仁 壹岐 伸彦
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.64, no.7, pp.493-499, 2015-07-05 (Released:2015-08-05)
参考文献数
25
被引用文献数
2

チアカリックス[4]アレーン-p-テトラスルホン酸(TCAS)は,pH 6.5付近の水溶液中でTb(III)とほとんど錯形成しないが,TCASの架橋硫黄と親和性の高いCd(II)を加えると,自発的にCd2Tb2(TCAS)2錯体を形成しエネルギー移動発光を示す.そこで本錯体の形成を用いCd(II)の発光定量法を開発した.Cd(II)の検出限界(S/N=3)は2.08 nM(0.23 ppb)という良好な値であった.さらに,本法を米試料中Cd定量へ適用した.酸分解後の米試料に含まれるリン酸イオンはキレートディスクによって除去,また,Cu(II)はイミノ二酢酸によってマスキングし,妨害を除去した.前処理,定量操作を行ったときのCd検出限界は,1 gの米試料を分解して本操作を施したとすると米中12.2 ppbのCdに相当する.これは国内基準値0.4 ppmと比べ十分に低い値である.実際に,認証値(Cd: 0.548 ppm)付きの米標準試料を測定したところ0.564 ppmという良好な結果が得られた.
著者
壹岐 伸彦 星野 仁 高橋 透
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は社会安全性確保を志向し, 土壌中交換態Cd, Pbなど重金属の簡易迅速定量法を開発することを目標とした.まずチアカリックス[4] アレーンを土壌検液作成時に用い, 溶出時間を6時間から10分に短縮し, 迅速化した.次いでチオセミカルバゾン配位子を本検液に添加し, 生成した錯体をHPLCに供することで, 土壌マトリクス成分の影響を受けない, ppbレベルの高感度検出を可能とする高性能化学計測法を開発することに成功した.