著者
吉田 索 浅桐 公男 朝川 貴博 田中 宏明 倉八 朋宏
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.169-175, 2019 (Released:2019-09-15)
参考文献数
19
被引用文献数
1 2

近年,生体電気インピーダンス分析法(以下BIA)は,日常の診療や栄養評価,スポーツなどのさまざまな分野に用いられている.このBIAを利用して算出されるPhase angle(以下PhA)は細胞膜の抵抗を表した角度であり,細胞や細胞膜の栄養状態と関係が深く,体細胞量に反映する.健常者やアスリートなどの構造的完成度の高い細胞膜をもった正常細胞では,PhAは高く計測され,老化やがんなどの細胞膜の構造的損傷や細胞密度の低下した障害細胞では,PhAは低く計測される. PhAは細胞の健常度や全体的な栄養状態を反映することから,各種疾患の予後予測因子や栄養指標として注目されている.また,PhAは人体に微弱電流を流し細胞膜の抵抗値を直接測定して算出する実測値であるため,身長や体重だけでなく体液過剰の影響を直接受けない利点がある.そのため,通常の体成分分析には則さない重症度の高い患者や重症心身障害者などの正確な栄養評価が困難な患者にPhAは有用と思われる.
著者
小林 英史 田中 芳明 浅桐 公男 朝川 貴博 谷川 健 鹿毛 政義 八木 実
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.1207-1213, 2009 (Released:2009-12-21)
参考文献数
24
被引用文献数
1

【目的】緑茶カテキンには抗線維化作用や抗酸化作用があると報告されており、その効果および作用を胆汁鬱滞性肝障害モデルラットを用いて系統的に検討した。【対象及び方法】Wistar rat胆管結紮モデルをSHAM群、無治療群、治療群の3群に分け、17日後に犠死させた。検討項目は、AST、ALT値、抗酸化の評価として4-Hydroxynonenal染色と8-oxo-2'deoxyguanosine染色、炎症性サイトカイン活性化のkey mediatorとして転写因子Activator Protein-1 mRNAの定量、星細胞の活性化の指標として肝臓組織中のTGF-β1の免疫染色、線維化の評価としてAzan染色とα-smooth muscle actin染色である。【結果】緑茶カテキン抗酸化剤投与により、血清AST、ALT値の低下、転写因子AP-1の低下、酸化ストレス障害の軽減、星細胞の活性化の抑制、線維化の抑制がみられた。【結論】緑茶カテキン抗酸化剤投与により、酸化ストレス障害および転写因子の発現を抑制し、星細胞の活性化を抑制することによる線維化抑制効果が示唆された。
著者
田中 芳明 升井 大介 石井 信二 朝川 貴博
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.279-285, 2017 (Released:2018-05-14)
参考文献数
33

長期に消化管が使用不可能な場合には中心静脈栄養が選択される.中心静脈栄養は中心静脈カテーテル挿入時,長期栄養管理中にさまざまなリスクを伴う.栄養療法の適応,方法を誤れば患者の安全と健康を脅かす可能性があることを常に念頭におく必要があり,どのような合併症が起こりうるか,起こさないようにすればよいか,合併症が発生した場合の適切な対応を熟知していることが重要である.