著者
本田 まり
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.159-167, 2005-09-19
被引用文献数
1

配偶者死亡後の生殖に関する問題は、生殖補助医療技術が発達した国々において共通に見られる。フランスでは、1994年に制定されたいわゆる生命倫理三法を改正する作業においてもこれが採り上げられ、2004年の生命倫理法に反映された。わが国においては判例上、夫死亡後にその冷凍精子により出生していた子の、死後認知の可否が問題となっている。本稿は、わが国における生殖補助医療関連の法整備にあたり、配偶者死亡後の「医学的に援助された生殖」について検討することを目的とする。フランスの状況について人工授精の事例と体外受精のそれとを区別した上で、法と倫理諮問機関との対立を概観し、法を分析する中から「公序」の内容を探る。さらに、わが国の立法における死後生殖に関する判断基準に対してフランス法が示唆するところを考察する。既に出生した子については現在のところ、その福祉のために、フランスにおいては嫡出性が、わが国においては死後認知が認められているといえよう。
著者
盛永 審一郎 加藤 尚武 秋葉 悦子 浅見 昇吾 甲斐 克則 香川 知晶 忽那 敬三 久保田 顕二 蔵田 伸雄 小出 泰士 児玉 聡 小林 真紀 品川 哲彦 本田 まり 松田 純 飯田 亘之 水野 俊誠
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-11-18

終末期の意思決定に関する法制度・ガイドライン等を批判的に検討した結果、以下のことが明らかとなった。①医師ー患者関係に信頼性があり、透明性が担保されていれば、すべり坂の仮説はおこらないこと、②緩和ケアと安楽死は、相互に排他的なものではなくて、よき生の終結ケアの不可欠の要素であること、③それにもかかわらず、「すべり坂の仮説」を完全に払拭しえないのは、通常の医療である治療の差し控えや中止、緩和医療を施行するとき、患者の同意を医師が必ずしもとらないことにあること。したがって、通常の治療を含むすべての終末期ケアを透明にする仕組みの構築こそが『死の質の良さを』を保証する最上の道であると、我々は結論した。